1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【独占】LiLy最新刊『オトナの子守唄(ララバイ)』発売記念!単行本書き下ろしを一部特別公開

【独占】LiLy最新刊『オトナの子守唄(ララバイ)』発売記念!単行本書き下ろしを一部特別公開

  • 2024.7.14

LiLyによるオトナミューズの人気連載「ここからは、オトナのはなし」が単行本『オトナの子守唄(ララバイ)』として7月12日(金)発売! 連載開始から10年を経てLiLyさんがたどり着いた境地とは。単行本のために書き下ろした一部を特別公開します。

『オトナの子守唄』 LiLy著

~青春より開花する40代、あたらしいオトナ時代~

Introduction

2024年、また、あたらしい夏がくる。
「17の夏」「18の夏」なんて年齢をその夏のタイトルにして謳歌することを決意して夏を迎えた10代の頃の気持ちを覚えている。
「まだコドモなんだから」「もうオトナなんだから」それらのセリフで自由を制限されるのが人生だと刷り込まれていたから、それらの中間である「青春時代」だけが人生の自由時間だと思い込んでいた。
―でも、それは違った。
当時のネガティブなオトナはウソつきだった。
ヒトによるのだ。すべては。自分次第なのだ。
他人に他人の未来がわかるはずがないのだから。
「黙って!」
と思うけれど、今でもまだ聞こえる。
「いやいや、大変なのはこの後だよ」
「楽しいのは今だけだよ」「現実は甘くないよ」
自分の人生に満足していない人の声は常に大きく響くのね。
まぁ、ね。色々と経験してきたから、言う意味はわかる。確かに、ね。「結婚」末期の地獄も「離婚」後の罪悪感も
「育児」の大変さもそれはもう想像以上のものだったけれど、「42の夏」に足を踏み入れようとしている今、私は、10代の頃以上に日々にワクワクしながら「冒険」を続けている。

育児が少し落ち着いて、

自分自身の人生の刺激が

またまた「たまらない」時期にいる。

40歳で禁煙して運動を始めて起業して、
「青春」から青さが抜けて「旬」が到来。
初めてのことだらけでスリルに興奮している。
あとは、コレ。現代の40代が、
まさかこんなにも「若い」だなんて
神様からの最高のサプライズプレゼント。
10年くらい前にエッセイの中で「今の三十路は昔の二十歳」だと書いたけれど、
あと5年くらい経てば「今の四十路はその頃の三十路」になるだろう。寿命が伸びたことと美容医療の発達と人々の意識の変化に由来して。
就職タイミングも氷河期で
今も円はどんどん安くなり
ものすごく不景気だけど、
それでも42歳の私は言い切れる。
私たちは「生きる時代」に恵まれた。
日本が大きく変わっていく「波」に
いつだって背中を押してもらって
育った世代=私たちだという自負がある。
女の子だって強気でいい!
自分の好きなカッコをして
自分が思うことを口にだそう!
世間体より自分自身に正直に!
自分次第で人生は開拓していける!
―そんなギャルマインドを
10代の頃に魂にきざめた幸運に感謝している。
もちろん、当時のオトナ(世間)は
自由で派手な私たちコギャルの出現を
良くは思っていないようだったけれど、
個人的にはそんな「逆風」すら「良い波」だった。
「パンツを売るコギャル」「援助交際」
若さと性をオトナ側が搾取しておきながら
子どもを「悪」に仕立てあげる発言を繰り返す
コメンテーターたちに猛烈に腹が立ったことは、
私が作家を目指す大きな火種(モチベーション)にもなってくれた。
私たちはみんな良い子なのに
言いたい放題言いやがって。
内側(真実)を書きたい。
発言権が欲しい。何を言っても
コドモ扱いされることにもう耐えられない。
あんなイヤなオトナにはなりたくないけど、
1日でも早く「あたらしいオトナ」に私はなりたい。発言権を得たときにコドモの頃の気持ちを忘れないようにとメモし始めた日記帳が100冊を超えたあたりで、作家になれた。
と、いうことはあたらしいクールなオトナにもなれたような気が……
―していたところで、
「ママは、子どもの気持ちが全くわかっていない!!」
「ッ !! !! ???」
すっかりオトナっぽくなった中学一年生の娘にこう叫ばれて、ひっくり返るかと思った。「思春期育児クソ疲れた」と呟いていたら「クソとか言ったらダメでしょ」と中学三年生の息子に注意された。
このエッセイは、まるで漫画のような
アラフォー独身ママの日々の記録である。
ジャンルは間違いなく「コメディ」で、
だからこそ全編が「オトナ」のための子守唄。
シビアな現実こそ笑って散らす陽気な姿勢と女としての旬を楽しむポジティブな意気込みと
唄うように生きるゆるやかなマインドセットはオトナである自分を守ってくれる唯一のララバイだから。

楽しむ人はどんな時も楽しむし、

苦しむ人はどんな時も苦しむの。

どんなにハッピーな人にもアンハッピーな時期はある。もちろん、ね。そうなのだけど、40歳をこえてくるとハッピーとアンハッピーは「人生の時期」というより、その人の「性格」「ライフスタイル」「人生そのもの」として固定され始める。
女友達と「結婚」「出産」「離婚」などのイベントによって人生の枝分かれが始まった30代の入り口から10年が経って、今では「棲み分け」がほぼ完了し始めたような雰囲気が漂っている。「笑顔か否か」。ナナメではなく前を向く強さ=笑顔があるか否か。
―ハッピーか否か。
それはもう、ステイタスではなくその人が持つオーラで、なのだ。
もしかしたら、ここが一番のオトナのシビアさなのかもしれない。
自作の楽しい唄をうたって
自分自身に毎晩聴かせて眠りにつこう。
日々のルーティンはオーラをつくるから(手動)。
コレ、一石二鳥なのよ。
ネガティブなお節介を焼いてくる人はどこまでもポジティブな持ち歌にドン引きして勝手に遠くにいってくれるから(自動)。
さぁ、
オトナの責任を全うしてぐったり疲れた夜に、
やっと潜り込むことができた自分だけのベッドの中で、何このヒト……ってクスクス笑って読んでいただけたら幸いです。
オトナとしての責任の重さに時々ブッ飛ばされながらも、どこまでも今日の若さを堪能してすべてを謳歌する、40代の愉快な子守唄を。

「tattooの写真」

コドモの頃、鉛筆で日記を書き続けていた頃
常にノートに触れる手のここが真っ黒だった。
10年前、ここに「ララバイ」とタトゥーを入れた理由は2つ。
読み手の心に子守唄のように響く物語を書きたいという願いとTVコメンテーターの仕事をギャラに惹かれて受けないという決意。

『オトナの子守唄』LiLy著/¥1,870 7月12日発売
小誌でのこれまでの連載をまとめたオトナシリーズもついに最終章に。連載開始から10年を経てLiLyさんがたどり着いた境地とは。

LiLy
作家。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。LiLy.com この連載をまとめた最新刊『オトナの子守唄』(小社刊)が7月12日発売予定。

photo:RK text:MAHO HONJYO illust:ekore
 
otona MUSE 2024年8月号より
 

元記事で読む
の記事をもっとみる