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【夏の香味野菜】しそと大葉は同じもの?青じそ・赤じその違いは?お刺身に添えられる理由は?栄養士ライターが解説

  • 2024.7.9

料理の脇役!?「しそ」の栄養パワーを解説

香味野菜の一つ「しそ」
香味野菜の一つ「しそ」

そうめんやお刺身などの料理に彩りを添え、すがすがしい香りが味のアクセントにもなる香味野菜の一つ「しそ」。実は、脇役のままにしておくのは、もったいない栄養が詰まっています。この記事では、しその栄養ポイントや注目成分、青じそ・赤じそとの違いなどを解説します。

青じそ・赤じそは別の品種で、青じその葉=大葉

▲青じそ(右)と赤じそ(左)。それぞれ品種が異なります。
▲青じそ(右)と赤じそ(左)。それぞれ品種が異なります。

「しそ(紫蘇)」は大別すると、葉の両面が緑色の「青じそ」、葉の両面が赤紫色の「赤じそ」があります(厳密には、葉の表面が緑色×裏面が赤紫の“片面じそ”や葉が縮れた“ちりめんじそ”などもあります)。「青じそ」は、薬味や彩りとしての使用頻度が高いこともあり、本来の旬は6~9月ですがハウス栽培で年間を通して手に入ります。

▲梅仕事シーズンの6~7月に出回るのが赤じそ(手前)。
▲梅仕事シーズンの6~7月に出回るのが赤じそ(手前)。

一方、「赤じそ」は、アクが強いため生食よりも梅干し、しそジュース、しば漬けなどに加工されることが多く、スーパーなどの店頭に並ぶのは旬の6~8月に限られるようです。初夏は「青じそ」「赤じそ」の両方が手に入りやすいレアなシーズンといえます。

「しそ」よりも「大葉」の名前に、なじみがある人も多いかも知れません。「大葉」は「青じそ」の「葉」のみを指す呼び名。しそは、春に芽(芽じそ)が出て、夏に葉、秋に花や実(花穂じそ・穂じそ)が収穫されます。芽・葉・花実いずれも食べられることから、葉の部分だけを他と区別するため「大葉」という呼び名が定着したのだとか(諸説あります)。

ちなみに、青じそ(大葉)とよく似た葉の形で、焼き肉などの添えものとして人気の「えごま」もシソ科です。また、イタリアンハーブの「バジル」も、見た目は異なる「ローズマリー」もシソ科です。

抗酸化作用のあるカロテン量が野菜の中でもトップクラス!

料理に添えられている脇役のイメージが強い「しそ」ですが、実は驚くべき栄養を秘めています。抗酸化作用があるβ(ベータ)-カロテンが豊富な緑黄色野菜であり、その含有量は野菜の中でもトップクラスを誇ります。可食部(食べられる部位)100gあたりのβ-カロテン当量は11000μg (マイクログラム)で、同分量の葉ネギ(青ネギ)の7倍以上も含まれています。ほかに、ビタミンKやビタミンE、葉酸、カルシウムや亜鉛などのミネラルも豊富です。

しそ10枚の目安量が約7gなので、価格がお手頃で大量消費しやすい夏は、薬味として食べるだけではもったいない!と言えそうです。

※「日本標準食品成分表(八訂)増補2023年」に記載の「しそ 葉 生」の栄養成分より。

防腐作用のある香り成分、認知症予防効果が期待されている成分も!

▲お刺身に青じそが添えてある理由は彩りだけではなかった!
▲お刺身に青じそが添えてある理由は彩りだけではなかった!

注目成分は、シソ科の植物に含まれるポリフェノールの一種であるロスマリン酸で、アレルギー反応を抑える働きや認知症予防の効果が期待されています。このロスマリン酸は、青じそよりも赤じそに多く含まれているそうです。

また、すがすがしい独特の香りは、主にペリルアルデヒドという芳香成分で、防腐作用があることでも古くから知られています。お刺身のつまや、梅干しや漬け物などの長期保存食品に用いられてきた理由が、ちゃんとあったわけです。この香り成分には胃液の分泌を促す働きもあり、暑さで食欲が落ちやすい夏にぴったりといえそう。続編では、青じそ(大葉)の保存のコツと、おすすめの食べ方をクローズアップしたいと思います。

※参考文献:参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、板木利隆監修『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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