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「ビリはかわいそう」最後の運動会で“勝手に”頭をよぎった言葉…きらきらメダルを掲げるこうちゃんのありのままを受け止めたいと思った日【室谷香菜子のいっくじ日記#6】

  • 2024.7.27

HBCアナウンサーの室谷香菜子(むろや・かなこ)が、息子「こうちゃん」の“一言”と、一緒にしたためる一句で、小学校入学までの1年間を”一句”(育)児日記につづります!

Sitakke

「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」

こうちゃん最後の運動会は私の「初」の運動会

保育園の年長さん。こうちゃんの保育園生活最後の運動会の季節がやってきました。

「最後の運動会はなんとしても見に行きたい!」

母の私にとって、息子の運動会を見るのは、実は初めて。

運動会は毎年土曜日の開催。
担当している生放送のラジオ番組は毎週土曜日のため、これまで、運動会以外もさまざまな行事を生で見ることなく過ごしてきました。

でも、今回は特別のなかの特別。
担当番組はお休みをもらって、一番前の席で応援してきました!

さあ、でも実は…
運動会に、それほどの思い入れがなかった私…。

私自身が運動が大の苦手で、学生時代、運動会が大嫌いでした。
練習の日ですら「学校に行きたくないなぁ」と思っていたほど。

親から「練習、順調?」「何種目出るの?」など、些細な事を聞かれるだけで憂鬱だったんです。

こうちゃんに「大役」が!

Sitakke

そんな自分自身の経験から、「プレッシャーになったらかわいそうだな」と、当日までなるべく本人に運動会についてあれこれ聞くのは控えていました。

すると予想外なことが!

「こうちゃん、よさこいのかけ声やるんでしょ!楽しみだね~!」

ママ友にそう教えてもらったのは、運動会のわずか数日前のこと。

「え!!??そうなの!!??」

本人も何も言っていなかったので、まったく知りませんでした。

どうやら、クラスのもう一人の女の子と2人で、よさこいソーランの最初のかけ声「かまえ!!!」という大事な発声をする担当を任されている…らしい…。

本人にちらっと聞いてみましたが、曖昧な返事しか返ってきません。

「…大丈夫かな?」

ちょっと不安な気持ちで運動会当日を迎えました。

そんな私とは裏腹に、こうちゃんは普段と変わらない様子で朝ごはんを食べて、会場に到着。

さあ、こうちゃんにとって最後の、そして私にとっても、息子を生で見る最初で最後の、特別な運動会が始まりました。

こうちゃんのかけ声で…ハプニング?

Sitakke

「最後の運動会」となる年長組の保護者席は最前列だったので、応援体制もばっちり!
ちなみに、午前中で全種目が終わるので、お弁当も必要なし。
今は当たり前のようですが、やはり親になると「これは助かる…」と思いました。

運動会のオープニングを飾るのが、年中・年長の園児たちによる、「よさこいソーラン」。

これは、保育園の毎年の恒例種目で、年少以下の子どもたちはお兄さん、お姉さんの「よさこい」を毎年見ながら、「次は自分たちがやるんだ!」と憧れ、受け継いでいます。

みんな華やかな色の法被を着て、とっても可愛い。

そして、かけ声担当のこうちゃんはセンターの位置。
さすがに整列すると表情が硬く、緊張している様子でした。

太鼓が「ドン」と1回。すると…

「かまえ!!!」

こうちゃんからとても大きな声が。

それに続いて他の子たちが「ハッッ!!!」と体制を低くしました。が…

もう一人のかけ声担当の女の子はぽつんと立ち尽くし「違うよ~!!!」とキョロキョロして困り顔。

「2人のタイミングが合わなかったんだな」とすぐに分かりました。

後から先生に聞くと、まず「気をつけ!」と言った後に「かまえ!」と言う予定だったとのこと。
こうちゃんのフライングでした。

大丈夫かな…そんな予感の中

さあ年長組の次の競技は、徒競走。
私はゴールテープのすぐ目の前でスマホを構えていました。

そして、徒競走といえば…ピストルの音が怖かったし、足の速い子と一緒の組だとすごく嫌だったなぁと、自分のときのことを思い出していました。

クラスの男の子、女の子、合わせて5人が並んで一斉にスタート!

