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【悩み】他人から容姿のことをとやかく言われ、ストレスMAX…。どうやって気分を晴らせばいいの?#66

  • 2024.7.25

はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。

突然だけれど、読者の方々って「ルッキズム」という単語、聞いたことあるかしら。
最近ちらほら見かけるこの表現。日本語だと「外見至上主義」とか訳されることもあるわよね。

「自分を含め、人の価値を主に外見から(ときに外見"だけ"で)判断すること」あるいは「外見の美醜に基づく差別的•攻撃的な振る舞い」が、この言葉の持つ意味となっているわけだけれど。
どう?みんな、自分がしちゃう行動にしても、誰かからされた経験にしても、少なからずこのルッキズムに関連しそうな諸々、身に覚えあったりしない?

個人的に思うのはさまざまな垣根を越えて、自分の見た目(というか、見た目について何か言われたり判断されたりすること)に多くの人が、以前より過ぎるほど敏感になっているなぁってこと。
美容アイテムやダイエット、エステや整形に関するあれこれをSNSで見かけない日は無いし、話題に出ることもしょっちゅうな気がすんのよね。

Sitakke
ライター・満島てる子

まぁあたしもそういう情報嫌いではないというか、ついつい見ちゃったり手を出したりしちゃうタイプだったりするんだけどさ。
「ちょっとそれは行き過ぎじゃない!?」ってパターンを目にして、それが知り合いだったりすると心配になったりもするし。

そうした過激な"美の基準"を誰かが他の人に振りかざしている場面に出くわすと、思わず「やめな」って言っちゃったりもするの。

今回のお手紙は、そんな他者から向けられるルッキズムに苦しんでいる方からのものみたい。
早速見てみることにしましょう。

読者のお悩み「ルッキズムの標的になってしまいストレスMAX。どうやって気分を晴らせばいいの……」

Sitakke
Sitakke

あらぁいかにも道産子って感じのペンネーム!
アレンジレシピもたくさんあるいももち。枝豆入れる派とか、チーズインして伸び伸びさせるのを楽しむ派とかもいるよね。
あたしは明太マヨ風味に仕上げるのが好き……ってのは置いといて。
いももちさん、投稿ありがとうございます!

にしてもいやぁ……なんてことなの……。
誰かがルッキズムの標的になるような環境を、平気で自分の周りに作り出してしまう奴らが、この令和の時代にはびこっているなんて。
想像するだけで不快だし、あたしもそんな状況許せないワッ!と思いながら、こちらのお手紙を読んでいました。

ルッキズムって本当に根深くてしつこいよね。

あたしの場合は、例えばドラァグクィーンの状態だったり、「満島てる子」モードだったりで人前に出て仕事するときって、ルッキズムをあえて逆手に取って利用しているようなところがあるよなぁって、そんな自覚も抱いていたりはするんだけれど。

それでも、自分のことを見た目でのみ、しかもネガティブに判断されるシーンに出会ったりすると、やっぱりどうしても「何なのアンタッ!」って思っちゃうことがあったりします。

例えば、メイクを落とした状態のあたしに対して遠慮なく「え!!!ブス!!!」って言ってくる輩って、以前から一定数いたり(仲がいい人から言われるならまだしもね。昔イライラが止められなくて「てめぇ鏡見てからモノ言えってんだ!この不細工野郎が!」と、思いっきり激重のカウンターかましちゃったことあるわ)。

今の自分の痩せ体型を見た人から、何を願ったわけでもないのに「ヤッてるときケツの骨が刺さりそうw」「抱いたら角ばってて痛いんだろうな〜笑」とか、いきなりド失礼な戯言をぶつけられることもしばしば。
はぁしんどいしんどい。

あたし根が割と一本気なのか、許せないものはどうしても許せないタチなので、大体そういう不届者には相手が客だろうとなんだろうと、逃げ道の無いガチガチの大説教をかましてしまいがちなのですが(そのせいで一時期友達から「説教の悪魔」って呼ばれてたことあったわ。チェンソーマンもびっくりよね(?))。

じゃあその人のことをババっと叱れば、それですぐ気持ちスッキリかというと、全然そうでもなかったりして。
やっぱり勝手かつ暴力的な他己評価を押し付けられたっていう事実って、こころに大なり小なり外傷を残しちゃうもんなのよねぇ。

Sitakke
画像はイメージです(pixta)

そもそもルッキズムのみならず、根拠の判然としない基準("常識"とか"社会通念"みたいなものも、ときにその中に入っている気がします)で人間を上下に分けるのって、その刃を他者に向けるにしろ自分に向けるにしろ、ちゃーんと悲劇にしか結びつかないことじゃない?

