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【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光

  • 2024.7.18
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光

Text by 高橋アオ

Jリーグ史上最強のチーム鹿島アントラーズを率いた石井正忠監督は、昨年11月23日にタイ代表指揮官に就任した。

1999年にアカデミーのコーチから指導者キャリアを始め、2017年5月まで常勝軍団鹿島を約19年支え続けた。

Jリーグ、天皇杯、ルヴァン杯を制覇し、2016年に開催されたクラブワールドカップではJリーグクラブ史上最高成績となる準優勝へ導いた。

2021年からタイ1部ブリーラム・ユナイテッドの指揮を執り、2年連続で国内三冠(リーグ、協会オープンカップ、リーグカップ)を達成して前人未到の金字塔を打ち立てた。8月13日にタイ代表のテクニカルディレクター(TD)へと就任するも、9月18日に退任した。

紆余曲折を経てタイ代表に指揮官に就任した石井監督をQolyがインタビューを実施。

第6弾はブリーラム・ユナイテッドで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光と挑戦を語った。

※諸事情により1年前に取材した内容を掲載いたします。

(取材日2023年6月15日)

タイ屈指の強豪クラブでのプレッシャー

――サムットプラカーン退任後にタイ屈指の強豪ブリーラム・ユナイテッドの監督に就任されました。ブリーラムは鹿島のように常勝を求められるチームですけど、監督に就任されたときは、プレッシャーはありましたか。

そうですね。僕が日本で監督に就任したときは、どこもチーム状況が悪くて就任しているじゃないですか。

今回は1stレグ1位の状態で僕が監督に代わっているので、まず順位を維持してチャンピオンで終わらなきゃいけない。それが最低のミッションでした。そのプレッシャーはやっぱりありましたね。

前人未到の2年連続国内3冠

――ブリーラムの監督に就任してリーグ、国内カップ、リーグカップを制覇をされました。初の国内3冠を振り返っていただけますか。

まずその年はリーグ優勝することが目標にありました。まずそれを達成したことで、1つホッとしました。カップ戦に関しては一発勝負なので。でもリーグ戦を見ているなかで、しっかり自分たちのサッカーができれば当然勝てるはずだという感じでした。

選手たちも自信はありましたからね。そういう部分では日本にいるときの(国内)3冠よりも、比較的自分の中でも落ち着いてできたと思いますね。

【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光

――2年連続での国内3冠。タイのサッカー史上初の大偉業を達成しました。プレッシャーはありましたか。

前年度のチャンピオンチームでしたから、当然分析もされて、全チームを敵にするみたいな形になるわけじゃないですか。

だからもう1戦、1戦本当に気を抜けない。もう下位のチームでも気を抜けませんでした。あとは無敗優勝もかかっていたんですよ、最後の5試合ぐらいまでね。

もう対戦するチームはブリーラムをどうにか土を付けて、例えば「オーナーさんからボーナスを倍にしてもらおう」とか(笑)。そういうこともいろいろ考えていると思うので、だから本当に取りこぼせないプレッシャーはすごくありましたね。

――達成した瞬間はどういった感情が込み上げましたか。

正直、達成感よりホッとした感じです。僕は「ああ、これで終わった。3冠を取れた。良かったなぁ」という感じですね。無敗優勝はできなかったので、逆に(無敗優勝をしていたら)「3冠は取れなかったのかな?」と思っていますね。

敏腕分析官の助けもあった

――壮絶なプレッシャーがかかる中で、選手のメンタルやコンディションを安定させる仕事は相当苦労しそうですね。

ケガ人をその間に出せないですからね。ただ1つ良かった点は、リーグ戦が全部終わって、(残り試合が)2つのカップ戦のファイナルだけだったんですよ。だからそれも良かったかなと思っています。

やっぱり、(リーグ戦)途中に(カップ戦が)あると難しいじゃないですか。だからリーグを優勝した時点で、ある程度は「これ本当に3冠狙えるな」という気持ちになれたし、選手も多分そう思っていたと思いますよ。

【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光

――以前取材した間瀬秀一監督(JFLヴィアティン三重)からブリーラムの長嶺寛明分析官についてお聞きしました。間瀬さんも「すごく優秀」と評価していまして、石井監督の目から見て長嶺分析官の分析はいかがですか。

分析力も非常にありますし、いろんな世界のサッカーを見ています。ミシャさん(J1北海道コンサドーレ札幌ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)の下で長くやっていたので、攻撃のイマジネーションの部分がすごくあります。

――シーズン国内3冠を2年連続で獲得できたのも、長嶺分析官の力が大きかったのでしょうか。

そうですね。僕はすごく刺激を受けました。特に攻撃のところでね。僕のなかでは、確実に彼の影響は大きな割合を占めていますね。

ACLについての展望

――タイ国民は自国クラブチームにアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を初制覇してほしいと願っていると思います(前身のアジアクラブ選手権ではタイ・ファーマーズ・バンクFCが1993-94、94-95シーズンを連覇)。ACLについての意気込みをお聞かせください。

昨年はプレーオフで負けちゃったんですよ。ブリーラムが集中開催の会場だったんですけど、残念ながら出られなくて。韓国のチームに負けました(大邱FCにPK戦の末敗退)。

ただ2年連続で(国内)3冠を取る目標を今回達成できました。僕自身も、自分で首を絞めるような形で取ってしまったので、次の目標はさらに高いところを狙わなきゃいけない(苦笑)。そういう意味では、ACLでできるだけ高い位置まで行くことが今年の目標です。

クラブオーナーさんもそれを考えていて、選手も同じようなことを考えているはずです。だからそこに向けてどういう働きかけをすればいいかは、今年のプレシーズンの課題にしなきゃいけない部分でした。

それを昨シーズンから言い続けていたんですよ。「自分たちは当然3冠する目標なんだけど、その先にはACLがあってその準備も兼ねているんだよ」と去年からずっと言っています。「今年はしっかりやろうね」、「その目標を達成しようよね」とね。できるだけ高い位置まで行きたいと思っています。

――新シーズンの具体的な目標を教えてください。

ACLで、できるだけ高いところまで行くことが目標ですね。

――3シーズン連続の国内3冠も含めて4冠ですね(笑)。

それをいうことは簡単だと思うんですけど(苦笑)。そこまで欲張ったらサッカーの神様は、そんなに優しくないと思います(苦笑)。

ここはどっちかですね。例えば(国内)3冠を狙わなくてもリーグ戦は3連覇するか、ACLを取るぐらいまで行くか。そういう目標のほうが僕はいいと思っています。

【インタビュー】タイ代表石井正忠監督がブリーラムで築いた前人未到の2年連続国内3冠の栄光
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最終回はタイのサッカー界の成長、タイリーグと日本人選手の相性、今後のキャリアの抱負ついて語った。

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