がんばれこうちゃん!

Sitakke

すると…ゴール付近で一気に他の子たちに追い抜かれ、こうちゃんは5人中5位でした。

「えっ…ビリ?」

その後、運動会の終盤のクライマックスには、「クラス対抗全員リレー」が。

いちご組とばなな組に分かれ、体育館を1周してバトンを渡していくという流れです。

アンカーの前の走者がこうちゃん。

Sitakke

さっきの走りを見てやや不安な気持ちで見守っていました。
大事なバトンパス。

「大丈夫かな…?」
そんな私の嫌な予感は的中。

バトンの受け取りに失敗し、なんと落としてしまいました。

その後焦ったからか、コースをショートカットしようとして先生に止められ、頑張って走っていましたが結局、こうちゃんのクラスは負けてしまいました。

私のようになってほしくない

Sitakke

「泣いているんじゃないかな?」

恐る恐る遠くの園児席を見ると、こうちゃんはお友だちとニコニコ話をしていました。

「もう少し速く走れると思っていたな…」

閉会式の前、気が付くと私は『札幌 かけっこ教室』とスマホに入力し検索までしていました。

それは恐らく、私自身が「運動嫌い」だから。

こうちゃんに、私のようにはなってほしくない。

そして…

ビリになるのは恥ずかしい。

頑張っても勝てないのは悔しい。

運動会では親にいい姿を見せることができず申し訳ない。

そんな気持ちが常に私の中にあったので、“勝手に”「今日のこうちゃんはかわいそうだった」と思っていたのです。

閉会式も終わって迎えに行くと、園児たちは全員、同じ形、色のメダルを先生からもらっていました。

こうちゃんも、金色のかわいいイラストの書かれたメダルを首からかけていました。

「ママ~!」とこちらに走ってくる姿は、本当に、はじける笑顔!

「楽しかった?」

「うん!!!!!」

クラスのお友だちと肩を組んだり、ポーズを決めたりして、親たちの撮影タイムはなかなか終わりません。

Sitakke

そして、あとからクラスのママ友たちにもらったたくさんの写真や動画を見てみると、こうちゃんだけじゃなく、みんな胸を張って良い表情をしています。

「運動会は速く走れる人が主役だ」

そういう私の考えは古かったんだと、写真を眺めながら気が付き始めました。

そしてきょうの私は、大事な部分をたくさん見落としていたことにも気が付きました。

いいところがたくさん…楽しい運動会だった!

Sitakke

かけ声は少し早かったけど、よさこいでは誰よりも体制を低くして、手を抜かず踊り続けていた。

徒競走はビリだったけど、ゴールの瞬間は両手を上げてとても楽しそうだった。

Sitakke

全員リレーも、決してあきらめずに最後まで走り切った。

保育園生活最後の運動会が、けがなく、そして、何より楽しく無事に終わったことに感謝なのです。

周りの子と自分の子を比べるのは簡単なことだけど、どっしりと構えて、子どものどんな部分もまるごと受け止めて個性を伸ばしてあげるのは、結構難しい。

「勝たなくてもいいんだよねー。みんなメダル一緒だから」

そう言って笑ったこうちゃん。
昔も今も、私はとにかく負けず嫌いだけど、こうちゃんはそうでもないのかな?

Sitakke

だけど、こんな風にも付け足しました。

「でも、本気出したらもっと速く走れる!」
「アンカーのお友だちみたく、速く走りたい!」

「悔しい!」「もっとできるようになりたい!」という気持ちがいつかもっと強く芽生えたときに、どんな風に変わっていくのか…それとも変わらないのか。

どちらのこうちゃんであっても、私は“ありのままの姿”を愛をもって受け止めてあげたいと思っています。

ここで一句!

メダル手に みんなの笑顔 キラキラだ

「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」

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文|HBCアナウンサー 室谷香菜子
青森県出身。2009年HBC入社。HBCラジオ「アフタービート」、「美香と香菜子のおさんぽ土曜日」などを担当。2018年第1子(男の子)を出産。趣味は寝かしつけ後のドラマ鑑賞と、美味しいお酒。息子(こうちゃん)との日常はInstagramでも発信中。

編集:Sitakke編集部あい

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