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日本では簡単なこともドイツだと困難?ドイツの離乳食やカフェなど子育て環境をリアルレポート!

  • 2024.7.25

ドイツ・デュッセルドルフ在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお届け。今回はお子の誕生から6カ月目にして始めた離乳食作りの困難な側面や、今後の教育の参考になるKindercafeについて教えていただきました。

フリーアナウンサー 小山瑶の海外生活 in Germany

Epi.34「はじめての離乳食に葛藤の日々。さまざまな幼児教室や異文化交流できるKindercafeについて」

デュッセルドルフでは「やっとこの季節がやってきた!」と感じられる代表的な風物詩、移動式遊園地(Kirmes)が7月12日から開催されていました。ライン川のほとりに遊園地が広がっていて、とにかく盛り上がります。Kirmesは毎年400万人以上の観光客が訪れるドイツ最大のお祭りで、700 年以上の歴史を誇ります。移動式のためアトラクションももちろん組み立て式。にもかかわらず本格的な造りをしていて、びっくりします。私はというと、パパに娘を預けて怖そうなジェットコースターにひとりで乗車。ドイツ人に向けた作りなのか全てが大きく、安全ベルトも緩いわ、座席は広いわで飛ばされそうになりましたが、童心に帰ることができた楽しい時間でした。
 
そんな感じで過ごしているドイツの夏。娘も生後7カ月になり、すくすく成長。離乳食も開始し、乳児から幼児になりつつあります。そんな経過を話しながらドイツ育児について綴れればと思います。

ドイツの小児科での定期検診

日本では受けない予防接種

気になるところがやはり病院。赤ちゃんは定期検診や、予防接種を受けなければなりません。これがまた大変! 私自身、からだが丈夫なため通院する習慣がなく、こんなに頻繁に病院に行かなければならないのかと初めは戸惑いました。

ビタミンDの錠剤は、歯や骨に影響するということでドイツでは一般的に飲ませられます。毎日の日課です。対子どもの処方箋は無料なので、そこもドイツでは安心な点。

これはあくまで私の娘の場合なのですが、娘は12月のクリスマス期間に誕生したので、産婦人科のドクターに「早めにホームドクターを探しておかないと休暇期間長いから、受け入れてもらうのが大変だよ」と言われてしまい、産まれる前に自宅から一番近い小児科に電話をし、1カ月検診を仮予約しました。「産まれたらまた連絡してね」と連絡をもらい、正式にホームドクターに。ドイツはホームドクター制で、日本でいうかかりつけ医のようなもの。病気になったらどこにでもある小児科に行っていいわけではないのが日本と違うところです。生後1カ月の定期検診は病院の休みの関係で、生後2カ月の少し前に受けました。検診の内容はほぼ日本と変わらなかったのですが、ひとつ驚いたのが、先生が片手で体を持ち上げ、骨や筋肉、モロー反応、関節の動きを見るというもの。日本では聞いたことのない話だったので、こちらがソワソワ。もちろん娘は泣いてました(笑)。

カーニバルのときの検診。先生もスタッフもコスプレして出勤しているようで、通院している子どもたちもワクワクしていました。私はというと、びっくり。本格的なコスプレでとっても素敵でした。

気になるのが赤ちゃんの予防接種について。ワクチンの種類は日本ともちろん異なります。特徴は、日本脳炎とBCGを打たないこと。日本脳炎については、病院によって打つことができるのですが1回につき¥20,000弱するということもあって、日本に帰ってから接種する人も多いそうです。BCGはドイツでは1975年以降行われておらず、入手も困難になっています。混合接種製剤が多いため日本に比べると接種回数が少なく、2歳までに大半の予防接種が終わります。
 
日本の接種ペースに比べると間隔が短いので、日本からきた子どもたちが小児科を受診すると、あれもこれも未接種と指摘されて幼稚園や小学校入園のために接種を勧められることが多いんだとか。最近ドイツでも接種を呼びかけているのが、髄膜炎B型のワクチン。保険適用で無料で受けられます。日本では1本¥30,000ほどで、アメリカへ行く人は予防接種として受ける人が多いそうです。日本では年間で亡くなる人が20人ほどということもあり、接種を積極的に呼びかけてはいないため知らない方も多いのではないでしょうか。

予防接種のときの様子。歌いながら接種してくれる先生もいて頼もしいです。いつも笑顔で始まり笑顔で終わるのがドイツの病院。海外の病院の明るさが大好きです。

公共交通機関

守られているベビー領域の広さ

ベビーに優しい国、ドイツ。それもそのはず、通りかかる人ほぼ全員と言ってもいいくらい娘を見ては話しかけてきます。電車の中、街ゆく人、カフェ店員、学生、おじいちゃんにおばあちゃん。ドイツ人の友人曰く、欧州人に比べて顔が薄く髪の毛が黒い赤ちゃんが珍しいようで、より可愛く見えるんだとか。逆も然り、海外の方の顔の作りを羨ましがる日本人、同じメカニズムかもしれませんね。この前は、電車に乗っているドイツ人ママが娘の髪の多さに驚いて、ヘアゴムをくれました。電車の中で赤ちゃんを介して会話が繰り広げられるのも面白い文化ですね。
 
そんなことはさておき、ドイツでは公共交通機関のバスや電車には、十分すぎるほどのベビースペースが設けられています。ベビースペースは日本と同様、高齢者が手押しする車、歩行器を使用している人も使えるスペースです。多いときにはバスのベビーカースペースに海外のあの大きな車輪のベビーカーが3台も横並びにおける広さになっています。ドイツでは、ベビーカーを折り畳む必要もないし、ベビーカーから子どもをおろす必要もありません。一時帰国のことを思い出したのですが、市営バスを利用した際「ベビーカーは乗せられません」と一言。それはおかしいなと思ったので「どうにかしてもらえませんか」というと、嫌な顔をされたことがありました。正直こんなことがあるのかとショックでしたが、郷に入っては郷に従えで、私も環境に適応できるようにしなければならないなと痛感。

バスの中の様子。デュッセルドルフは治安がいいので、バスが急ブレーキ・急発車するときは、スペースの近くの人もベビーカーを押さえてくれたり、いつでも手伝ってくれます。

離乳食スタート!