なのになぜか、人は誰かと向かい合うとき、そういう安易なツールというか、ほぼ武器に近しいものに頼りがちになっちゃうみたい。

やんなっちゃうわよねぇ。

いももちさんは、きっとそういう武器のせいでたくさん傷ついてきたし、今も辛い経験をなさってるんじゃないかしら。大丈夫……?

あたしに出来ることは、そんなに多くはないかもしれないけれど。
同じくルッキズムを憎々しく思う者のひとりとして、いももちさんの気持ちを少しでも軽くすることができたならと、そう願いながら今回のコラム、筆を走らせているのでした。

あたしなりのAnswer

さて、手紙の中にあったルッキズムを「吹っ飛ばすぐらいの楽しい話」は、いももちさんといつか顔をカウンター越しに突き合わせることができたなら、その折にご提供させていただくわね!
……なんて不遜なことをのたまいつつ。笑

今回は対処法というか、なんというか。
実は、あたしがちょうどルッキズムに苦しんでいたときに出会い、観て救われた映画が1本あるので、そちらをある意味、”処方箋”としてご紹介させていただこうかなと思います。

時間があるときにぜひ見てみてほしいの。

映画『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』
Sitakke
画像はイメージです(pixta)

『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』は、2018年に公開されたコメディームービー。主人公のレネーは自分の容姿に自信がなく、他人からも「冴えない」扱いを受けがち。容姿偏重な現代社会のあれこれに辟易としつつ、そのせいで何事にも積極的になれない日々を送っています。

ある日「自分を変えよう!」と思い立ち、通い始めたジム。そこでまさかのハプニングが!
頭部を強打し気を失ったレネー。目覚めたとき彼女は、鏡に映ったかつてと変わらぬ自分の姿を見て「なんて美しいの……!?絶世の美女!!」と思う(思い込む)ようになっていたのです。
無茶苦茶にポジティブな性格に生まれ変わったレネーは、仕事にも恋愛にもガンガン行くように。そこから薔薇色(?)の日々が始まっていくのですが……?
****

コメディーとしてもとにかく面白いんだけれど、それ以上にレネーの行動のあれこれがひたすらに痛々しくも愛おしく、定期的に見返してしまうこの一本。
すったもんだがありながら、最終的には「見た目で物を考える」という自分に自らかけていた呪いに立ちむかい、解放されていく……そんな彼女がクライマックスで語る以下のセリフは、あたしの心をいつも打ち震えさせてくれます。

「誰かが「グズ」とか「デブ」とか、「かわいくない」だとか言ってきたとしても、そんなことないんだって言い返せる知恵や強さ、もうあります。だってあたしはあたし!自分であるということを誇り(Pride)に思っているんだから!」(筆者訳)

誰か他人からの評価なんて関係なく、自分は自分であるということ。
そして、そんな自分でいいんだと、誇りを持って生きること。
その大切さを伝えてくれるレネーの言葉は、きっと今回の相談者さんにも、何がしか響くところがあるんじゃないかしら。

「自分がOKと思える自分」であることを諦めないで

そう、いももちさん。
あたしたちさ、ルッキズムに基づくものとどまらず、きっとこれからもいろんな不条理に直面して苦しむこと、それぞれあるんじゃないかなってあたしは思うの。だって、世の中って本当に不可解な動きをしがちなものだから。
そんな時、本来であればそうした不条理、もたらしている側の方々がおかしいわけだし、そこにこそメスがまず入るべきだとも思うんだけれど……。

その前に。
あたしたちは、そんな不可解で不本意なものたちが自分の身に降りかかってきても、自分が認めている自分、自分がOKと思える自分であることをまず諦めずに、プライドを輝かせながら生き抜いてやるってお互い誓うことにしましょうよ。ちょうど、レネーのように。

「ただでさえ毎日生きるだけで精一杯」という、同じ感覚を抱えたあなただからこそ(本当に大変よねぇ、生きるって)、これからも「あたしと一緒に」とまではいかずとも、別々の場所ででもいいから同じ空の下、共に笑っていることにしようじゃないの!って、あたしは伝えたい。

ルッキズムに負けない、自分らしい自分であるために。
今回紹介した映画やあたしの言葉が、少しでもいももちさんの支えになってくれればなぁと願っています。

Sitakke
画像はイメージです(pixta)

ま・と・め♡

というわけで今回は、ルッキズムがはびこり、外見至上主義が根深いこの世界をどう乗り越えていくか、お気に入りの映画紹介も兼ねて書かせていただきました!
ちなみに『アイ•フィール•プリティ』の監督が作っている他の作品も、面白くて元気の出るものが多いので、ぜひご覧あれ〜。

しっかし本当に今年の夏もあっついわね!
窓エアコンを導入して、去年よりははるかに快適な生活を送っているあたしですが、それでも溶けそう……(突然の生活感)。

みんなも熱中症などには十分ご注意を。
ではではまた今度。Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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