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大阪市立美術館、約2年5カ月の大改修工事を経て来春オープン

  • 2024.7.13

約2年5カ月の大改修工事を経て、来春3月にリニューアルオープンする「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)。開館に先駆け7月12日の内覧会では、今後は無料ゾーンとなる中央ホールや新設された庭園を望むテラスなど、前日に竣工したばかりの建物内部が初公開された。

2025年春にリニューアルオープンする「大阪市立美術館」。正面玄関下に2カ所のエントランスを新設

■ 無料ゾーンも…「入りやすい」美術館へ

日本で3番目の公立美術館として、1936年5月に「天王寺公園」内に開館した同館。設立当初の本館と1992年に新設された「地下展示室」から成る、地上3階・地下2階の建物で、国宝を含む約8500点を収蔵している。

開館以来、最大規模となった今回の改修では、国の登録有形文化財である近代和風建築の外観は残しつつ、老朽化した全館の耐震補強を実施。さらに、「敷居が高い」と思われがちな美術館の印象を変えるべく、「入りやすい」機能整備の強化と展示室以外は誰もが立ち寄れる無料ゾーンを作り、「ひらかれたミュージアム」をめざすという。

シャンデリアが撤去された「中央ホール」。誰もが入館できる無料ゾーン

正面玄関の下(地下1階)には2カ所の新エントランスが作られ、公園利用者らが既存の正面階段を登らずに、エスカレーターでの入館が可能に。本館や地下展示室への動線がスムーズになり、チケット売場や授乳室、ミュージアムショップも新設される。

新エントランスの内部。エスカレーターの北側奥に「ミュージアムショップ」がオープン予定

その先に広がる吹き抜けの1階中央ホールは、アーチ型の列柱に囲まれ、長年、来館者を優美な空間へ誘ってきた「美術館の顔」。昭和期からの巨大シャンデリアは耐震のために撤去されたが、改修により創建当初の天井が発見され、よりインドやイスラム風様式の独特な雰囲気を感じられる場に。

2階への階段脚部を撤去したため開放感が増し、さらに奥へ進むと東側には新たなテラスが登場。カフェも併設され、テラス席では目の前の緑あふれる日本庭園「慶沢園」や高層ビル「あべのハルカス」を眺めながら、くつろぎのひと時を楽しめる。

1階東側にはカフェがオープン予定(写真は工事中の様子)

さらに、ホール北側の旧展示室は多目的ホール「じゃおりうむ」になり、創建当時の意匠を再現した自然光による採光方式の天井の下、通常は無料休憩室として開放。3階の新エリア「アトリエ」とともに、ワークショップなどイベント使いも可能という。

内藤栄館長は「これまでは展覧会・イベント目的の方のみが入口で券を見せて入館していましたが、今後は正面からも裏のテラスからも、休憩やカフェ目的など多くの方が立ち寄れる憩いの場になれば」と、天王寺エリアの活性化にも期待を寄せる。

■ リニューアル一発目「特別展」の内容は?

2階展示室。反射しにくい壁面ケース、美術品に合わせてタブレットで光りのバランスを調整できる照明を導入

1・2階の展示室も全面的に改修され、美術品をよい環境で鑑賞できるよう展示ケースや照明、空調設備を一新。美術品専用のエレベーターを増設したことで、開館しながらの展示替えも可能になり、開館日はこれまでの年間約200日から年間300日をめざすという。

2025年3月1日からはリニューアル記念の特別展『What’s New!大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』を開催。全館を使って日本・東洋美術を中心とした絵画や彫刻、陶磁、漆工など同館を代表する名品・約200点を一堂に展示し、これまで展示機会の少なかった作品も鑑賞できる(期間は3月30日まで)。

取材・文・写真/塩屋薫

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