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浅野忠信が「SHOGUN 将軍」藪重役へ込めた思いを語る【FAB FIVE】

  • 2024.7.23
1973年、神奈川県生まれ。1990年、『バタアシ金魚』で映画デビューし、2011年の『マイティ・ソー』でハリウッド映画初出演を果たす。『バトルシップ』(12)、『沈黙 –サイレンス–』(16)、『首』(23)、『湖の女たち』(24)など国内外の作品で幅広く活躍。Photo_ Frazer Harrison / FilmMagic
1973年、神奈川県生まれ。1990年、『バタアシ金魚』で映画デビューし、2011年の『マイティ・ソー』でハリウッド映画初出演を果たす。『バトルシップ』(12)、『沈黙 –サイレンス–』(16)、『首』(23)、『湖の女たち』(24)など国内外の作品で幅広く活躍。Photo: Frazer Harrison / FilmMagic

ハリウッドに進出して10年以上。俳優・浅野忠信のグローバルな活躍は、もはや常識となった。だが、そんな彼にとっても、2024年に配信されたドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」は特別な作品になりそうだ。ハリウッド製作の日本の戦国時代スペクタクルが圧倒的な支持を得て、エミー賞では見事22部門25ノミネートという快挙を成し遂げ、複数部門での受賞も期待される。

出世のためには裏切りにも手を染める藪重役で、浅野の実力も最大限に発揮された。「作品自体はもちろん、僕の役がここまで高く評価されたのは初めてかもしれません。日本でのキャリアも含め、僕は屈折した役、悪の側の役を任されることが多く、ある時期からそれを自覚し、どう演じれば面白くなるかを模索し続けました。今回の藪重役では、その成果を存分に出せた気がします」

Photo_ © 2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks
Photo: © 2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks

「SHOGUN」は、主人公の武将・吉井虎永を演じた真田広之がプロデューサーも務めたことも成功の大きな要因となった。ハリウッドに進出した“先輩”として真田はどんな存在なのか。そして現在50歳の浅野にとって今後の俳優業への向き合い方はどう変化しそうか。「真田さんは撮影現場の全パートに向き合い、現場の不安を拭い去っていました。粘り強い精神でのハリウッドでの蓄積に対しても尊敬がやみません。最近のハリウッドの傾向に『SHOGUN』の評価も加わり、日本人俳優のチャンスが広がっていますが、僕は『アメリカで自分をアピールするには、日本でもきっちり演技の仕事をこなす』ということを心がけています。変わってきたのは、若いときのように何でもがむしゃらに挑むのではなく、自分の感性にじっくり取り組むというスタンス。そんな年齢になったことを実感します」

1. 海外での撮影も多い浅野さんですが、たとえばロサンゼルスでお気に入りの場所は?

Photo_ Smith Collection / Gado / Getty Images
Photo: Smith Collection / Gado / Getty Images

初めてのハリウッド出演作である映画『マイティ・ソー』の撮影がロサンゼルスでした。その合間に車で少し走って、丘の上の住宅地に行ったとき、なぜだかわからないのですが、とても心が落ち着いたのを覚えています。今でも、海外の現場で時間ができると、その感覚を求めて、その街のごく普通の住宅街をドライブしたりします。

2. 撮影現場に持参する「お守り」的なものは?

Photo_ Javier Zayas Photography / Getty Images
Photo: Javier Zayas Photography / Getty Images

携帯するポーチに、つねに小さいおもちゃを入れています。僕らが子どもの頃に“カー消し”と呼んでいた車形の消しゴムや、ミニカーやブリキのおもちゃなどですね。何年か前に海外で撮影してるときにミニカーを持っていたら、子ども時代の感覚に戻って、日本から離れた現場でのストレスを忘れられたんです。怖くなったらおもちゃを触ると落ち着くみたいです。ある企業の社長が、おもちゃに囲まれた部屋で過ごしているのを知って、「大人でもおもちゃに癒されていいんだ」と思ったのがきっかけです。

3. 「SHOGUN 将軍」に絡め、国内外を含めて時代劇の世界で気に入っているものは?

Photo_ ©2024 Everett Collection All Rights Reserved.
Photo: ©2024 Everett Collection All Rights Reserved.

時代劇は母方の祖母が好きだったので、一緒にテレビで観たりと身近なものではありました。その中でひとつ挙げるなら、勝新太郎さんの「座頭市」シリーズ。ヒーローのようであり、悪の面も持っている。クールなだけでなく、そそっかしかったりもする。僕が「SHOGUN」で演じた藪重に通じるんですよ。藪重が悪役なのに憎めないと評されたのは、勝新さんの影響も受けながら演じた部分があったからかもしれません。時代小説では藤沢周平さんの『橋ものがたり』が好きですね。

4. 海外も含め多くの才能と仕事をしていますが、いつか共演したい人は?

Photo_ Andreas Rentz / Getty Images
Photo: Andreas Rentz / Getty Images

僕の祖父はアメリカ人なのですが、最近DNA検査をしたところ、日本の次に多く入っているのがイタリア系の遺伝子であることがわかりました。そのせいかイタリア系のスターに親近感が湧き、共演したい相手ということなら、以前から好きだったニコラス・ケイジですね。B級映画だろうと大作だろうと、彼はつねに真剣に取り組み、どんな役を演じてもずっと見ていられる。この“ずっと(観客を)惹きつける”演技は、じつは俳優にとって非常に難しいこと。彼はもっと評価されるべき人だと思います。

5. 最近よく聴く音楽を教えてください。

Photo_ Sulaiman Enayatzada
Photo: Sulaiman Enayatzada

インスタグラムで知った、Glass Beamsというバンドの『Mahal』というEPです。ものすごく曲がカッコいい。僕は今でも音楽活動を続けているので、曲をシェアした際のメンバーとの対話や、ライブでのお客さんの反応に喜びを感じます。俳優業でも現場の人たちの“反応”が大切。音楽と演技は基本的に別物ですが、共通点もありますね。

Text: Hiroaki Saito Editor: Yaka Matsumoto

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