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「曇る、息苦しい」マスクの問題点をすべて解消した風のシールド!

  • 2024.7.20
風のシールドでウイルスを防ぐヘルメット
風のシールドでウイルスを防ぐヘルメット / Credit:University of Michigan

コロナ禍で常時マスクをするという生活の中で、息苦しくて嫌だ、メガネが曇るといった悩みを抱えていた人は多いかもしれません。

工場や工事現場などでは、防塵などの目的で常時マスク着用しますが、体を動かす必要の多い仕事現場では特にマスクの息苦しさは問題です。

また防塵目的だとゴーグルも併用することが多いため、マスクで曇るという問題も悩ましいものになります。

そこでアメリカのミシガン大学(University of Michigan)に所属するヘレック・クラック氏らは、フィルターのない見えないマスクを開発しました。

これはヘルメットの縁から吹き出される「風のシールド」により、装着者の顔に近づく空気中の物質を遮断するというもので、ウイルスであっても99%防御できるという。

こうなるとフィルターを使った通常のマスクよりも効果が高いかもしれません。

マスクをしない時代の到来です。

目次

  • マスクのデメリット「呼吸しにくい」「曇る」から解放へ
  • 「風のシールド」を作り出すヘルメット

マスクのデメリット「呼吸しにくい」「曇る」から解放へ

私たちはコロナ禍でマスクを装着することに慣れたかもしれません。

しかし誰もが、「マスクをすると呼吸しにくい」と感じているはずです。

また「メガネが曇る」ため、メガネユーザーにとっても不便です。

そしてマスクは、工場、農場、工事現場で働く人にとって一層煩わしいものです。

マスクを装着して働く人々
マスクを装着して働く人々 / Credit:Canva

なぜなら彼らの多くは1日中マスクを装着しなければいけないからです。

しかもマスクを着用しながら肉体労働するため、いつも苦しく、また防護ゴーグルを併用することも多いため曇ったメガネで視野が悪い状態が続きます。

こうした問題に取り組んだのが、ミシガン大学(University of Michigan)に所属するヘレック・クラック氏らです。

彼らは、「風のシールド」を作り出すヘルメットを開発し、マスクで口と鼻を覆うことなく、空気中のウイルスを99%も遮断できることを示したのです。

そして現在、この新しいデバイスは、クラック氏らのスピンオフ企業「Taza Aya」によって商品化されています。

では、いったいどのようにウイルスを防ぐことができるのでしょうか。

「風のシールド」を作り出すヘルメット

ヘルメットのつばから空気を噴射するデバイス
ヘルメットのつばから空気を噴射するデバイス / Credit:University of Michigan

Taza Aya社によって商品化された新しいデバイスは、一般的なヘルメットと同じように頭に装着できます。

そしてヘルメットのつばの部分には下向きの空気ノズルが並んでおり、この部分から空気が噴射されるようになっています。

これにより、装着者の顔周辺には「風のシールド」が作られ、マスク無しでもウイルスを防ぐことができるというのです。

実際のテストでは、ただ風の流れを作り出すだけでも、エアロゾル(ウイルスを含む)が装着者の顔に到達するのを99.8%防ぐことができました。

風のシールドでウイルスの99%を遮断する
風のシールドでウイルスの99%を遮断する / Credit:Michigan Engineering(YouTube)_An invisible, virus-killing mask(2024)

しかし、このデバイスはそれだけにとどまりません。

そのヘルメットと繋がった小さなバックパック(約4.5kg)には、バッテリーや電子機器、空調システムの他に、「低温プラズマ」モジュールが搭載されています。

もともとプラズマは高温な環境下でしか生成できませんでしたが、最近では技術の進化により、低温でも生成できるようになりました。

この低温プラズマは照射することで有機物を分解し、洗浄・殺菌できます。

今回の新しいデバイスでは、単に風のシールドでエアロゾルを防ぐだけでなく、噴射される空気を低温プラズマによって殺菌しています。

Taza Aya社によると、この方法を取ることで、ほぼ100%に近い数値でウイルスを防ぐことができるのだとか。

鶏肉工場で試験運用中。従来のマスクはもういらない
鶏肉工場で試験運用中。従来のマスクはもういらない / Credit:Jeremy Little, Michigan Engineering

現在、このデバイスは、アメリカの鶏肉加工工場で試験運用中です。

彼らは通常、鳥たちからもたらされるウイルスの脅威にさらされており、マスクを着用しなければいけません。

しかし今では、この新しいデバイスによって、息苦しさやメガネの曇り、コミュニケーションの難しさから解放されているようです。

Taza Aya社は、2025年の発売に向けて意欲的に取り組んでいます。

参考文献

An invisible mask? Wearable air curtain, treated to kill viruses, blocks 99.8% of aerosols
https://news.umich.edu/an-invisible-mask-wearable-air-curtain-treated-to-kill-viruses-blocks-99-8-of-aerosols/

Air curtain’ hard hat works like an invisible face mask
https://newatlas.com/wearables/worker-wearable-air-curtain-blocks-viruses/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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