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口腔内だけでなく全身の疾患にも影響? 「歯周病」を医師が解説

  • 2024.7.18

歯周病

働く女性が気になる症状や疾患について解説。今回は、口腔内だけの問題ではなく全身の疾患にも関わってくる「歯周病」をひも解きます。

出典:シティリビングWeb

教えてくれたのは…吉川涼一先生

神戸市の吉川歯科医院院長。“歯科治療から全身の改善につなげること”をモットーに診療。著書に「その病気、『診方』を変えれば治ります」(現代書林)など

Q.歯周病の初期症状は?

30代であれば、程度の差はあってもほとんどの人が歯周病にかかっていると考えていいでしょう。最初に気づくのは、歯みがきの際の出血。進行すると出血がひどくなり、歯ぐきが赤く腫れてぶよぶよしてきます。歯と歯ぐきの間にある溝「歯周ポケット」が深くなり、細菌がたまりやすくなり進行していきます。こうした状態が続くと、口臭が発生し、歯ぐきがやせて歯が長く見えるようになります。出血と同時に膿が出てくることもあり、食べ物の味が悪くなります。歯と歯の間に隙間ができると、食べかすが詰まりやすくなります。最終的には、歯がぐらつき、抜け落ちることも。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な歯科検診が重要です。

Q.歯周病になりやすい人は?

喫煙者が挙げられます。喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため、歯ぐきの健康に悪影響を及ぼします。ほか、睡眠時に口呼吸になっている人、歯ぎしりをする人、歯並びが悪い人、遺伝的要因のある人、唾液に粘り気のある人、唾液のpHが酸性に傾いている人は注意が必要です。

Q.全身の疾患に関わるって本当?

歯周病は、単なる口腔内の問題だけでなく、全身の健康にも深刻な影響を与えます。「病巣感染」といって、もとの病巣とはまったく違う場所で違う症状を引き起こすことがあります。歯周病の細菌が血流に乗って全身に広がり、他の部位に影響を与えるのです。具体的には、歯周病が原因で心筋梗塞、脳梗塞、狭心症、動脈硬化、糖尿病、骨粗しょう症などのリスクが高まるとされています。また、関節リウマチ、がん、アルツハイマー認知症、肥満なども歯周病との関連が指摘されています。また、糖尿病の人は歯周病と相互に悪影響を及ぼし合うため、特に注意が必要です。

Q.妊娠時にもリスクがある?

歯周病が原因で歯ぐきが炎症を起こすと、炎症反応の一環としてサイトカインという物質が放出されます。このサイトカインが女性ホルモンのプロスタグランジンの分泌を刺激し、子宮を収縮させることがあります。これにより、早産や低体重出産のリスクが高まります。妊娠中は喫煙や飲酒と同様に、歯周病も大きなリスクとなるため、必ず治療を受けることが重要です。

Q.日頃からできる対策は?

歯周病の予防には、正しい歯みがきが基本です。歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを使って歯と歯ぐきの間をしっかりきれいにしましょう。その上で洗口剤を使用することも効果的です。それでも100%は落ちきれないので、定期的に歯科で検診を受け、クリーニングしてもらうことも大切です。

食後はすぐに歯みがきを行うこと。30分後という説もありますが、30分後につい忘れてしまう可能性があるくらいならすぐにみがくことをおすすめします。毎食後に歯みがき、フロス、歯間ブラシ、洗口剤をすべて行うのは大変だと思うので、少なくとも夜寝る前には念入りなケアを行いましょう。

また、柔らかくて粘着性の高いものばかりではなく、硬い食べ物を積極的に摂取し、歯ぐきに刺激を与えて鍛えることも大切です。

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