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女王陛下も愛した穏やかで自然豊かな国・スコットランドを旅する【今年の夏はクールケーションvol.2】

  • 2024.7.22

【ランディーズ・ハウス】スコットランドの伝統建築と北欧の美意識が融合した上質な宿

部屋の窓から、北海に通じる美しい入江、カイル・オブ・タンを望む。Photo_ Fran Mart
Wildland部屋の窓から、北海に通じる美しい入江、カイル・オブ・タンを望む。Photo: Fran Mart

スコットランドの北部のインバネス空港から車で2時間ほど、なだらかな丘が続く風景を抜けると、カイル・オブ・タンと呼ばれる美しい入江を見渡す「ランディーズ・ハウス」に到着する。もともと19世紀の牧師の館だったが、厳しい冬の寒さから身を守る分厚い石壁で囲まれた建物は、スコットランドの伝統建築北欧の洗練されたインテリアが融合した上質なゲストハウスに生まれ変わった。ベッドルームは母屋の2階と中庭の離れに合計8室。母屋の1階にはゲストがくつろげるラウンジ、書斎、ダイニングルームなどの共有スペースがある。

インテリアデザイナーを兼ねるアンネは、シンプルなデザインで長く使える家具をセレクト。Photo_ Fran Mart
Wildlandインテリアデザイナーを兼ねるアンネは、シンプルなデザインで長く使える家具をセレクト。Photo: Fran Mart

オーナーは世界的なファッションリテールチェーン、ベストセラー(Bestseller)のCEO、アンダース・ホルヒ・ポブルセンと夫人のアンネ。ふたりはスコットランド最大の地主でもあり、各地に20以上のホテルやコテージを所有するが、なかでもランディーズ・ハウスは特別な存在だ。館内はトリーン・ソンダーガードやピーター・ボンデなど、デンマークの著名なアーティストの作品で彩られ、ダイニングルームの壁一面には、フランスのボタニカルアーティスト、クレール・バスレーが描いた植物画の花々が咲きほこる。ディナーでは、シェフが自らゲストのリクエストを聞き、それに合わせて、北海の魚介、野生の木の実やキノコなど豊富な地元食材を使い、温かみを感じる料理でもてなしてくれる。

天気のいい日は、中庭に面したオープンスペースでランチ。Photo_ Fran Mart
Wildland天気のいい日は、中庭に面したオープンスペースでランチ。Photo: Fran Mart

ランディーズ・ハウス(Lundies House)

Tongue, Lairg, IV27 4XF Scotland, U.K.

Tel./+44-1540-661619

料金/1室1泊595ポンド~ ※2024年7月現在

https://lundies.scot/

【ザ・ディッピング・ラガー】ブリティッシュロックの旋律を感じる小さな港町の小さな宿

アウター・ヘブリディーズ諸島と本土を結ぶ船が出る港町、アラプール。Photo_ Alexander Baxter
Dipping Luggerアウター・ヘブリディーズ諸島と本土を結ぶ船が出る港町、アラプール。Photo: Alexander Baxter

スコットランド北西部のアラプールは、人口わずか1,500人ほどの小さな港町。沖を流れる暖流が穏やかな気候をもたらし、夏の平均最高気温は、クールケーションに最適な16、17度に留まる。フェイシュと呼ばれるケルト文化の小さな祭りをはじめ、年間を通して音楽、演劇、美術のイベントが数多く開催されるカルチャーの町でもあり、英国内では人気のデスティネーションだ。

伝統的な英国風インテリアは、女性インテリアデザイナーのイブ・カレン・コーンズが担当。Photo_ Alexander Baxter
Dipping Lugger伝統的な英国風インテリアは、女性インテリアデザイナーのイブ・カレン・コーンズが担当。Photo: Alexander Baxter

「ザ・ディッピング・ラガー」は、アラプール港が面する入江、ロック・ブルームの美しい景色を望むアットホームな宿。オーナーのロバート・ヒックスとヘレン・チャーマーズが、2018年に築230年以上の住宅を購入し、3年間かけて丁寧に手を加えた。客室は3室のみで、すべての部屋に暖炉があり、個性的なアップサイクル家具、オリジナルのアート、快適なベッドやバスタブを備え、居心地がいい。ロバートとヘレンは音楽プロモーターでもあり、1階には主催したライブや、マムフォード・アンド・サンズやフランツ・フェルディナンドなど、親交を深めたバンドのポスターが飾られている。ディナー7品、ランチ4品のテイスティングメニューを提供するレストランの人気も高く、18人が着席できるダイニングルームはこじんまりとしたインティメートな空間で、その距離感が温かさを感じさせる。

キッチンではミシュラン1つ星のボース・ハウスなどで経験を積んだデヴィッド・スミスが腕を振るう。Photo_ Alexander Baxter
Dipping Luggerキッチンではミシュラン1つ星のボース・ハウスなどで経験を積んだデヴィッド・スミスが腕を振るう。Photo: Alexander Baxter

ザ・ディッピング・ラガー(The Dipping Lugger)

Ullapool, Wester Ross, IV26 2UR, U.K.

Tel./+44-1854-613344

料金/1室1泊(2食付)540ポンド~ ※2024年7月現在

https://thedippinglugger.co.uk/

【ラサックス・セント・アンドルーズ】ゴルフの聖地を見守り続ける創業137年の名門ホテル

セント・アンドルーズのオールドコースとは低い木の柵で仕切られているだけ。
セント・アンドルーズのオールドコースとは低い木の柵で仕切られているだけ。

スコットランドの羊飼いたちが始めた遊びがルーツと言われるゴルフ。18世紀にセント・アンドルーズのゴルフクラブが初めて英国王公認の団体となって以来、この地が世界中のゴルフの総本山となった。5年に1度、全英オープンが行われるオールドコースに隣接し、数々の名勝負の舞台となった18番ホールを見渡す絶好のロケーションにあるホテルが名門「ラサックス・セント・アンドルーズ」だ。1887年の創業後、一時低迷期もあったが、オーナーが変わり、2021年に大規模なリノベーションが行われた。エレガントな木製のヘッドボード、タータンチェックの絨毯、クラシックな大理石の洗面台など、客室は細部にまで設えにこだわり、館内に飾られた歴代チャンピオンのポートレートがゴルフの歴史を称える。

新設されたレストラン「18」は、リニューアルしたホテルの目玉。
新設されたレストラン「18」は、リニューアルしたホテルの目玉。

最上階のレストラン「18」の窓には、フェアウェイと海に加えて、アカデミー賞映画「炎のランナー」のロケ地、ウエストサンドの砂浜が広がっている。キッチンを預かるデレク・ジョンストンは、BBCの人気TV番組「マスターシェフ」の第1回優勝者。水揚げされたばかりのロブスターや熟成したスコットランド原産アンガスビーフなど、多彩な地元食材を駆使して、クリエイティブなレシピを考案する。明るい光が差し込む1階のブラッスリーやクラシックなスコットランド風パブもデレクが指揮し、由緒あるホテルに新しい魅力を加えている。

ゴルフコースの芝生のグリーンやスコットランド国旗のブルーを基調とする客室。
ゴルフコースの芝生のグリーンやスコットランド国旗のブルーを基調とする客室。

ラサックス・セント・アンドルーズ(Rusacks St Andrews)

Pilmour Links, St Andrews, KY16 9JQ, U.K.

Tel./+44-1334-474321

料金/1室1泊(朝食付)219ポンド~ ※2024年7月現在

https://marineandlawn.com/rusacksstandrews/

Text: Yuka Kumano Editor: Sakura Karugane

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