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【大手町】皇居三の丸尚蔵館「いきもの賞玩(しょうがん)」尚蔵館にいきもの大集合!

  • 2024.7.28

若冲の極限のリアル、国宝《動植綵絵》、モフモフ猫、兎にイタチ、鯉の滝昇り…生命(いのち)を愛でる造形美

皇居三の丸尚蔵館で開催中の「いきもの賞玩(しょうがん)」[2024年7月9日(火)~9月1日(日)]を見て来ました。 賞玩(しょうがん)とはそのもののよさを楽しむという意味があるそうです。

いにしえより日本文化では、身近な自然の中にある「いきもの」の生命(いのち)を愛でて来ました。 歌に詠まれた鶯(うぐいす)。犬や猫などの身近な小動物の愛らしい姿。四季の景色を彩る鳥や昆虫。 様々な「いきもの」が、書画、蒔絵、金工、陶磁など多彩な造形美を通してあらわされて来ました。

本展では、伊藤若冲の国宝《動植綵絵》全30幅から、「芦鵞図」(前期展示)と「池辺群虫図」(後期展示)が公開されます。

皇居三の丸尚蔵館に「いきもの」の名品が大集合する展覧会です。

※展示室内は原則撮影禁止です。「撮影OK」マークのついている作品は、個人利用にかぎり撮影可能です。撮影には注意事項をご確認の上、展示室内の指示に従い撮影してください。

 

出典:リビング東京Web

《十二月花鳥和歌》 近衞家熙 江戸時代(17~18世紀) 皇居三の丸尚蔵館収蔵 ※通期展示・場面替えあり

詠む・描く 江戸時代の絵師(えし)たちが描いた「いきもの」

伊藤若冲 国宝《動植綵絵(どうしょくさいえ) 芦鵞図(ろがず)》、長澤蘆雪(ながさわろせつ)《綿花猫図(めんかねこず)》

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)が描いた国宝《動植綵絵》は、仏を荘厳するために描かれた全30幅の大作です。 もとは京都・相国寺(しょうこくじ)に寄進され、明治22年(1889)に相国寺から皇室に献上されました。 鳥や昆虫、草花、魚介類まで、あらゆる生物が描かれた本作は、釈迦(しゃか)の教えに集う「いきもの」たち全ては、命を平等に与えられているという意味が込められているとのことです。

本展の前期展示では、国宝《動植綵絵 芦鵞図》(右)を見ることが出来ました。 水墨の素早いタッチで描かれた背景の芦。 ガチョウの白い羽は、細い胡粉の線で盛り上げるように描かれています。細密な描写は、軽くふわりとした羽の質感を感じさせます。

左は、長澤蘆雪(ながさわろせつ)《綿花猫図》。

後ろ足を延ばして横たわる猫の脱力感と、モフモフの毛並み。 背景の綿の木には黄色い花が咲き、フワフワの白い綿が蚕のまゆのよう。

ふと顔を上げてこちらに目を向けた猫。くつろいでいたのに人間の視線が気になったのかもしれません。

 

出典:リビング東京Web

右から、国宝《動植綵絵 芦鵞図》 伊藤若冲 江戸時代 宝暦11年(1761) 展示期間:7/9~8/4、《綿花猫図》 長澤蘆雪 江戸時代(18世紀) 展示期間:7/9~8/4 どちらも皇居三の丸尚蔵館収蔵 ※展示替えあり【8/6~9/1】伊藤若冲国宝《動植綵絵 池辺群虫図》(江戸時代(18世紀))、山口素絢《朝顔狗子図》(江戸時代 寛政4年(1792)) 全て皇居三の丸尚蔵館収蔵

《小栗判官絵巻(おぐりはんがんえまき)》の犬と武士

《小栗判官絵巻》は、小栗(おぐり)と照手姫(てるてひめ)が幾多の困難を乗り越えて結ばれる物語だそうです。 描いたのは江戸時代の絵師・岩佐又兵衛(いわさまたべえ)。

小栗に付き従う配下の武士たちが連れているのは狩猟用の鷹(たか)や犬(いぬ)。犬は一匹一匹、異なる毛色で描かれています。 武士たちの衣装も色とりどりで、1人1人が違う動きを見せており、物語絵に躍動感を与えています。

 

出典:リビング東京Web

《小栗判官絵巻》 巻14下 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀) 皇居三の丸尚蔵館収蔵 展示期間:7/9~8/4

かたどる・あしらう 愛らしさと存在感を見せる「いきもの」たちの姿

明治宮殿などを飾った工芸品には、身近な愛らしい「いきもの」や、存在感のある「いきもの」の姿がありました。 愛らしさや、生き生きとした生命(いのち)の躍動感を見せる「いきもの」たちは、宮殿の中で心を和ませる存在だったのかもしれません。

二度見してしまう迫力と存在感、鯉の滝昇り《鯉置物(こいおきもの)》

見開いた目。口を開け、波しぶきの中から垂直に立つ鯉は、竜門を昇る姿をあらわしているそうです。 立身出世を表す「登竜門」の意が込められています。

思わず二度見してしまう迫力と、どっしりした存在感です。

左は、《巌上鶺鴒置物(がんじょうせきれいおきもの)》。 2羽の鶺鴒が岩場で羽を休めている姿をかたどった置物。つがいでしょうか、細いくちばしや尾羽が愛らしい姿です。

 

