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建築家の中村好文さんが語る、長野・松本。建築、音楽、工芸…。城下町の文化が息づく町。

  • 2024.7.20

繰り返し訪れているからこそ知っている、季節によって変わりゆく景色。いつも変わらないあの店、必ず買って帰るお土産、ふだんの町並み。旅好きのあの人が語る、何度も足を運んでいる町とその魅力とは。

町を流れる女鳥羽川や松本城を眺めて、食べて、飲んで。

長野県松本市は、国宝・松本城を中心に、女鳥羽川(めとばがわ)を挟んで城下町の面影が残る町並みが広がる。

僕が松本に足繁く通うようになったのは、40年ほど前に木工作家の三谷龍二さんの自宅の設計を手がけたのがきっかけです。そして設計監理のために現場に行けば、一緒に飲んだり、食べたり……おいしい店もいろいろ教えてもらいました。

鰻なら『山勢』、和食は『滿(みつ)』、中華なら『驪山(れいざん)』が好きです。イタリアンなら僕が設計した『みたに』もあります。

それぞれ素晴らしくおいしく、お店の雰囲気もいいのに、値段はとてもリーズナブル。

松本は小澤征爾さんの指揮で世界的に有名な「サイトウ・キネン・オーケストラのコンサート」、串田和美さんが芸術総監督をしていた「まつもと市民芸術館の演劇」、あがたの森公園で開催される「クラフトフェアまつもと」など、文化的イベントも目白押し。

お城のある町は概して文化的なレベルが高いのですが、国内でこれほど充実している町を僕は知りません。また、松本城、旧制松本高等学校、旧開智学校校舎など、素晴らしい建築が多いことも特筆すべきことです。現代建築も伊東豊雄さんの設計したまつもと市民芸術館などがあります。

僕にとって町の中を川が流れていることや、本格的なBARがあることも「いい町の条件」なのですが、松本には女鳥羽川が流れていますし、『MAIN BAR COAT』『OldPal』といった大人のBARもあって、申し分なし!です。

長野・松本
 Matsumoto_Nagano
長野県の中信地方は国宝・松本城の旧城下町。山岳・音楽・学問の都として「三ガク都」を称する。上高地、美ヶ原、穂高岳、槍ヶ岳など景勝地も豊か。東京・新宿から松本へは、特急あずさで約2時間40分。

中村好文 建築家
 Yoshifumi Nakamura
設計事務所と品川職業訓練校木工科を経て、1981年にレミングハウス設立。’87年には「三谷さんの家」で第1 回吉岡賞を受賞。著書に『中村好文 普通の住宅、普通の別荘』(TOTO出版)など。

重要文化財の旧制松本高等学校は、現在はあがたの森文化会館として市民の文化活動の拠点になっている。

 

illustration : Naoya Sanuki text : Mick Nomura (photopicnic)

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