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大注目! 70年代を彷彿させるノスタルジックなムード。【2024年秋冬トレンド解説|柴田麻衣子編】

  • 2024.7.18

海外コレクションを取材した5人のおしゃれプロに緊急アンケート。今シーズンのムードから感動のショーまで、それぞれの視点でとらえたライブなトレンド解説をお届け。

70年代を彷彿させるノスタルジックムードに大注目。

柴田麻衣子
リステア バイヤー&クリエイティブディレクター

Q1. 24-25秋冬コレクション全体のムードや傾向。

Answer:主体となるムードは、クワイエットラグジュアリーに端を発するミニマルなラグジュアリー。

しばらく継続している要素で、一見新しさはないかもしれないが、そこにはブランドのコードを紐解き、あくまでも丁寧なものづくりで、素材や色、クラフト感で新鮮さを表現するというデザイナーの基本的な思いが表れているのでは?

Balenciaga

そしてセレブ起用の賑やかなマーケティングとは裏腹に、たとえば、バレンシアガのショーでは、スクリーンで覆われた会場にAIやSNSをテーマとした映像を映し出し、アンリアルワールドへの警鐘とも取れる雰囲気を作り出したり、コム デ ギャルソンは「怒り」がテーマだったり、プラダにおいても、航空と航海からインスパイアされたミリタリーテイストのワーキングユニフォームとして、力強さを見せたりなど、決して朗らかで楽観的ではなく、現在のさまざまな出来事への強い思いやメッセージが込められた、深くて強いムードが漂っているように感じました。

Comme des GarÇons

Prada

Q2. 注目しているトレンド(スタイル、アイテム、素材など)は?

Answer:新しいトレンドとして大注目しているのは、70年代を彷彿させるノスタルジックなムード。

Chloé

特に、シェミナ・カマリによる新たなクロエは、ロマンティックでセンシュアルで、素材やアクセサリーにはモダンな遊びがあって、それでいて上品かつほどよい抜け感もあわせ持っている。

まず、キーとなるピースがケープ。さまざまな素材で登場するが、透けるジョーゼットドレスに合わせるスタイルに注目。襟を立てて男前に着るジャケットも、インにはボリューム袖のジョーゼットブラウスを合わせその袖口を出すような甘辛ミックスがとても上手。アーカイブから登場の馬やバナナモチーフのキッチュなアクセサリーも良いバランスを作り出しています。

Q3. 特に印象に残ったブランドとその理由。

Answer:著名な師やメゾンでの経験を取り入れつつも、新しいアイデアと自分ならではのコードのようなものを掛け合わせ、ユニークなコレクションを見せてくれた若い才能が印象的だった。

Alainpaul

ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクの元で学んだジュリー ケーゲルはニットも布帛も、バッグ用レインコートなどのアクセサリーアイテムまでフルラインナップで高いレベルのデザインができるのがすごい。

衣服のみならず、ベルトやスプーン、まち針などあらゆるものをアップサイクルしてクールに蘇らせるホダコヴァは、アートピースと見紛うほどの斬新なアイデアに驚かされた。元バレエダンサーで、デムナの元で経験を積んだアラインポールは、テーラリングとダンスの要素を上手く掛け合わせたアイテムが揃い、まだ2シーズン目ながらすでに自身のコードを確立しつつある。

Q4. コレクション取材を終えて感じることは?

Answer:セレブマーケティングとそれにまつわるトラブルが印象に残っています。

各ブランド会場内外、セレブリティの熱狂騒ぎは過熱状態で、エントランスも大混雑。あまりの人だかりに入口がわからず遅刻しそうになったり、ガラパーティ会場ではセレブの写真を撮ろうとする人の雪崩に巻き込まれて足にけがをしたりと、プチ事件の連続でした。

柴田麻衣子
Maiko Shibata
リステア バイヤー&クリエイティブディレクター
@maikorestir

*「フィガロジャポン」2024年7月号より抜粋

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