出典:リビング東京Web

右側、《鯉置物》 川本栄次郎 大正2年(1913) 陶磁 色絵 金彩、《巌上鶺鴒置物》 塚田秀鏡 大正6年(1917) 彫金 石 どちらも皇居三の丸尚蔵館収蔵 通期展示

一瞬の動きをとらえた《兎》、《鼬(いたち)》

耳を立てて立ち上がり後ろを振り返る姿をかたどった《兎》(左)。銅を主体とした合金である白銅を用いて、鋳造技術により作られているそうです。 滑らかな表面が兎の白い毛の柔らかさを思わせます。

右は、《鼬》をかたどった作品。 頭から尾の先まで、弾けるバネのような野性味を感じます。

どちらも一瞬の動きをとらえた「いきもの」の息遣いが感じられる作品です。

 

出典:リビング東京Web

左側、《兎》 原型:杉田禾堂、制作:工芸成形社 昭和12年(1937) 通期展示、右側、《鼬》 明治時代(19世紀) 通期展示 どちらも皇居三の丸尚蔵館収蔵

伝統的な日本刺繍《刺繍菊に鳩図額(ししゅうきくにはとずがく)》

宝石のような光沢のある絹糸で、伝統的な日本刺繍の技術により制作された《刺繍菊に鳩図額》。 皇室の象徴である菊の花や、垣根に停まる4羽の鳩の柔らかな羽が、縫われた糸の向きにより光沢を変えて立体的にあらわされている豪華で美しい作品です。

 

出典:リビング東京Web

《刺繍菊に鳩図額》 4代 飯田新七 明治44年(1911) 皇居三の丸尚蔵館収蔵 展示期間:7/9~8/4

皇室と世界各国との国際親善 いろいろな国から贈られた「いきもの」たち

皇室は、ご公務として世界各国との国際親善を担って来ました。諸外国からその国を代表する美術品や伝統工芸品を贈られることもあります。 本展では、世界のいろいろな国から贈られた多様な「いきもの」たちの色や形を楽しむことが出来ました。

 

出典:リビング東京Web

「いきもの賞玩(しょうがん)」「いろいろな国から」展示風景 皇居三の丸尚蔵館収蔵

「いきもの」に宿る生命(いのち)の輝き、仏性を見出しそのよさを楽しむ

仏教では「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」、全ての生きとし生けるものには仏性(ぶっしょう)が宿るという考えがあります。

仏性とは悟りの可能性のことです。どんな生きものにも平等に生命(いのち)が与えられ、仏に向かい限りなく伸びて行こうとする輝きと可能性に満ちているということでしょうか。

生き生きと躍動感にあふれ、可愛らしさや、ユニークさ、詩情豊かに動物や植物、魚介類に至るまで生命(いのち)の輝きを描き、かたどった「いきもの」の名品の数々。

皇居三の丸尚蔵館「いきもの賞玩(しょうがん)」は9月1日(日)まで。 是非お出かけください。

「いきもの賞玩」ワークシートで「いきもの」探し!

クイズ形式の鑑賞用「いきもの賞玩」ワークシート。

展示されている作品の中に隠れている「いきもの」を見つけてクイズにチャレンジ! ページをめくると、かんたん、ふつう、ちょっとむずかしいまで3つのレベルの問題があります。

作品の中に「いきもの」を見つけると、その作品を見るのがもっと楽しくなります。

 

出典:リビング東京Web

「いきもの賞玩」ワークシート ※前期・後期で展示に合わせて内容が変わります。 皇居三の丸尚蔵館

〇皇居三の丸尚蔵館
URL:https://shozokan.nich.go.jp/
住所:〒100-0001 東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30 ~ 17:00 ※最終入館は16:30まで
※毎週金曜・土曜は夜間開館。午後8時まで開館(最終入館は午後7時30分まで)
※ただし8月30 日(金)を除く
休館日:月曜日(ただし8月12日は開館し、翌火曜日休館)※その他諸事情により臨時に休館する場合があります。
※年末年始および展示替え期間・その他諸事情により臨時に休館する場合があります。

〇交通アクセス:
大手門(入門してから約100メートル)地下鉄各線の大手町駅(C13a出口)から徒歩約5分、JR東京駅(丸の内北口)から徒歩約15分
大手門以外からの入門※月曜日・金曜日閉門。その他皇居東御苑の公開日時に準ずる。
平川門 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約10分
北桔橋門 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約15分

〇いきもの賞玩(しょうがん)
会場:皇居三の丸尚蔵館
会期:2024年7月9日(火)~9月1日(日)
※前期:7月9日(火)~8月4日(日))後期:8月6日(火)~9月1日(日)
※予約優先
入場料:一般 1,000 円、大学生 500 円
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は、無料。入館の際に年齢が確認できる証明書(生徒手帳、運転免許証、マイナンバーカードなど)の提示が必要です。
※障がい者手帳をお持ちの方、およびその介護者各1名無料*入館の際に障がい者手帳等の提示が必要です。
※「図録(いきもの賞玩)付きチケット」1,700円
・一般料金のみの設定となります。高校生、無料入館対象のお客様は、図録をご希望の場合は当日会場でご購入ください。
*詳しくはホームページでご確認ください。

※展示室内は原則撮影禁止です。
・撮影禁止の作品には、NGマークが付いています。
(フラッシュ禁止、また、撮影の際は他のお客様にもご配慮いただき、長時間場所を占有しないようにご注意ください)
※動画、パノラマ撮影はご遠慮ください
*詳しくはホームページでご確認ください。

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