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当たり前の要求をする時に「すみません」は絶対ダメ…相手に"なめられない"ために必要なたった一つのこと

  • 2024.7.14

真の自信を持つためには何が必要か。米マッキンゼーに11年勤めたのち、独自の服飾ブランドを立ち上げたリサ・サンさんは「〈自信の言語〉を見つけることが、なめられない品格を手に入れる重要な一歩。自分への信頼は、自身の強みを知り、無意識を意識化することから始まる」という。新著に寄せられた法学博士の山口真由さんの序文と共にお届けする――。

※本稿は、リサ・サン『なめられない品格 誰からも信頼されるようになる8つの力』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

街の通りに立つ女性実業家
※写真はイメージです
タメ口で切り出されて迎合してしまう自分

それは「資産運用はお考えですか?」という電話セールスに誘われて赴いた銀行の応接室でのことだった。

担当を名乗る若い女性が「全国各地の店舗に引っ張りだこなので本店にいる機会が少ないのですが……」と上司を部屋に招き入れた。私よりもやや年上のその男性は「それでさ、そもそも株とか不動産とかどれくらい経験があるの?」と、開口一番、尋ねてきた。

かーっと身体が熱くなる。私は顧客としてここにいる。若いときから20年、一生懸命に働いてこつこつと貯めた相応の金額をこの銀行に預けている。それにもかかわらず、敬語でなくタメ口で、かつ、上から目線のこの切り出し方。そこには私へのリスペクトが一切ない。だが本質的に絶望したのは次の瞬間だった。

「ぜんぜん経験ないんです。ぜひ教えてください」

ふさわしい扱いを受けていないと抗議するでもなく、自分の知識を毅然と説明するでもなく、必要以上の無知を装って迎合している自分がいた。

今までに同じような経験を何度もしている。ひとりでタクシーに乗ったとき、講演の前に頭の整理をしておきたいのに運転手さんの馴れ馴れしいおしゃべりに付き合ってしまった。コメンテーターとして出演しているテレビでも、誰よりも準備をしているという自負があるのに、私のところであまり時間を取ってはいけないと焦って早口になってしまう。

この本を読みながら、目を覆っていた鱗が剥はがされていくのを感じた。いつも正当に評価されていないと思い込んできた。違うのだ、自分を過小評価し、安っぽいものに見せてしまったのは自分自身だった。

内側から見いだす「品格」という名のドレス

それは私だけではない。周囲の優秀な女性たちの多くは、コミュニケーション力に富み、献身的で自ら手を動かすことを厭わない。だが、ワンランク上のキャリアへと向かう坂道で、リーダーシップ、インパクト、イノベーティブな能力……表現は違えど「何かが足りない」と宣告されている。

それならばと、従来、男性的とされてきた剛腕で強気な態度を身につけようとしても、そういう“借りてきた能力”は肌になじまない。不自然だったり、空回りして、悪循環に陥っているのを目にしてきた。

この本で、リサは「私たちに足りないのは『品格』だ」と語りかける。

勤勉で謙虚な女性の地位を引き上げてくれるもう一味は、強烈な個性でも強力なコネでもなく、「品格」なのだと。押しの強いリーダーとか、アグレッシブなマネージャーとか、自分の中にまったくない人格をつくり出す必要など実はどこにもなかった。

答えは常に内側にある。私たちの中には輝くような才能が備わっている。それに気づいて、大事に育ててあげればいい。それがあなたに確固たる芯を与え、ごく自然な所作の中に滲みだす確かな自信があなたを包むオーラとなる。

そう、この本の方法を実行すれば、最終的に私たちは「品格」というドレスを身にまとって、高みへと続く一歩をともに踏み出せるだろう。

(筆者=山口真由:序文より)

当然の要求をするときになぜ謝ってしまうのか

私たちはいまだに、他人がどう思うかを気にかけ、昇給や銀行の融資を求めることを遠慮し、誰かが自分のアイデアを盗んだり、切り捨てたり、声をかき消したりしても沈黙し、昇進を与えられると自分を疑います。

そして、ようやく勇気を奮い起こしても、多くの人が、当然のことを要求するときに「すみません」と謝ってしまいます。もしも私たちひとりひとりが人生において揺るがない品格を持ち、なめられなくなる技術を習得すれば、周囲に振り回されることなく集団に貢献するチャンスが得られるでしょう。

私がこれまで見てきた、女性の足を引っ張る最大の要因のひとつが「自分の価値を知らない」ことです。ルールを打ち破り、欲しいものを手に入れる前に、まずは自身の価値について十分に理解する必要があります。

電球の中の脳に触れる指
※写真はイメージです
自信を見いだすための8つの力

「あなたの〈一番の強み〉は何ですか? これについては世界一! という得意なことは何ですか?」

このシンプルな質問に答えた女性が、自分の強みを自尊心にして、品格を身につけ、〈なめられない私〉になることを目指してスタートを切るのがわかりました。そして長年にわたって質問への答えを収集するうちに、いくつかの同じ特徴が繰り返されていることに気づいたのです。

〈一番の強み〉を類型化して、女性がどのように自信と能力を感じているかと関連づけ、自身を評価して信頼するための用語を作成することが、大きな力になる――そう確信しました。

この方法論を開発し、完成させるために、私の会社のチームは何千人もの女性を対象に定性調査と定量的調査を行い、真の自信を持つことの意味について、深く掘り下げました。

こうして、自信を8つに分類して、8つの〈一番の強み〉を特定しました。〈主導する力〉〈目立つ力〉〈成果を出す力〉〈与える力〉〈頭脳の力〉〈創造する力〉〈楽観の力〉〈自分を支える力〉です。

自分の長所である〈自信の言語〉を見つける

ほとんどの女性は、少なくとも1つか2つの〈一番の強み〉に秀でています。他の強みについては、時々発揮できたり、まったく発揮できなかったりします。

リサ・サン『なめられない品格 誰からも信頼されるようになる8つの力』(飛鳥新社)
リサ・サン『なめられない品格 誰からも信頼されるようになる8つの力』(飛鳥新社)

これは、例えるなら言語のようなものです。どんな人にも、流ちょうに話せる言語、堪能な言語、ちんぷんかんぷんな言語があります。あなたが持つ〈一番の強み〉の組み合わせが、あなたの〈自信の言語〉です。それが自分の土台となる長所であり、流ちょうに話せる言語なのです。

〈自信の言語〉を見つけることは、なめられない品格を手に入れる旅の重要な一歩です。自分への揺るぎない信頼は、自分の強みを知り、無意識を意識化することから始まります。

最も得意なことを知り、成長させたい部分に気づくことで、完全な品格が手に入ります。8つの強みすべてをマスターするまでには至らなくても、そこへ向かっているうちに、今よりも強く、賢く、幸せになり、自己実現に近づくことができるのです。

自信のある女性実業家のポートレート
※写真はイメージです

リサ・サン
Gravitas(グラビタス)CEO
台湾移民の両親のもと、カリフォルニアで育つ。高校を2年早く卒業し、6つのアルバイトと奨学金、学資援助でイェール大学の学費を工面した。マッキンゼー・アンド・カンパニーで10年以上コンサルタントを務めた後、世界一周のひとり旅に出て、独自の服飾ブランド「Gravitas(グラビタス)」を2013年に立ち上げる。「ドレス使い」の異名を持ち、講演家としても多くの女性たちに実体験で得た知識を伝授している。GravitasNewYork.com

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