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パリで描かれた新たな自画像

  • 2024.7.20

Erina Matsui

パリで描かれた新たな自画像

Erina Matsui
Top Photo:《パラドキシカルポートレート》(2023) キャンバスに油彩、H162xW130.5cm 撮影:坂本理 © Erina Matsui, Courtesy of ANOMALY

アーティスト 松井えり菜の個展「アストラル・ドリーマー」が、ANOMALYにて7月20日(土)から9月7日(土)まで開催される。滑稽な表情や極端にデフォルメした顔など、「変顔」と呼ばれる自画像で知られる松井えり菜。2004年にGEISAI#6で金賞を受賞した後デビューし、以後自画像やその絵画史、自己の作品のルーツについて考察を続け、制作・発表をしてきた。今年市原湖畔美術館で開催された「市原湖畔美術館子ども絵画展」では、ゲストアーティストとして子どもと共に新作を発表するなど、精力的な活動を展開している。

《パラドキシカルポートレート》(2023) キャンバスに油彩、H162xW130.5cm 撮影:坂本理 © Erina Matsui, Courtesy of ANOMALY

松井にとっての絵画制作とは、現実では叶わない理想郷を自由に構築できる場であり、スペクタクルな宇宙空間と日常の自分自身との対比など、スケールの大きな世界を描くことのできる手段としてあり続けてきた。

少女漫画やアニメから大きな影響を受け、ブロンドの少女や西洋文化に強く惹かれてきたという彼女は、そうした憧れの対象に変身するような自画像の一方で、多くは変顔と呼ばれる自分の滑稽さを素材にした顔をキャンバス上に体現してきた。

《子供部屋のアトリエ》(2022) キャンバスに油彩、H41xW32cm 撮影:坂本理 © Erina Matsui, Courtesy of ANOMALY

近年はパリに赴き制作を進める中で、何を描いて何を描かないかを改めて考察し、描かなかったことで広がる無限空間に着目するように。
巧みさに通じるリアリズムから距離を置き、少女漫画のような素敵な自分ではなく、朝起き抜けで髪の乱れた自身のリアリティを描くことで、鳥瞰する視点が絵画に現れるようになったという。

歳を重ね、自身とその中の少女性が乖離していく実感を伴った今回の彼女の作品では、描かないことで現れる世界と他者の視点が展開される。

本展のタイトルである「アストラル・ドリーマー」は、幽体離脱し、夢、時には悪夢という現実の中にさまざまな自分がいる、といった意味合いの造語でもある。

また7月20日(土)には、松井と東京都現代美術館の学芸員 西川美穂子によるトークイベント「ハレとケ、映えと毛」が開催される。


作家が年齢を重ねる中で獲得した、俯瞰的な視点。
ありのままの姿が描かれた自画像に、自己をめぐる意識の変遷を感じて。



ANOMALY
03-6433-2988



【Erina Matsui “Astral Dreamer”】
DATE:7月20日(土)~9月7日(土)
TIME:12:00pm~6:00pm
※月曜、日曜、祝日休廊
※8月11日(日)~19日(月)まで夏季休廊
PLACE:ANOMALY
ADDRESS:東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex4階
ADMISSION FREE
WEBSITE:anomalytokyo.com/exhibition/astral_dreamer/
※辰野登恵子展が同時開催

【Erina Matsui × Mihoko Nishikawa Talk Event】
DATE:7月20日(土)
TIME:4:00pm~5:30pm
PLACE:ANOMALY
ADDRESS:東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex4階
ADMISSION FREE

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