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安心してください止めています!昨季は応援団、ピンチも笑顔のとにかく明るい富士大GK藤田弥が守護神の座をつかむまで

  • 2024.7.14
安心してください止めています!昨季は応援団、ピンチも笑顔のとにかく明るい富士大GK藤田弥が守護神の座をつかむまで
安心してください止めています!昨季は応援団、ピンチも笑顔のとにかく明るい富士大GK藤田弥が守護神の座をつかむまで

Text by 高橋アオ

総理大臣杯東北地区予選決勝富士大vs仙台大戦が13日に宮城・利府町内で行われ、延長戦の末に両者0-0で譲らずPK戦で3-5で富士大は準優勝に終わった。昨季総理大臣杯で東北勢初の全国制覇を成し遂げた富士大は宿敵仙台大と一進一退の攻防を見せるも、あと一歩届かなかった。

止める、止める、止めまくる。仙台大から計10本の被シュートを受けるも、抜群の反応と出足の早さで危険なボールを処理する富士大GK藤田弥(わたる、4年、成立学園高)は鉄壁のセービングで仙台イレブンに立ち向かった。

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「前半から押し込まれる時間が長くて、戦前の予想から押し込まれて、守って1点取れれば勝てるという試合でした。絶対に失点しないことと、みんなを鼓舞して『1点取りにいくぞ』という雰囲気作りに徹しました。感覚的なことでしかないですけど、1本いい入りができれば自分は乗るタイプ。それでいい入りができた。『きょうはいけるな!』と自分の感覚的なものがありました。決勝というのもあって気合が入ったプレーができました(笑)」

藤田のビックセーブに観客席から歓声が響くシーンもあった。そしてスーパーセーブが出れば出るほど、藤田の動きのキレは増していく。仙台大FW武田陸来(2年、青森山田高)のオーバーヘッドキックなど多彩な攻撃にも冷静に対処するなど守護神の独壇場が続いた。

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そしてこの男はピンチにも強い。仙台大から危険な攻撃を受けて、ビックセーブをすれば不敵に笑う。「あのキーパー笑っているぞ」と仙台大ベンチから聞こえてくるほど、笑顔を絶やさずプレーしていた。

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守護神は「自分はメンタルが強いほうと言われていますけど、楽観的な考え方をしています。ポジティブ、ポジティブ、どんなときも前向きにが自分らしさでもあるんです。硬くなっても、緊張しても、自分のいいプレーは出ない。無理やり笑顔を作ってでも前向きにという考えでプレーしています」と白い歯をこぼす。

よく通る声で粘り強く守る富士大守備陣を鼓舞し、ビッグセーブでピンチを防ぐ姿は圧巻であり、上り調子の守護神を仙台大は延長戦終了まで攻略できなかった。

昨季は応援団だった笑顔の守護神

とにかく明るい藤田は富士大でもムードメーカーであり、ロングフィードが風に流されてミスキックになっても笑いに変えてしまうような男だ。そんなチームメイトも観客も笑顔にしてしまう守護神だが、昨季総理大臣杯は第3ゴールキーパーという立場であり、応援団の一員としてチームを支えた。

安心してください止めています!昨季は応援団、ピンチも笑顔のとにかく明るい富士大GK藤田弥が守護神の座をつかむまで
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「去年は第3GKだったから観客席で応援する形になったんですけど、自分は応援される選手と思っています。率先して応援して、自分らの代で第1GKとして出て応援されて背中で見せられるものがあると思っています。去年の総理大臣杯の観客席の悔しさを糧にいまを頑張っています」

当時はセレッソ大阪U-18時代にJ3出場経験があり、富士大を初の全国制覇へと導いたGK折口輝樹(現・JFLヴィアティン三重)、高精度キックを武器に名門日章学園高で正守護神として高校選手権に出場したGK福山智仁(現・日章学園中コーチ)と分厚過ぎる壁が在籍していたため、藤田は全国大会で躍進するイレブンを客席から応援することしかできなかった。

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「オリにもストロングがあって、フクちゃんにもストロングがあって、自分にも強い部分がある。オリとフクちゃんとストロングで競争したら勝てる部分と勝てない部分がある。去年は自分の武器をしっかり伸ばすことを取り組んでいました」

腐らず、ポジティブに、ひた向きに練習してきたからこそ藤田は正守護神の座を勝ち取った。いまは富士大イレブンから信頼される選手としてゴールマウスを死守している。

PK戦でも笑顔を絶やさない

試合は延長戦を終えても決着が着かず、PK戦へと突入。富士大のファーストキッカーが失敗し、仙台大イレブンは的確なシュートでネットを揺らし続ける。そして3-4の仙台大がキックを成功させれば勝利が決する場面でゴールマウスを守る男は笑っていた。

安心してください止めています!昨季は応援団、ピンチも笑顔のとにかく明るい富士大GK藤田弥が守護神の座をつかむまで
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「あいつこの場面でも笑っている…」と静寂に包まれる会場で藤田を畏怖する声が聞こえてきた。ホイッスルが鳴ると、藤田はシュート方向へ横っ飛びするも、わずかに手が届かなかった。

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決着がつくと仙台大イレブンは歓喜の輪を作り、優勝に酔いしれていた。さすがの藤田も試合終了直後は表情を曇らせていたが、表彰式が終わるとサッパリした笑顔で取材に対応してくれた。

準優勝に終わった富士大だが、全国大会出場権は獲得している。昨季に続く全国大会2連覇を期待する声もあるが、守護神は冷静に大会を見据えていた。

「去年の優勝という壁はとても大きいですけど、そこと並べるようにチームは全国ベスト8を掲げています。まずそこの目標をチームで目指しながら、去年の壁もしっかり超えられるように努力していきたいと思っています。優勝はとても難しいと思いますけど、そこに向かう努力はチームでしていきます。チームで一丸となって戦えればと思います」と闘志を燃やした。

プロ志望の藤田にとってJリーグクラブのスカウトが集結する総理大臣杯は重要な就職活動の場だ。全国大会でも持ち前の明るさとダイナミックなプレーでスカウトのハートをつかむ。

「自分のポジティブな声掛け、迫力あるプレー、セービング、キック。どんなとこを取っても安定したプレーの中で自分の武器を出していけることが自分のストロングだと思います。そういったところを見ていただいて必要とされるチームに入れればと思います」と決意を明かした。


藤田は会場を去るまで明るく振舞っていた。昨季富士大が成し遂げた偉業を再び達成することは困難極まりないだろう。だがこの男なら不可能を可能にするとさえ思わせてくれるほど、藤田はなにかを期待させてくれる。富士大が誇る笑顔の守護神から目が離せない。

(取材・撮影 高橋アオ)

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