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7月24日は【土用の丑の日】鰻(ウナギ)を食べるのはなぜ?栄養ポイントは?栄養士ライターが解説

  • 2024.7.23

ウナギの蒲焼きには食養生パワーがいっぱい!

ウナギの蒲焼きのイメージ
ウナギの蒲焼きのイメージ

土用の丑の日に食べるものとして、真っ先に鰻(ウナギ)を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。この記事では、土用の丑の日に多くの人が食べる「ウナギの蒲焼き」の栄養価をクローズアップ。食べ合わせが悪いと言われている、梅干しとの相性についても解説したいと思います。

土用の丑の日にウナギを食べるようになった驚きの理由

▲ウナギの蒲焼き。1串(1尾分)100gが目安量ですが、個体差があります。
▲ウナギの蒲焼き。1串(1尾分)100gが目安量ですが、個体差があります。

「土用の丑の日」とは、土用(季節が変わる目安となる約18日間)の期間中の丑の日のこと。夏だけでなく、春・秋・冬にも土用の丑の日があります。

季節の変わり目は体調を崩しやすくなるため、土用の丑の日に精のつく食べ物をいただく「食養生」の風習がありました。夏の土用の丑の日にウナギを食べるようになった由来は諸説あり、江戸時代の蘭学者・平賀源内が発案したウナギ屋の広告が大当たりした(いわゆるバズった)という説がユニークです。実は、天然うなぎの旬は秋~初冬にかけてですが、養殖うなぎなら一年を通しておいしくいただくことができます。

2串以上はNG!食べ過ぎに注意

▲ウナギの肝もビタミンAが豊富で、ウナギの身には少ない鉄や葉酸が多く含まれtています。
▲ウナギの肝もビタミンAが豊富で、ウナギの身には少ない鉄や葉酸が多く含まれtています。

ウナギの食べ方として一般的な「蒲焼き」の栄養について注目してみましょう。

●ビタミンA(レチノール)

ウナギにズバ抜けて豊富に含まれているのがビタミンA(レチノール)です。目と皮膚、鼻や喉の粘膜の健康維持に欠かせない栄養素で、不足すると暗い場所で見えにくくなったり(夜盲症)、肌が乾燥しやすくなったりします。また、がんや生活習慣病を誘発する活性酸素を除去し、ウイルスの侵入を防ぐ働きがあることでも知られています。ウナギの蒲焼き1串(100g)あたり、1500μg(マイクログラム)が含まれ、1日の推奨量(男性:18~29歳・65?74歳850μg、30?64歳900μg、75歳以上800μg/女性:18~29歳・75歳以上650μg、30~74歳700μg)を軽々とクリアできます。

実はビタミンAは摂りすぎ(過剰摂取)にも気をつけたい脂溶性の栄養素で、ウナギの蒲焼き2串(200g)以上は食べ過ぎに該当します(男女18歳以上の耐容上限量2700μgをオーバーしてしまいます)。過剰症のリスクとしては脱毛や頭痛、肝障害などがあり、妊娠中の場合は胎児への影響も懸念されていますので、ご注意ください。

●ビタミンB群

ウナギが夏のスタミナ源として重宝されているのは、疲労回復の働きがあるビタミンB1や傷ついた細胞を修復するビタミンB12,ストレスをやわらげるパントテン酸など、計8種類あるビタミンB群がバランスよく豊富に含まれているためです。三大栄養素と言われる炭水化物(糖質)・たんぱく質・脂質はビタミンB群の助けがないと、元気の素となるエネルギー、体を組成する筋肉や血液などをうまくつくり出すことができません。なお、ビタミンB群は水溶性のため、一度にたくさん食べすぎても尿の中に排出されます。

●良質な脂肪酸

ウナギは脂質が多い特徴がありますが、その多くは良質な脂肪酸です。中でも注目したいのが、EPA・DHAに代表されるn-3系(オメガ3)多価不飽和脂肪酸。ウナギの蒲焼き1串(100g)に2.87g含まれ、1日に必要とされる目安量(男性:18~49歳2.0g、50~74歳2.2g、75歳以上2.1g/女性:18~49歳1.6g、50~64歳1.9g、65~74歳2.0g、75歳以上1.8g)をクリアできます。

脂質は体内で1gあたり9kcal(キロカロリー)のエネルギー源となり、細胞膜やホルモンの材料となるなど、重要な働きをしています。とはいえ、摂りすぎてしまうと中性脂肪として蓄えられて肥満を招きやすくなりますので、“ばっかり食べ”は避けましょう。

※参考)ウナギ1串の目安量と栄養価:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、1日の推奨量・耐容上限量・目安量:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』

ウナギと梅干しの食べ合わせについて

ウナギと梅干し
ウナギと梅干し

ところで、ウナギと梅干しは食べ合わせが悪いと言われています。実は、科学的根拠を示すものはなく、ウナギのビタミンB1・梅干しに含まれるクエン酸のどちらも疲労回復を促す働きがあり、むしろ相乗効果が期待できる組み合わせと言えます。ただし、ウナギの脂っこさも梅干しの酸味も、食べすぎは胃に負担をかけるもと。体を気遣う昔の人からの教えとして、ありがたく受け止めておきましょう。 なお、鰻重(うなじゅう)またはウナギ丼だけでは野菜不足が否めません。おすすめは、寿司めしにウナギの蒲焼きの細切り、カイワレ大根やキュウリ、大葉などの野菜を組み合わせた「ひつまぶし風」。さっぱりと食べられるだけでなく、ウナギには少ないビタミンCと食物繊維を補給できて一石二鳥ですよ。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022

(野村ゆき)

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