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「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

  • 2024.7.9
「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

Text by カゴノブアキ

7月7日に野洲川歴史公園(ビッグレイク)で行われたアストエンジ関西サッカーリーグ第8節、レイジェンド滋賀FC対FC.AWJ。結果は敵地に乗り込んだFC.AWJが1-0で勝利を収めることになった。

昨季2位と好成績を残したレイジェンド滋賀FCであるが、今季は前半戦の7試合で3勝1分3敗とやや厳しいスタートになっていた。ただ第7節では首位のアルテリーヴォ和歌山を1-0で撃破し、いい形でリーグの折り返しを迎えていた。

一方のFC.AWJは前半戦の7試合で2勝2分3敗。1部へと復帰した初年度であること、そして2022年シーズンには1分13敗で降格したことを考えれば、比較的健闘した前半戦であるといえた。

勝点としては接近していたこの試合は、アウェイチームのFC.AWJが序盤からペースを掴む展開に。

41分にはボランチで先発していた馬場渓がゴール前でのプレーから負傷し、FC.AWJはアクシデントで交代選手を使わなければならない状況になったが、それによる動揺も感じさせなかった。

そして前半アディショナルタイム、左サイドからの古賀楓真のクロスをペナルティエリアにフリーで飛び込んだ鳥飼椋平がヘッド。訪れたビッグチャンスを得点に結びつけ、先制ゴールを奪った。

「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
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「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

さらに75分には鳥飼椋平が裏に飛び出そうとしたところを、レイジェンド滋賀FCのDF中島雅尭が倒してしまい、決定機阻止で一発レッドの判定に。

そこからのフリーキックは枠を捉えず、レイジェンド滋賀FCは難を逃れる格好になったものの、10人に減ったこともあって攻撃が同点ゴールに結びつかず。

この結果、FC.AWJが敵地での試合を1-0と勝利することに成功し、勝点を11に伸ばした。

「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
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その一方、レイジェンド滋賀FCは後半戦のスタートでの試合で勝点を伸ばすことができず、10ポイントで停滞。両チームの順位が入れ替わる結果となった。

トラブル続きの「FC淡路島」から「FC.AWJ」へ

FC.AWJは、かつて「7年でJリーグ昇格」「1年でも昇格を逃すシーズンがあれば即座に解散」というスローガンを掲げていた「FC淡路島」にルーツを持っているクラブだ。

「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

兵庫県リーグと府県決勝を順調に勝ち上がり、関西サッカーリーグ2部も参戦初年度で2位に入って1部昇格に成功した。

しかしながら、その後クラブの経営陣が内部で対立したことにより、運営会社のFC淡路島が離脱。残ったチームは「FC.AWJ」と名前を変え、新たな体制の下で戦うことになった。

その際には選手の大量離脱、そしてホームページに書かれた謎めいた声明文などがサッカー界で大きな話題になり、メディアを騒がせる存在になってしまった。

そして離脱した「FC淡路島」勢は明石を本拠地としていた「FC EASY02明石」の経営に参加したものの、こちらも1年でプロジェクトが断念され、岡崎慎司が関わる一般社団法人Meisterにクラブが譲渡されている(現在のFC BASARA HYOGO)。

一方のFC.AWJはメディアであまり名前が出る機会が多くはないものの、「昇格を逃せば解散」というスローガンも撤回され、2023年に関西サッカーリーグ2部を制覇。今季1部へと復帰している。

また本拠地である淡路島でもポスターなどを見る機会が増加しており、年に1回行われる「トモツクフェスティバル」にも多くの地元ファンが集まる大きなイベントになっている。

「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

いい意味で話題にならなくなったFC.AWJは、この2年間をどのように過ごしてきたのか。それを見届けてきた監督にお話を伺った。

「積み上げてくれたメンバーと、新しい人材の新たな役割」

FC.AWJを率いているのは、かつてヴィッセル神戸でも3シーズンに渡ってプレーしていた経験を持っている吉田真史監督。

ヴィッセルを離れたあとはバンディオンセ神戸(後にバンディオンセ加古川に変更)、高砂ミネイロFC、そして海外でプレー。2019年にFC淡路島へと加入し、2022年から監督に転身している。

そのため、FC淡路島の分裂トラブルからFC.AWJの誕生、さらに再建の2年間をすべて知っている存在とも言える。吉田監督は勝利した試合後、以下のように話していた。

「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」
「元:FC淡路島」トラブルを乗り越え、地に足を着けたFC.AWJ。吉田真史監督が見届けた「新しい人材と2年の積み上げ」

――後半戦の初戦、勝利おめでとうございます。まずはその感想からお願いできますか?

午後2時のキックオフということですごい炎天下の中、選手たちは良く頑張ってくれました。消耗戦になることは予想できていましたし、それを相手よりも一歩先にというところを常に意識してプレーしてくれたからこその勝利だったと思います。

ボールを握って、相手陣でプレーをしていく。それが我々のサッカーなので、ビルドアップからうまい立ち位置をとってパスを動かしながら、相手を見ながらプレーできた結果です。

関西リーグはどこのチームもずば抜けているところがない。混戦のさなかで試合が続いていくので、1試合1試合を大切に勝点を積み上げていくしかないですね。

――2年前に1勝もできずに降格したチームも見ていましたが、戦術先行だったあの頃と比べると遥かに「結果にフォーカスできる」ようになったという印象です。

そうですね。今年から入ってきてくれたメンバーもいれば、2年前からずっと積み上げてきてくれている選手もいます。

シンプルに、その2つがうまく融合してくれていて、いいチームができているんじゃないかなと思っています。

――2年前は僕の周りでも「あのクラブは大丈夫なのか」という声が多かったですが、淡路島でもポスターの数がかなり増えていて、着実に根付きが進んでいるという印象を受けました。どういう変化や成長が?

チームとして、そしてクラブとして、まず色々な人材を抱えてきました。その方々が淡路島の中で様々な役割を果たしてくれているんです。

だからこそ地元である淡路島の中で少しずつ浸透していますし、応援してくれるファンやサポーターの方々が徐々に増えている印象があります。

――次は首位のアルテリーヴォ和歌山戦。4位に浮上したクラブとしても重要な試合になりますね。

前半戦では負けているので(ホームで1-2と敗北)、ここはしっかりと借りを返す必要があると思います。

そのためには来週からしっかり準備をして、全員が試合に出るつもりで強い気持ちを持って戦う。それが絶対的に大事になってきます。

相手がアルテリーヴォだからということではなく、1試合1試合に気持ちを持ってしっかり戦えるチームというのを表現していけたらと思います。

――ありがとうございました!

分裂、クラブ名変更、再出発、ゼロ勝での最下位降格…様々な苦難を短い間に経験したFC.AWJ。その中で着実に地域で活動を続け、アストエンジ関西サッカーリーグ1部で上位を覗えるチームになった。

そのベースには、2年前からチームを支えてきた人々、そして新たに入ってきた人材がうまく融合してそれぞれの役割を全うしていることがあるという。

なお、この取材では他にもFC.AWJの古賀楓真選手と鳥飼椋平選手、レイジェンド滋賀FCの上原洋史監督にインタビューさせていただいた。それについては7月11日にFMおとくにで放送される「フットボールラウンジ」、およびポッドキャストでご紹介する。

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