「メシマズ」とは?
「作るメシがマズイ」の意。ネットの世界では「味が極端にマズイ」「見た目も味もひどい」など、激しいものを指すことが多いですが、この連載では「料理歴はそこそこあるのに味が微妙・たまに成功するけれど、だいたいおいしくない」といった意味で使用しています。
【登場人物】
教えてくれるのは……
料理研究家
小田真規子さん
著書やテレビ出演多数! 長年第一線で活躍しているプロ中のプロ。料理初心者にも寄り添ってくれる、手取り足取りなレシピに定評あり。
教わるのは……
エディター
オギ
料理歴は大学時代から一応10年以上の独身アラサーエディター。健康や美容に興味はあるが、基本ズボラ。
マンガで解説「サケのパン粉焼き」
パン粉が登場する時点でハードルが高い!?
オギ
パン粉焼き……よく考えたら、作ったことがないです。トンカツやコロッケはたまーに作りますが、魚+パン粉の組み合わせってあまりなじみがなくて。
小田先生
確かに魚料理って焼き魚、煮魚ばかりになりがちですよね。パン粉焼きも覚えておくと魚料理のレパートリーが広がりますよ。
オギ
あと、どうしてもパン粉を使う=面倒くさい的な、ハードルが高いイメージもありまして。
小田先生
じゃあ、本当に面倒かどうか試してみましょう! 今回のレシピはこちらです。
*サケのパン粉焼き*
■材料(2人分)
魚の切り身(生サケなど):2切れ(150~200g)
塩:小さじ1/5
<A>
マヨネーズ:大さじ1
ニンニクすりおろし:1/2かけ(チューブでもOK。その場合は小さじ1)
トマト:1個(150g)
パン粉:大さじ5〜6
オリーブ油:大さじ2
レモンのくし切り:適宜
■作り方
1 Aの材料よく混ぜる。
2 切り身はそのまま、塩を振り絡めて5分置く。トマトはヘタを取って横半分に切る。
3 Aを切り身の上面、トマトの切り口の面に塗る。
4 2をバットに置き、Aを塗った面にパン粉をたっぷりまぶし手で押さえ張りつける。
5 20cmのフライパンに油を中火で熱し、パン粉の面を下にして入れ中火で3分焼き、返して2分焼く。
パン粉をつけて焼いて……あっという間に完成!
小田先生
まずは、サケに塩を振ります。
小田先生
香ばしいパン粉の風味を生かしたほうがいいと思うので、コショウは使わず塩のみでいきましょう。
オギ
コショウを使う、使わないで何が違うんでしょうか?
小田先生
コショウは焦げると苦味が出ます。今回のようにサケの表面にのせて焼くと焦げやすく、パン粉の風味を邪魔してしまうんです。
オギ
なるほど!
小田先生
味にキレや辛みを加えたいときは仕上げにコショウを使うといいですよ。
オギ
下味=塩、コショウは必ずセットかと思い込んでいましたが、欲しい味によって使い分けるんですね。
小田先生
次は付け合わせのトマトを切っていきましょう。ヘタをくりぬいて横半分にカットして……。
小田先生
安定するよう、お尻側もカットします。
小田先生
トマト以外だと、ナスやズッキーニなどもおすすめです。
小田先生
トマトとサケの上にのまぶすのは、パン粉のほか、マヨネーズ、ニンニクすりおろしです。
オギ
おお、シンプル! パン粉焼きって、オレガノとかバジルとかオシャレな横文字系のハーブ的なものが必須なのかと思っていました。
小田先生
もちろん、パン粉にパセリやバジル、粉チーズなどを足してアレンジするのもアリです。でも、なくてもおいしくできますよ。
オギ
何も買い足さなくても、家にあるものでできるのがいいですね!
小田先生
では、つなぎになるマヨネーズにニンニクを入れて……。
小田先生
ヘラを使って、トマトとサケの表面に塗っていきます。
小田先生
マヨネーズは接着剤としての役割ですね。この上にパン粉をのせて、手でギュッと押さえましょう。
オギ
溶き卵や小麦粉を使わず、マヨネーズだけなのが簡単でいいですね! コロッケやトンカツだと衣がまだらになる私には、パン粉をつけるのが片側だけなのもうれしいです。
小田先生
うーん。衣がまだらになるのは、また別の理由ですね。溶き卵の白身をコシがなくなるまでよく混ぜていなかったり、小麦粉のつけ方にムラがあるのでは?
オギ
心当たりがありすぎます……。
小田先生
では、焼いていきましょう。多めの大さじ2のオリーブオイルを入れて温めたフライパンに、パン粉側を下にして軽く押しつけるようにサケとトマトを入れます。これで3分焼いていきます。あとでサケが返しやすいように、皮目を外側にしてフライパンの縁につけるように入れます。トマトは真ん中に。
オギ
え、パン粉側から!?
小田先生
オーブンで焼くならパン粉側が上ですが、フライパンで焼く場合はパン粉側を先に焼いたほうがいいですね。接着剤の役割のマヨネーズとニンニクのおかげでパン粉が固まるので、ポロポロ落ることはありません。そろそろひっくり返して、さらに2分焼きましょう。
オギ
香ばしくていい香り! パン粉がまだらになってない! 何も剥がれ落ちてなくキレイ!
小田先生
そんなに感動してもらえるなんて。パン粉をつけて焼いただけですけどね(笑)。ハイ、これでできあがりです。
完成!
オギ
はやっ! 正味15分くらいでできあがったような……。
小田先生
そんなに面倒じゃなかったでしょ? トマトを崩して、ソースとして絡めて食べてもおいしいですよ。魚をカジキやマグロや、手開きにして売られているイワシやアジに変えてもおいしくできるので、ぜひいろいろ試してみてくださいね。
【今回の学び】「パン粉を使う=面倒くさい」は思い込みでした
パン粉焼きがこんなにも手軽な料理だったとわかったことが、今回の大収穫! この手軽さに感動して、この日以来、我が家の定番メニューとして仲間入りを果たしました。しかも外側はサクサク、食べるとジューシー。パン粉が片側だけなので、揚げ物より重すぎずペロリといけちゃいます。さらに今回は、コショウの使い分け方も知ることができ、いつもながら学びの多い回でした!
撮影/国井美奈子 監修/小田真規子 イラスト/大窪史乃 取材・文/伊藤彩子