1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【自己肯定感の上げ方】まずは“認める”ことから始めよう!現代人にこそ「セルフコンパッション」をおすすめする理由

【自己肯定感の上げ方】まずは“認める”ことから始めよう!現代人にこそ「セルフコンパッション」をおすすめする理由

  • 2024.7.15

自己肯定感ってそもそも何…?

自己肯定感のイメージ
自己肯定感のイメージ

最近、自己肯定感という言葉をよく目にすることが多いと思います。「自己肯定感低めのあなたへ」といったような本やSNSの投稿、雑談のなかでの「自分は自己肯定感低くて」といった言葉があります。自己肯定感は、高い/低いで表現され、自己肯定感は高い方がいいといわれています。そもそも、自己肯定感って一体なんでしょうか。

文部科学省の定義では『自己肯定感については、これまでも様々な捉え方が示されてきましたが、その一つとして、勉強やスポーツ等を通じて他者と競い合うなど、自らの力の向上に向けて努力することで得られる達成感や他者からの評価等を通じて育まれる自己肯定感と、自らのアイデンティティに目を向け、自分の長所のみならず短所を含めた自分らしさや個性を冷静に受け止めることで身に付けられる自己肯定感の二つの側面から捉えることが考えられます』とあります。

つまり、何かができているから、または、何かがあるからと条件つきで自分を肯定できる“自尊心”のようなものが一つの捉え方。一方、条件つきじゃなく“自分のありのままを認める”という捉え方があります。ここでは、後者の自己肯定の捉え方で、自己肯定感を高める手法「セルフ・コンパッション」をご紹介します。

自分のありのままを認める「セルフ・コンパッション」とは

自分自身に優しく接する
自分自身に優しく接する

現代人は仕事やプライベートのストレス、将来への不安など、日常的に多くのストレスや困難にさらされています。ネガティブな心理状態をコントロールする方法として「セルフ・コンパッション」があります。企業でもメンタルヘルス対策としてこの「セルフ・コンパッション」を取り入れているところもあるほどです。

「セルフ・コンパッション(self-compassion)」とは、「自分自身が感じている痛みを認め、優しさをもってそれに接すること」を指します。しかし、自分に優しくすると、自分を甘やかしたり正当化したりしてしまうことになるのではないか、という不安を感じられるかもしれません(そんな気持ちを「コンパッションへの恐怖」と言います)。

まず、「セルフ・コンパッション」を構成する重要な3つの要素とその効果を見ていきましょう。

一つ目は、「マインドフルネス(mindfulness)」です。自分の中にある苦しみといった感情でも、等身大の自身の感覚として、ありのままで受け入れることです。自分の気分に対して恐れたり回避せずに受け止めてあげられるようになります。

二つ目は、「自分へのやさしさ(self-kindness)」です。自分自身を親友と同じように優しく接し、ネガティブな考えや自己否定をなるべくしないように心がけましょう。そうすれば、おのずと前向きな気持ちになり、自分の人生の目標へのモチベーションにつながります。

三つ目は、「共通の人間性(common humanity)」です。人は困難に直面した際に、「自分だけしんどい」と一人で抱えこんでしまいます。人間誰でも困難があることを認識し、自己と他者に共通の人間性を見出していくことも大切です。同じような状況の他者を理解・共感することにつながるでしょう。

セルフ・コンパッションで自己肯定感を高める

いま読まれているあなたも、「自己肯定感を高めるには」ということをしばしば考えたり、そのような内容の話に触れたりすることがあるかもしれません。多くは、何かが「できた、達成した」という自尊心を高めることを指していることでしょう。セルフ・コンパッションは、自分を認めて優しくして自己肯定感を高める手法なのです。さらに、セルフ・コンパッションを育むトレーニングが、「コンパッション・スキル・トレーニング」であり、そのようなアイデアに基づいた心理療法に、「コンパッション・フォーカスト・セラピー」というものがあります。

なお、セルフ・コンパッション・スキルトレーニングができるワークブックとして、クリスティン・ネフらによる『マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック 自分を受け入れ、しなやかに生きるためのガイド』(星和書店、2019)があります。さらに詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

“セルフ・コンパッション”エクササイズのやり方

まずは、セルフ・コンパッションの必要性を認めてあげよう
まずは、セルフ・コンパッションの必要性を認めてあげよう

今回は、セルフ・コンパッションを実証的に研究した先駆者・クリスティン・ネフによる、「セルフ・コンパッションと身体」と題されたワークを、数あるセルフ・コンパッションのエクササイズの1つとして取り上げます。自分の身体の不完全さを思いやったうえで、「生活の満足感や自分の健康は自ら高める必要がある」ということを認めるためのエクササイズです。

(1)ペン・紙を用意し、自分の身体について、優しく、かつ正直に評価する。※気に入っている特徴を書き出し、満足している側面をしっかり評価する。

(2)あまり気に入っていない特徴を書き出し、不完全な人間であるがゆえの困難を抱えている自分を思いやる。※欠点を軽視もせず、大げさに騒ぎ立てもしないこと!

(3)自分の不完全さについて考えている自分(自分の身体への不満足と向き合っている自分)を思いやる。

(4)自分の身体について、他の人がどう思うかは忘れて、健康や幸せのために変えたら気分がよくなりそうだと自分が思うことを書き出してみる。

まとめ

いかがでしたでしょうか。いまの現代社会では、役に立つこと・数字・競争への“とらわれ”が多く存在します。そのような社会の中で条件づけの自己肯定を求めがちです。しかし、それで得られた自己肯定感は状況が変わわればまた下がるでしょう。そんな時は、ぜひ、セルフ・コンパッションのやり方を思い出してください。たとえネガティブな状況が起こっても、自分自身でストレスや不安を和らげ、前向きな気持ちで日々を送ることができるようになります。それが、幸福感や人生の満足度につながります。

<参考・引用>・ラス・ハリス(2021) 岩下慶一(訳)『自分自身にやさしくすれば悩みの出口が見えてくるーマインドフルネスと心理療法ACTで人生のどん底からはい上がる』筑摩書房・クリスティン・ネフ(2021) 石村郁夫・樫村正美・岸本早苗(監訳)・浅田仁子(訳)『セルフ・コンパッション【新訳版】ー有効性が実証された自分に優しくする力ー』金剛出版・デニス・ターシュ/ベンジャミン・シェンドルフ/ローラ・R・シルバースタイン(2021) 酒井美枝・ 嶋大樹・武藤崇(監訳) 伊藤義徳(監修)『ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)実践家のための「コンパッションの科学」ー心理的柔軟性を育むツールー』北大路書房・村上靖彦(2023)『客観性の落とし穴』ちくまプリマー新書

(川口将人)

元記事で読む
の記事をもっとみる