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必見!!生誕88年早川義孝(はやかわぎこう)展④後編@柏市民ギャラリー

  • 2024.7.10

こんにちは、柏 おどりです。

芸術が身近で楽しめるような日常、そんな場所がパレット柏の市民ギャラリーにあります。 パレット柏内柏市民ギャラリーは、柏駅より徒歩3分、DayOneタワー3Fです。 ドンキホーテの向かい、柏の葉っぱがたくさんデザインされたビルの入り口のエスカレーターで3階までお越しください。

生誕88年 早川義孝展

いよいよ開幕直前! 今回は必見!!生誕88年早川義孝(はやかわぎこう)展の後編です。こちらの前編、早川義孝展デジタルスタンプラリー前編、後編もぜひ合わせてご覧ください。 ※今回の生誕88年早川義孝展では、柏市所蔵作品、しもだて美術館(茨城県筑西市)所蔵作品に加え、2023年に柏市に寄贈された7点の作品を初公開します。 ※前編並びに今回私がご紹介する早川先生の作品は、生誕88年早川義孝展で展示されるかはわかりません。 ※モチーフ刺しゅう入りガーゼハンカチ(本展だけのオリジナルグッズ)の販売もあります。

出典:リビングかしわWeb
出典:リビングかしわWeb

会期 2024年7月12日(金)~ 8月5日(月)

時間 10:00〜18:00(最終入館17:30)

場所 パレット柏 柏市民ギャラリー(DayOneタワー3F)

料金 一般500円 高校生以下無料 障害者手帳をお持ちの方と介助の方1名無料

主催 柏市文化・交流複合施設パレット柏

共催 柏市教育委員会

特別協力 しもだて美術館

『一房の葡萄』有島武郎

早川先生が小学生の時に教科書で読んだ有島武郎の『一房の葡萄』。これによって、色に対して最初に目を開かされたといいます。 『MADO美術館 早川義孝画集』では『一房の葡萄』についてこんな風に書かれていました。下記引用です。

ジムという少年がすごくキラキラした色の絵具を持っていて、それで描く海の絵がすばらしいというんだ。 その絵具を日本のある少年が、誰もいない時に盗んでしまう。 絵具の色はエメラルド・グリーンに違いないと思った、僕たちにない絵具だったから。 中学2年の時、太海に行った。晴れたグリーンの海が見えた。これが海だと思った。これがジム少年の持っていた 絵具の色だと思った…。 それから20数年後、太海の海岸沿いの丘の中腹にアトリエを建てた。アトリエの窓の向こうには少年の頃に夢見た あの海がひろがっている。

また、この物語ではエメラルド・グリーンではなく、藍色(インディゴブルー)だったと後に先生は本を読み返して気づきます。

「でもなぜか、僕はエメラルド・グリーンと思った。絵画的なすごく明るい色。それ以外は海じゃない」
出典:リビングかしわWeb

「室内楽を聴いた夜」早川義孝 しもだて美術館蔵

「室内楽を聴いた夜」にはテーブルに置かれた一房の葡萄が。また、太海のアトリエはコーマル城の高丸重信さんの設計だそうです。

早川縁(はやかわぶち)

早川先生は額縁にもこだわっていました。前編でもご紹介しました座間さんにお聞きしますと、早川先生は木製や金縁ではなく、和風から洋風に変わる時代背景に合わせて真っ白なデザインを希望したのではないかとおっしゃっていました。確かに白という色は洗練された印象をもちますよね。 しもだて美術館では早川縁の作品を並べてずらりと飾っていました。非常に壮観で、とても美しかったですよ。以下、しもだて美術館の一節です。

彩美堂であつらえられた早川作品の額は、主に白を基調としたもので統一されており、「早川縁」と呼ばれています。早川の作品には鮮やかな色が使われますが、複数の作品が並んだ時でも見事に調和し、一つ一つの作品を引き立てます。
出典:リビングかしわWeb

しもだて美術館「早川義孝展」~色彩のシンフォニー~ 会場内の様子(早川縁)

