『アイズ ワイド シャット』は、トム・クルーズとニコール・キッドマンの結婚生活にインスピレーションを得ていた

スタンリー・キューブリック監督は、当時夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンから、遺作となった映画『アイズ ワイド シャット』（1999）のインスピレーションを得ていたようだ。ひょんなことから妖艶で危険な世界に足を踏み入れてしまう倦怠期の夫婦を描くスリラーの公開25年を迎え、ニコールが「ロサンゼルス・タイムズ」紙のインタビューでこう明かした。

「キューブリック監督にたくさん質問されました。彼には自分が作る物語について強いこだわりがあって、『三角関係を描くのは難しい。三角関係に手をつけるなら慎重にならなくてはいけない』と言っていたのが思い返されます。一人が集中砲火を受けるようになりかねないからです。彼はその危険性をわかっていて、どうすればよいか知っていました」

撮影は2年にも及んだことで知られるが、実際の撮影に入る前、準備のために監督の自宅で2カ月近く話し合いが行われたという。ニコールは、1990年に結婚したトムとの生活について多くを語らないが、このインタビューでは珍しく言及している。「10分ほど離れた所に家がありましたが、トムと一緒にトレーラーで暮らしていました。スタンリーが『それぞれのトレーラーはない。用意する予算がないからね』と言ったからです」

2人は2001年に離婚するが、撮影当時は養子のイザベラとコナーを迎え、結婚生活も順調だったようだ。2020年に受けた「ニューヨーク・タイムズ」紙のインタビューでも、ニコールは「当時幸せな結婚生活を送っていました。撮影後にゴーカートをしに行ったりしていました。朝の3時に貸し切ってレースをしたんです」と振り返っていた。

Text: Tae Terai