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大塚愛さんがアートを始めたワケ「音楽以外に、おばあちゃんになっても続けられるものがほしかった」 初個展開催!

  • 2024.7.25

2023年に20周年を迎えたアーティストの大塚愛さんが、近年取り組んでいる油絵や書道を披露する初個展「AI OTSUKA 20th ANNIVERSARY ART EXHIBITION AIO ARTsupporting radio J-WAVE」を開催。なぜ油絵を始めたのか、などお伺いしました。


大塚愛さんインタビュー

会場の展示、額などこだわりが詰まった個展

——新しく創作を始めた理由、きっかけを教えてください。
「5年くらい前だったかな? 明確にいつからかは覚えていないのですが、なんとなく始めた感じです。家に絵の具がたくさんあって、使わず捨てるのももったいないなと思い、油絵の心得のある方に教えてもらいながら描くようになりました。実際に描いてみて、絵なのに立体的になるのがおもしろいなと。絵なのにマチエールがあることで、彫刻のような質感が楽しかったんです」 ——書のほうはいかがですか?
「手書きでメッセージや宛先などを書くときに、ボールペンとかだと緊張してしまうんです。自分の文字があらわになるというか、ごまかしがきかないじゃないですか。それで筆ペンを常備して、筆のタッチでごまかしていたんです(笑)。筆で書くと太い部分、細い部分、濃いところもあればかすれたところもあって、絵にしても書にしても、やり始めてから、“もっといいものにしたい”と思うようになって続けてきました。あとは、最初に絵が1枚売れたときの感動ですね。もう本当にうれしくて。家でずっと一緒に生活してきた作品がよその家に行くっていうのは、まるで巣立っていく子供を見送るような感じでした。気に入って購入してくれる人がいるんだということに感動して、創作意欲に拍車がかかりました」

——額縁や掛け軸などもご自身で選んでいるのでしょうか。
「はい。普段から美術館にもよく行くので、そこでどんな額を使っているのか興味深く見ていたんです。額縁によって絵の印象も変わってくるので、どんなのが合うかなと。装いといった感じですね」 ——展示の仕方も?
「ロゴは自分で考えたんですが、そのロゴをもとにアートディレクターの森本千絵さんが釘と糸で作ってくれました。平面で考えていたロゴを立体的な形で表現してくださって。千絵さんとは付き合いも長いので、私のこともよく知ってくれている。千絵さんから見た私のイメージで“繊細さと尖っている部分とを合わせてみた”と聞いたときは、すごくうれしかったです。展示会場に糸が張り巡らされているのも、デビューしてからの20年、いろんなご縁があってつながっていて今がある、というのをテーマにしているからなんです。ここからまたさらに未来に繋がっていくっていう素敵なコンセプトのもと、糸を使った空間にしたんです」

——普段の生活の中で、創作の時間はどのように作っているんですか?
「クリエイティブな時間は精神的なものがとても大きく作用するので、やる時間を決めているわけではなく、本当に気が向いたときに向き合う感じですね。昼夜関係なく、ここちょっと足したいなとか、その気になったら取り掛かる。個展といったゴールが決まっているときは、そうも言っていられないんですけど(笑)」

終活を意識しつつ、自分を追い込まずに取り組んでいる

——なにかチャレンジしたいと思いつつ、新しいことを始めることが億劫になる年代でもあります。新たな創作活動は、大塚さんの人生にとってどんな意味を持つのでしょうか。
「音楽に関しては作詞作曲、そして自分で歌うというところまでやっているのですが、歳を重ねていくにつれて、いつまで声が出るのか保証がないわけです。もし、思うように声が出なくなったときに自分が崩れてしまわないように、長く続けていけるものを求めていた部分はあると思います。もはや終活を意識していますからね(笑)。人生の後半戦に入ったというか、人生の終焉に向けていかに素敵な時間を過ごしていこうかと。決してネガティブな感じではなく、残された日々を大切にしたいので、むしろ若い頃より充実しています」 ——義務にはしないで、ゆるく、サボりつつ(笑)。
「そうそう。今日はしんどいからやめておこうっていう日があってもいい。ここまで頑張って生きてきたんだから、もうそんなに追い込まなくていいんですよ。一回筆が止まっちゃうと、そこから進まなくなることもありますから。ずっと絵を眺めては、ダメだ、乗らないなって一旦離れたりもします。ありがたいことに娘の感性が素晴らしいというか、私なんかよりセンスがあるので、いろいろアドバイスをもらっています。絵だけじゃなくてSNSの写真選び、音楽に関しても、なんかパッとしないよね、とか遠慮なくズバズバ言ってきますよ(笑)」

大塚さんの「輝き」の秘けつは?

——GLOWのテーマとして「輝きはいつだって自分の中にある」というものを掲げているのですが、大塚さんご自身が輝いているなと感じられるのはどんなときですか?
「9枚目のアルバム『LOVE POP』(2021年リリース)は“トキメキ”がテーマだったのですが、自分がやってきた音楽や芸術は、何を大事にしていたのかを改めて考えたところ、その答えが“トキメキ”だったんです。怒りにしても感動にしても、感情が動く瞬間には生きている実感がある。大人になると、大人なんだから我慢しなくちゃとか、わきまえていなくちゃっていう分別がつくけれど、それゆえに疲れてしまうこともある。社会性は保ちながら、生き物としてワッと感情が出るときっていうのは、やっぱり輝いているんじゃないかな。ちっちゃい子を見て可愛いなぁって思ったり、ご飯が美味しいなって幸せな気分になったり。日中にパワーを使い果たして眠りにつくときの、あの幸せな気持ちもトキメキになっています」 ——輝きを実感するために生活の中で意識していることはありますか?
「体調というか、肌のコンディションを保つことかな。毎日鏡で自分の顔と対面するので、一日の始まりに疲れた顔は見たくないじゃないですか。スケジュール的に大丈夫だろうと埋め尽くしていろいろと夢中になってやっていたせいか、次の日に疲れが残っていたことが何回かあって。気持ちは若くとも、自分の体の限界みたいなのはちゃんと把握しておかないといけないな、ちょっと詰めすぎたなと反省しました。機嫌よく過ごすためには、疲れは残さないほうがいい。輝きを保つためにも余裕を持った行動を心がけて、今日も一日自分なりに頑張ったな、明日も肌のコンディションが保たれていますようにと幸せな気分で眠りにつくのが理想です(笑)」


【AI OTSUKA 20th ANNIVERSARY ART EXHIBITION AIO ART supporting radio J-WAVE】

自身の楽曲をテーマにした油絵や書道、フラワーアレンジメントを展示。額も大塚さんが選び抜いている。展示アートの一部は購入可能。ピアノインストゥルメンタルCDが付属したパンフレットを販売。
日程:7月29日(月)まで
会場;スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F)
観覧無料

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