Text by カゴノブアキ
7月6日に紀の川桃源郷運動公園で行われたアストエンジ関西サッカーリーグ第8節のアルテリーヴォ和歌山対阪南大クラブ。
この試合は山忠建設株式会社のプレゼンツマッチとして開催され、イベントの前にはあの元日本代表DF駒野友一さんがゲストとして来場。地元の少年少女を対象にサッカー教室を行い、ともにボールを蹴った。
またその後はアルテリーