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【不完全は美しい】日本特有の感性「侘び・寂び」とは?|連載・日本人の美意識<3>

  • 2024.7.11

連載「日本人の美意識」では、さまざまな角度から改めて日本について知り、考えるきっかけをお届けします。第三回は「侘び・寂び」がテーマ。「侘び・寂び」の意味とは? 不完全であることを愛でる日本特有の精神を深掘りしてみましょう。

 

 

「侘び・寂び」とは?

日本特有の美意識といえば「侘び・寂び」です。西洋に見られる「足し算の美学」と比べて、日本は「引き算の美学」と表現されることもあるように、大きく豪華絢爛で、力強く目立つものではなく、ミニマルで不完全、余白のあるものを好む傾向があります。

「侘び・寂び」は、茶道、庭園、自然、文学、精神など、あらゆるものに通ずる美意識です。錆びた金属、苔の生えた庭、枯れた木、蝉の声や雨の音、そして「孤独だと思う気持ち」にまで、美しさを感じるのです。

一見、簡素に見えるものや不完全なものに情緒を感じたり、静寂そのものに美しさを見出したりする日本人特有の感性は、世界で注目される日本らしさとなっています。

「泣きたくなるほど美しい」日本庭園

日本庭園は、そんな「侘び・寂び」を感じられる場所のひとつ。なかでも石や砂で自然界を表現する「枯山水(かれさんすい)」は、今も昔も多くの人の心を掴んでいます。

たとえば、世界遺産にも登録されている京都・龍安寺の「方丈庭園」は、イギリスのエリザベス女王が絶賛した石庭として知られています。

また、「日本庭園として最高の名園」と呼ばれる「桂離宮」は、かつてドイツ人建築家であるブルーノ・タウトが訪れた際に「泣きたくなるほど美しい」と日記に記したという話が伝わっています。

海外に伝わる「Wabi Sabi」

明治時代に茶道を通して「侘び・寂び」が欧米に紹介され、その後も「Wabi Sabi」は日本特有の精神を表す言葉として広く伝わりました。

 

 

驚くことに、先日筆者が訪れたモルディブのホテル内にある和食レストランでは、各テーブルに枯山水を作るアクティビティが設置されていました。

また、現代では、木や石など天然素材を使用した余白のあるシンプルなインテリアデザインが「Wabi Sabi Style」と呼ばれ、注目されるまでとなったようです。日本人の考える「侘び・寂び」とは多少ニュアンスが異なるかもしれませんが、日本特有の美意識が新たなジャンルとして解釈されています。

ウェブで「Wabi Sabi」と検索をかけてみると、その概念を説明する外国語の記事がたくさんヒットします。ひとことで言語化できない特有の感性が、日本ならではの美意識として世界中に受け継がれています。

 

 

【参考】

国土交通省 国土交通白書2019

 

 

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