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水分不足に気づいてる? 女医が教える「脱水症のサインと対処法」

  • 2024.7.27

いよいよ夏も真っ盛りですね。暑い夏には汗がつきもの。正しく対策をしないと、熱中症のリスクもあります。水分不足は思わぬ健康リスクを引き起こす可能性がありますが、意外と気づかないことが多いものです。そこで今回は、「脱水症のサインと対処法」についてお伝えします。

そもそも、脱水症とは?

脱水症とは体から体液が失われて、日常活動や生命維持活動に障害が生じた状態のことを指します。体の機能を維持するために、血液、リンパ液、唾液、汗、消化液、粘液、尿などの液体がありますが、体はこれらのバランスを保つことで、正常な機能を維持しています。脱水症になると、体に必要な栄養素や酸素を取り込めなくなったり、老廃物を排出できなくなったり、体温をコントロールできなくなったりと様々な症状が出てくるのです。

具体的な症状

口渇感

最も一般的な症状で、喉が渇いたり、口の中が乾燥する感じがします。知っておくべきポイントとして、喉の乾きを感じるときはすでに脱水症が進行してしまっているということです。

尿の色が濃くなる

脱水症になると、尿の色が通常よりも濃くなります。これは、体内の水分が不足することで、体が尿量を減らそうとするため、少ない尿に多くの老廃物成分が含まれる状態になるためです。

頭痛やめまい

脱水により脳に届く血流量が少なくなり、頭痛やめまいが起こります。

疲労感、集中力の低下

脱水症はエネルギーレベルを低下させ、疲労感や倦怠感を引き起こします。また、集中力が低下することがあります。

皮膚の乾燥

皮膚が乾燥し、弾力性が失われます。

筋肉のけいれん、つり

水分不足がひどくなると、筋肉がピクピクしたり、けいれんを起こすことがあります。また、下肢がつりやすくなったりします。

脱水症状が出たときの対処法

水分補給と塩分補給

最初に行うべきは水分補給です。水、経口補水液などを摂取しましょう。日常のこまめな水分補給はお茶や水でも良いですが、大量に汗をかいて脱水症状を起こしている場合は、電解質を含んだ飲み物で補うようにしましょう。

汗を分泌する汗腺は、体内の塩分を失わないようにする仕組みを持っています。しかし、真夏など、大量に汗をかく状況ではこの仕組みが追いつかず、汗と一緒に塩分も体から失われやすくなります。従って、汗をたくさんかいたときは、水分と一緒に塩分も補うことが大切です。

経口補水液を活用するほか、食事からも梅干しや漬物などしょっぱいものを食べるのが良いですね。特に梅干しは疲労回復に役立つクエン酸も含んでおり、おすすめです。梅干しが苦手な方は、醤油やソースなどをあえてちょっと多めにかけてみたり、味噌汁を濃くして飲むなども良いでしょう。

休息

体を冷やしながら休息をとることも重要です。炎天下で過ごしていると、脱水症状がひどくなることもあります。日陰や室内など涼しい場所で体を休めることで、体温を下げ、体内の水分バランスを回復させましょう。首や脇の下などにタオルでくるんだ保冷剤などをあてて冷やすのも効果的です。

医療機関を受診すべき症状は?

頭痛やめまい、けいれん、嘔吐などがあり症状が重い場合や、自己処置で改善しない場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。特に高齢者や子どもは、早めに医師の診察を受けることが重要です。

普段からの脱水症の予防法

定期的な水分補給

日常生活の中で、定期的に水分を補給することが大切です。喉の乾きを感じるときには、すでに脱水が進行しています。喉の乾きを感じる前に、早め早めの水分補給を心がけましょう。特に暑い日や運動時には、意識的に多めに水を飲むよう心がけましょう。

アルコールとの付き合い方

暑い日に飲む冷えたビールはおいしいですね。ただ、注意として、アルコール飲料は利尿を促進するため、後から多くの水分が尿として失われてしまい、脱水症をかえって悪化させるリスクがあります。脱水症対策としての水分補給としては適さないので注意しましょう。アルコール飲料を摂取したあとは、水分もしっかり補うようにしましょう。

バランスの良い食事

水分だけでなく、栄養バランスの取れた食事を摂ることも予防の一環です。特に果物や野菜には多くの水分が含まれているため、積極的に取り入れると良いでしょう。

生活環境の調整

室内の温度や湿度を適切に保つことも重要です。エアコンなどを活用して、快適な環境を維持しましょう。

エアコンの冷風が苦手という方は、風向をなるべく上に向ける、風向の左右を調整して体に直接当たらないようにするのがおすすめです。扇風機で室内の空気を循環させるのも良いですが、一方で、気温が高い環境で扇風機だけに頼ると、かいた汗が風でどんどん蒸発していくことになります。そのため、気づかないうちに多く発汗して、脱水症に陥るリスクもあります。

エアコンを上手に活用しながら、扇風機も併用してうまく部屋内の風を循環させるなどして、なるべく汗をかかずにすむように環境を調整してみましょう。

子どもやお年寄りには、特に注意!

子どもやお年寄りは脱水症になりやすい傾向があります。特に小さな子どもは、遊びに熱中していると水分補給を忘れがち。大人が注意して水分を摂らせるようにしましょう。また、お年寄りは喉の渇きを自覚しにくいため、定期的に水を飲むよう促すことが大切です。

おわりに

脱水症は予防が可能な健康リスクです。日常生活の中で水分補給を心がけること、適切な対処法を知っておくことで、健康を維持することができます。ぜひ今回ご紹介したポイントを実践し、脱水症を予防しましょう。
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筆者情報

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は17万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko

産婦人科専門医/ママ女医ちえこ

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