筑西八景連作 勤行川の漁火

早川先生は「筑西八景」という連作を残しています。また、「柏八景」もあるようですので、ぜひいつか観ることができたらいいなと思っています。 早川先生の文字も実に絵画的。また、絵手紙のようでもあり、"詩と絵"というのもとても素敵ですね。

出典:リビングかしわWeb

筑西八景連作「勤行川の漁火」早川義孝 しもだて美術館蔵

早川先生の創(う)んだ花や蝶や鳥

早川先生は何かを始めると徹底的にだいたい10年くらいはやるそうです。もはや3年ではなく10年ですからプロの域ですよね。 早川先生はバラの絵は描きませんが、バラに夢中になった時は300~400本のバラを自分で植えて庭中をバラにしたそうです。 また、お遊び程度の温室のバンダ(蘭)は700ほどの株が色鮮やかに咲き、洋蘭はアトリエを占拠するほどだったとか。(そういえばギャラリーモカの店内写真は蘭がたくさん咲き乱れていますね) また、野鳥を飼い、犬は20匹ほど飼われていたのだとか。 そして、バッタやカブトムシを捕まえていた幼い頃があり、クラシック音楽にのめりこんだ時期がありました。 参考文献 『MADO美術館 早川義孝画集』著者早川義孝 平成5年11月18日発行

春夏秋冬向き合って育てることで、そのものの生態などを研究、そして深まる愛情を注いでいたのですね。

出典:リビングかしわWeb

「舘のおはなし」早川義孝 しもだて美術館蔵

座間さんにお聞きすると、早川先生が釣りにハマっていた時は年間360日やっていたそうですよ。お正月はなかなか釣れないけれど、早川先生と座間さんは揃ってお出掛けされたのだとか。

早川先生はもともとそのまんまを描くこと(リンゴならリンゴをその通りにそっくり描くこと)が不得意だったから絵が嫌いだったそうです。その苦手意識がなくなったのはポスターで、ただものを写す、そのように再現すると、教わった世界とは全然違う世界、自分が生み出す、自分の創造画が得意だということに気づくのです。ポスターはテーマがあったり標語があったりしてイメージを膨らませて描くことが多いですよね。一般的にはこちらの方が苦手という方が圧倒的に多いのでは。 早川先生が中学の終わりの頃でした。 参考文献 『教育ジャーナル2003 7月号』

座間さんは、早川先生は花や鳥など生態を極めたうえで象徴的に描いているとおっしゃっていました。つまり目に見える部分はもちろん、果実だったら種の部分というか心臓、魂というかなんと表現したらよいかわかりませんが、それをとらえているからこその花や蝶や鳥なのでは。 一朝一夕ではたどりつけない世界、経験や探究、日に日に増す愛情や感動などからみえてくるもので、言い換えればそれはもう、それこそリアルなのではないかと思いました。 だから誰のものでもない、先生の花であり、蝶、鳥なんだと思います。

出典:リビングかしわWeb

「華翔」(かしょう)早川義孝

こちらの版画(リトグラフ)「華翔」(かしょう)は、パレット柏のショーケースにディスプレイされた座間さんの早川コレクション。スタンプラリー記事前編を書いた時にはまだ展示されていなかった作品です。

夢をあたえるような、いつまでも心に残る作品

早川先生は絵を描くことが嫌いだったといろんなところでお話されています。 先生は2012年7月、個展開催中に旅立たれました。旅立ちのほんの少し前まで筆をもたれていたそうです。

嫌いなものってもしかしたら自分が勝手に思い込んでいるだけなのかもしれないですね。 角度を変えて見たら、一般常識といわれることや思い込みを取り払ったら、案外好きになる要素があったりするのかもしれません。

出典:リビングかしわWeb

「少年と夜」早川義孝 しもだて美術館蔵

愛媛CVTVコンテンツ たうんニュース2018年5月「早川義孝 回顧展」で、早川先生の奥さまが「(早川先生は)みんなに夢をあたえるような、いつまでも心に残る、あの絵をもう一度みてみたかったとかそういう気持ちでしょうか」とおっしゃっていました。

この夏の夢、早川義孝先生のあの船に、あのサーカスに、あの蝶に、ぜひ逢いにきてください。

柏 おどり

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