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藤竜也、NYで『愛のコリーダ』上映できず「犯罪者か何かになったような気分だった」流暢な英語で50年前を振り返る

  • 2024.7.25
藤竜也、NYで『愛のコリーダ』上映できず「犯罪者か何かになったような気分だった」流暢な英語で50年前を振り返る
(C)2023 クレイテプス

藤竜也が海外映画祭で特別生涯功労賞を受賞、英語で感謝語る

藤竜也が、北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツにて、映画祭史上初となる特別生涯功労賞を受賞。流暢な英語のスピーチで感謝と映画への愛を語った。

森山未來、藤竜也の圧倒的演技が際立つサスペンス・ヒューマンドラマ『大いなる不在』。幼い頃に自分と母を捨てた父が警察に捕まった。報せを受けた卓(たかし)が久しぶりに父の元を訪ねると、そこには認知症で別人のように変わった父の姿があり、父の再婚相手の義母は行方不明になっていた。いったい何があったのか——。

本作は、2023年9月に開催された第48回トロント国際映画祭にてワールドプレミアを飾ったのち、第71回サン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門のオフィシャルセレクションに選出。日本人初となるシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を藤竜也が受賞するという快挙を成し遂げた。

さらに、アメリカ最古の国際映画祭である第67回サンフランシスコ国際映画祭でも、コンペティション部門にて最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞。初監督作『コンプリシティ/優しい共犯』(18年)に続き、近浦啓監督長編第2作目にして世界の映画祭で受賞、絶賛を博し、その勢いは止まらない。

そして今回、本作が正式出品されている米・ニューヨークのジャパン・ソサエティーで行われる北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツにて、藤が『愛のコリーダ』(76年)や『愛の亡霊』(78年)など、60年にわたるキャリアを持つ日本映画界の偉大な俳優としての功績と、その俳優人生を称える【特別生涯功労賞】を授与され、アメリカ時間18日に授賞式が行われた。なお、特別生涯功労賞(lifetime achievement award)は、藤の功績を称える賞であり、ジャパン・カッツとしても初めての授与となる。

満席で埋められた会場の中、大きく温かい拍手で迎えられ登壇した藤は流暢な英語で、「こんなに素晴らしい賞を私にくださり、ありがとうございます」と感謝。50年前大島渚監督の『愛のコリーダ』の際にNYを訪れた当時を思い、「我々は上映のためにリンカーンセンターに行ったわけです。ところがとても残念で悲しいことに本編の検閲の問題で上映が出来なかった。私たちはとてもがっかりしたし、犯罪者か何かになったような気分でね。ともかくそれから50年経ったいま、私はここにいて、こんな素敵な賞をいただいた」と自身の苦い思い出を述べた。

続けて「50年を経てようやくお客様にお礼を言えます。本当に時間の経過を感じます。映画って素晴らしいし、人生も本当に素晴らしいものです。ありがとうございました」と一層の感謝の意を語り、胸を動かされた観客による割れんばかりの大きな拍手で、受賞式は締めくくられた。

『大いなる不在』の公式上映は、エンドロールが始まるとともに、大きく長い拍手が響き渡り、観客の抑えきれぬ感動で会場の温度を熱くさせた。上映後には監督の近浦、藤が登壇し、拍手や笑いが起きる一幕も。一体感に包まれた公式上映となった。

本作は、現地時間7月19日よりNYの劇場アンジェリカ・フィルムセンターにて、その翌週26日にはロサンジェルスのレムリシアターでの劇場公開のほか、台湾、韓国、インドネシア、スペインで配給が決まっている。

『大いなる不在』は現在公開中。

■藤竜也スピーチ 全文日本語訳

こんばんは、みなさん。藤竜也です。こんなに素晴らしい賞を私にくださり、ありがとうございます。

(観客拍手)

そして、はじめまして。お会いできて光栄です。この場所に来られて、とても嬉しいです。というのも、これは私の2度目のNYへの渡航で、一度目はほぼ50年前です。

(観客WOW)

その時は映画の…タイトルが難しいんだよな…。

(スタッフから)『In the Realm of the Senses(『愛のコリーダ』の英語タイトル)』

「Realm」か。日本人には発音が難しいんですよ。「Realm」だか何だか…。

(観客笑い)

とにかくその映画でニューヨーク映画祭にご招待いただきまして。我々は上映のためにリンカーンセンターに行ったわけです。ところがとても残念で悲しいことに、本編の検閲の問題で上映が出来なかった。私たちはとてもがっかりしたし、犯罪者か何かになったような気分でね。ともかく、それから50年経ったいま、私はここにいてこんな素敵な賞をいただいた。

(観客拍手)

ありがとうございます。私が一番驚いたのは、明日の夕方メトログラフシアターで、その映画『愛のコリーダ』(R…Realm…?と言いつつ、頬をたたく)。

(観客笑う)

がついに上映されます。

(客席拍手)

50年を経て、ようやくお客様にお礼を言えます。本当に時間の経過を感じます。映画って素晴らしいし、人生も本当に素晴らしいものです。ありがとうございました。

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