安心安全頼れるベビーフードがたくさん

娘が6カ月になったタイミングで離乳食を始めました。少し前まで日本に一時帰国していたので、ドイツに帰ってきたタイミングで始めよう! と思い準備していたものの、一家でコロナウイルスに罹ってしまい、始めるタイミングを見失い……。6カ月と2週目にようやく始めることができました。離乳食にもさまざま種類がありますが、従来型(いわゆる十倍がゆ)とBLW離乳食(イギリス発祥の始めから手づかみで食べる方法)どちらで始めようかすごく悩み、話を聞いたり作り方を見たりと考えた末、従来型にしました。
 
ドイツにいると従来型離乳食に必須な材料がなかったり、あっても高かったり、さまざまな問題に直面しますが、ベビーフードを活用して乗り切っています。たとえば、栄養バランスで特に重要視されているしらすや鯛は簡単に手に入りません。豆腐もなかなか値段がしますが、まだ手に入れられるので安心。納豆に関しては値段が高いので、代用としてテンペという大豆食品を利用するなど、現地に住む日本人ママたちの声を参考に、工夫して過ごしています。

野菜果物ピューレ。穀物が入っているものがあり、1食でたくさんの栄養を摂れると愛用しています。瓶に入った離乳食は、野菜のほかカレー味など手の混んでいる離乳食も販売されています。

全てイチから作るとなると非常にハードルが高いですが、ドイツにはとっても楽チンで栄養素が高く、安心安全なベビーフードが豊富にあるため愛用しています。もちろんビオかつ砂糖不使用、自然の甘みを利用しています。私が愛用しているのは、にんじんとかぼちゃのピューレの瓶。とにかく便利で、おかゆに混ぜたりそのまま食べさせたり、余ったものは凍らせたり。とにかく用途がさまざま。ベビーフードがあるだけで、離乳食作りも肩に力を入れ過ぎずに作れると思いました。また、私が大好きなのがこの果物ピューレ。私も食べてみたのですが、食材の甘みを活かしたそのままの味で美味しく、大人でも食べられるとびっくりしました。長持ちもするので、家にたくさん備蓄しています。1つ¥100ほどで購入できるので、家計にも優しく◎。赤ちゃんだけではなく幼児のおやつにもできますよ。

たくさんの種類の野菜果物ピューレ。パッケージに入っているものが描かれているほか、オーガニックという点からもよく手が伸びます。

Kindercafeを体験

ドイツ玩具にも触れられる機会

デュッセルドルフ市内は、Kindercafe、Family cafeなど、予約が必須な子連れカフェがいくつかあります。実際に先日行ってきたのは、Baby Bee Spielraum。モンテッソーリ教育から影響を受けた施設で、0歳から5歳までが対象です。平日に友人が予約をしてくれて行ってきたのですが、2時間制で15€。ちょっぴり高いですが、施設の広さはピカイチ。約200㎡のオープンエリアにパパママのためのカフェのほか、広いスペースにドイツ玩具、本、アトラクションなどが充実しています。ドイツでは誕生日を本人がプレゼンツして友だちなどを呼んで大々的にお祝いしますが、そのパーティ会場としても利用することもできるそう。娘が歩いたり走れるようになったら、もっと利用頻度が高くなるなと思いました。

施設内は清潔感もあり、おしゃれな雰囲気。スタッフもフレンドリーで都度、片付けをしてくれるのでリラックスしてパパママも思い思いの時間が過ごせます。

ユニークなドイツ玩具もたくさん用意されているので、購入する前の参考になるかもしませんね。

可愛かった光景に思わずパシャリ。おむつ替えの際に子どもはよく動くのですが、ドイツでは気を散らすように天井に玩具がや絵が貼られています。今回訪れた施設にもありました。

▶その他のオススメKindercafe
https://www.instagram.com/montessorifamilycenter/
https://www.instagram.com/dayo.sport/
https://www.instagram.com/cafe_lespetits/
https://www.instagram.com/bude_eins/

ユーロカップ最終戦の会場の様子。ベルリンにて。優勝したスペイン側は赤一色に!

そうそう、いよいよパリオリンピックが開幕されますが、パリに住む友人曰く、こんな状態で開催されていいの? というような会場状態のようです。そうは言ってもどうにか開催されるであろうオリンピック。競技によってはまだチケットが残っているようですが、どんな大会になるの今からがとても楽しみです。一方で、パリでは観光客の増加に伴い街の治安とさらなる物価の上昇が心配されています。パリはヨーロッパの中でも非常に治安の悪い国。問題がないといいのですが……。
 
そんな中、ドイツも賑わいは負けていません。今年のサッカーのユーロカップの会場となり、多くの人で賑わっていました。私は娘がいたので会場に行くことができませんでしたが、大のサッカー好きの夫は、いろんな試合を観戦しに国内中の会場を回っていました。チケットも安いもので、¥10,000ほどで行けるので、想像していたよりリーズナブルで驚きでした。ドイツ国内は経済効果があったのではと思っています。さて、今年は我が家はバケーションが2週間以上あるのですが、例年と異なるのが、子連れ旅行というところ。持ち物も増えるし、子どもの搭乗レポなど、引き続きシェアしていきたいと思います! 素敵な夏休みをお送りください。
Bis dann!

text : HARUKA KOYAMA

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