1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 【新しい生き方を見つけた女性たち】 デザイナーから雑貨・喫茶店店主に 今井クミさん

【新しい生き方を見つけた女性たち】 デザイナーから雑貨・喫茶店店主に 今井クミさん

  • 2024.7.15

年齢とともに、これまで築き上げてきた愛着のある人や物を大事にする一方で、新しい景色に出会いたい―と新しい挑戦をした3名の方々を取材しました。

デザイナー → 雑貨・喫茶店店主
今井クミさん
60歳
東京でデザイン事務所を運営するアートディレクターから、鎌倉で喫茶兼ギャラリーの店主へ。スキンケアブランド「joscille」も立ち上げる。
https://apis-and-drive-shop.com

つながりを大切に心から良いと思えるものを販売したい

観光客で賑わう鎌倉駅から少し離れた佐助エリアの山側に佇む「アピスとドライブ」。
ここはデザインを生業にしていた今井クミさんが一昨年の11月にご夫婦で立ち上げた喫茶兼雑貨店です。

「それまでは神宮前にオフィスを構えて、多くの社員と一緒にさまざまな企業のパッケージデザインやディレクションを行っていました。
商品の企画段階からクライアントと伴走して、〝育てる〟過程がとても楽しかったんです。徹夜で仕事をすることも当たり前で、今では考えられないほどパワフルでした」

転機が訪れたのは2020年のコロナ。会社が完全リモートになり、都心でも外を歩く人が消え、非現実のような世界に直面したときでした。
自分の生活を見直し、50代後半は「自然豊かな場所で、人間らしい生活がしたい」と感じたそう。

コロナを経験したことで「人生何があるかわからない! やりたいことをして好きな場所で暮らそう」と気持ちがシフトしたそう。
そこで出合ったのが、プライベートで訪れた鎌倉という場所。山に囲まれ、近くには海もある。歩けば常に土のにおいに包まれ、それだけで癒やされたのだとか。

「この土地に魅せられて、移住を決めましたが、友人知人の手がけたものを含めて大量生産ではないものを自分の手で売ってみたいと思っていたので、その夢も一緒に叶えてしまおうと思って」。

そうして完成したのが、1階は喫茶兼ギャラリーの「アピスとドライブ」とオフィス、2階は自宅の一軒家。1階には、今までオフィスで愛用してきた家具が並び、そこに今井さんがセレクトしたアイテムが置かれています。

「勢いと行動力を総動員して挑戦してみましたが、暮らしも仕事も、心から良いと思える瞬間が多く日々が充実しています」

ショップの奥は壁一面に窓を設け、常に鎌倉の四季が楽しめるつくりに。湿気がすごいと近隣の人にいわれていたが、壁に除湿機を備えたことで東京よりも年中快適な空間に。

旅先のニューヨークで友人に紹介してもらったのがアンダーウェアブランド「スープレルース」との出合い。
綿花に使う農薬使用量を減らしたいと天然素材の栽培に取り組む姿勢に感銘を受けて、今井さんのお店でも扱うことに。

「店を持つことで、今までデザインしたものやディレクションで関わった商品をお客さまに届けられたらいいな、と密かに思っていたことが、コロナ禍を機に一気に叶いました」とにこにこ顔が印象的な今井さん。

店頭に並べている洋服は、すべて今井さんが着たいもの。自分が着用して「何度着てもやっぱり素敵!」と感じるものを扱っているそう。
「yunahica」のデニムアイテムは美しいカッティングが秀逸です。

住居兼オフィスのため、隙間時間に住居に移動して休憩することも。愛猫と至福のひととき。

今井さんがはじめた4つの販売商品

〔 喫茶 〕食べることが好きだから大好物をお店でも

今井さんが改良を重ねたあんデニッシュトースト。
甘さ控えめのあんの上に乗せるのはバニラ、ラムレーズンアイス、生クリームを選べます。

まぜ麺は香味豊かなレモングラスペーストを添えて。
二皿食べて帰るお客さまもいるほど人気の一皿。

〔 洋服 〕ワードローブの感覚でお気に入りの洋服を

ショップでも大人気の「yunahica」のブラウスは、スタイリストの佐伯敦子さんとエディターの山崎陽子さんが手がけるブランド。
「自分では何着も買えないけど、店に置けるだけで満足」とユニークな発想の今井さん。

作家さんへのオファーや連絡にはInstagramのDMを利用することが多いそう。

〔 器 〕鎌倉に引っ越したことでつながったご縁から

鎌倉の蕎麦屋で出合い、一目惚れした小畠泰明さんの鐵鍋。
「幸運にもご本人が店内にいらっしゃったのでその場でアタックしたら快くOKいただきました!」

白とブルーの器は陶芸家・林彩子さんのもの。
「自然とモダンさが共存しているデザインが本当に素敵なんです」

〔 スキンケア 〕コロナで肌荒れした経験で誕生したオリジナルコスメ

なんとオリジナルスキンケアブランドの「joscille(ジョシーユ)」も立ち上げたという今井さん。
以前、化粧品をつくるプロジェクトに参加し、素材にこだわるものづくりに感動したことがきっかけに。

水にもこだわった化粧水や美容液もラインナップに。

撮影/松木宏祐 文/仁田ときこ

大人のおしゃれ手帖2024年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中! ※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる