今回、私が訪れたのは島根県の隠岐(おき)。
すでにご存知の方も多いかと思いますが、約600万年前の火山活動によって形成された隠岐は大小180余りの島々から成り立つ諸島。世界ジオパークとして認定されてから10周年を迎える、いま注目のスポットです。
かつて、天皇など高貴な方々が配流されたことでも有名ですが、それは身分が高い方々が配流されるにふさわしい豊かな自然や歴史文化を有していたからと言われています。そんな地球の息吹を感じる島旅。もうワクワクしないわけがない!
東京からの最短ルートは飛行機
早朝、東京・羽田空港発の飛行機で大阪・伊丹空港に向かい、約1時間弱。そこから飛行機を乗り継ぎ、世界ジオパーク空港へ。乗り継ぎこそあるものの、フライト自体は2時間ほどと映画1本を観る暇もないくらい! 思っていたよりも隠岐が近いことに驚きました。ちなみに米子鬼太郎空港から境港もしくは、類港に移動して高速船やフェリーを利用することもできますよ。
旅のスタートはパワースポット巡りから!
隠岐には古くから人々の信仰を集めてきた神社が150あまりあるといわれていますが、ぜひ訪れて欲しいのは隠岐の島町西部、山奥にひっそりとある壇鏡(だんぎょう)神社とその背後を流れ落ちる壇鏡の滝です。
昼間でも静まり返っていて、聞こえてくるのは滝から流れ落ちる水の音や鳥のさえずりだけ。この日は小雨が降っていたのですが、雨粒に葉をゆらす樹々はどれも緑濃く、山全体で大きく深呼吸をしているようにも見えました。
マイナスイオンをたっぷりと浴びているうちに移動疲れもするすると抜け落ちていく。
社殿を中央に左に雌滝、右に雄滝と2本の滝が流れているのですが必見は雄滝。
溶岩ドームになった滝の裏側にまわりこめる裏滝からの滝シャワーが神秘的すぎて……。小雨が降っていたかと思ったら急に晴れ間がのぞいて虹が出る。そんな不思議な体験にも遭遇しました。ここには確実にいい気が流れている。
25ans Wedding
隠岐の島町を代表する名所、玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)も外せないポイント。島後(どうご)に位置する隠岐の島町、その玄関にあたる西郷港から車でわずか5分の場所にあります。
こちらは地域の神々を一堂に祀った総社の社格を有しており、国の重要文化財にも指定されているのだとか。
正直、いままで神社に興味がわいたことがなかったのですが今回の島旅でその魅力にどっぷりとハマってしまいました。
というのも、神社の建築様式は主祭神の性別に合わせて造られており、本殿の屋根部分にある千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)で見分けることができるのだそう。
こちらの玉若酢命神社は、千木の形が外削ぎになっているから祭神が男神というように、どのような神様を祀っているのかをひも解く楽しさにすっかり虜になってしまったのです。
そして、玉若酢命神社で最も異彩を放っていたのが参道脇にそびえ立つ八百杉(やおすぎ)。推定樹齢はなんと約2000年! ガイドブックで予習していたものの、いざ目の前にしてみるとその迫力たるや。静かに立ち止まり、ただただ眺めているだけでも、生命力が湧き出るようなエネルギーを感じとれるはずです。
火山活動と荒波が生んだ絶景に出会える西ノ島町
隠岐には神社以外にも見所がたくさん! なかでも、絶景ポイントとして抑えておきたいのが、摩天崖(まてんがい)です。
ほぼ垂直にスパッと切りとられた断崖は約257mもあり、日本屈指の高さを誇るそう。コンビニも何もない、ありのままの自然だけが広がる絶景。地球の丸さがわかる水平線を眺めていれば、まっさらな気分に戻って明日への活力が湧いてくるはず。
自然が生み出した天然アーチの造形美!
摩天崖のてっぺんから観音岩のある国賀海岸まで、全長約2kmほどの摩天崖遊歩道を降りきった先にある通天橋(つうてんきょう)も見逃せないスポット。
長い年月による海蝕作用で洞窟部分が崩落し、橋のようにアーチ状に残された奇岩は、さながら隠された秘境への入口といった雰囲気です。
個人的にこの旅で一番惹かれたのは、通天橋の近くに佇む国賀神社。素朴といってしまえば素朴だけれど、なんだか趣深くって。しばらくここから離れられなかったほど。潮の満ち引きや季節によって異なる表情を見せる拝殿、そこに広がる神域は穏やかで清々しい空気に包まれていました。
旅の目的になる隠岐グルメ
さて、観光地を巡ってお腹がすいたところでランチへ。旅のお楽しみといったら、ここでしか味わうことのできないグルメ! なかでも島前の南側にある知夫里島(ちぶりじま)で人気なのが「Chez SAWA(シェサワ)」。
長野冬季オリンピックの迎賓館で各国の要人や皇族、王族の料理を任された岡田モミイチシェフが知夫里島に移住し、パートナーとともにオープンした本格フランス料理店なんて……そりゃ食いしん坊魂に火がつきます。
自家農園で栽培された新鮮な野菜やハーブ、知夫里島で水揚げされた魚介類など、採れたての食材を贅沢に使用したコース料理は目にも華やかで、口に入れる前から嬉しくなってしまうものばかり。もちろん、口に入れればもっと嬉しくなってしまうのだけれど。
そして、何より驚くべきはそのお値段。アミューズのスープ、2種類の前菜、魚、肉、自家製パン、スイーツ、食後のお茶まで、全7品のランチコースが3630円で楽しめるのです。2~3ヶ月先まで予約が取れないのも納得。訪れる際は必ず予約を!
ローカルな島グルメを堪能するならココ!
ローカルな雰囲気を楽しみたいなら、西ノ島町の漁港近くに佇む食事処「この海はひろし」。名物の海鮮丼には、身が引き締まったヒラマサにイカ、アジ、サーモン、タコ……大将が目利きした旬の魚介がこれでもか、といわんばかりにのっていて、もう最高~! 「この時期は何がとれるんですか?」そんな問いかけから始まる会話も、島旅の醍醐味。贅沢な食体験とはキャビアやフォアグラなどの高級食材だけではなく、その地でしか味わえない新鮮な旬の食材と、その地に根ざす料理人との出合いに尽きる!大将の情熱と地元の恵みが交錯するこの場所で、そんなことを改めて実感しました。
隠岐で宿泊するなら? 日本初のジオホテル「Entô(えんとう)」
島町の島後に対し、島前(どうぜん)は、西ノ島、中ノ島、知夫里(ちぶり)島の3つの有人島からなる隠岐の島々です。その3島のうち、東に位置するのが中ノ島の海士町(あまちょう)。
そこにあるのが、リニューアルオープンして大きな反響を生んだ「Entô」です。隠岐ユネスコ世界ジオパークの拠点機能と宿泊機能が一体となった日本初の本格的なジオホテルで、36室の客室すべてがオーシャンフロントという贅沢さ。
モダンで洗練されたインテリアと美しい海や山々を望む景観がすぐそこまで迫っていて、まるで客室(内)と日本海(外)が融合しているかのよう。
何もせず、ただ景色を眺める時間もおつなもの
窓を広くとったロビーからは、ジオパークのなかにいるかのような風景を楽しめます。ロビーのソファに腰掛け、周囲に広がる静けさと眼前に広がる島前カルデラの風景をただただ眺める。時の流れを感じながらゆったりと過ごすなんて、いつぶりだろう…。季節変わればまた新たな表情を見せてくれるのでしょうね。
独特の地形や景観、生態系を有し、それによって育まれた人々の生活の営み、歴史文化が今も息づき、どこか本土とは一線を画す、神秘に包まれた隠岐。東京での忙しい日々に疲れたら、また隠岐へ向かうとしましょう。きっと大自然が私たちを癒してくれるはずです。
※この記事は2024年7月13日時点のものです。
構成・写真/川口ゆかり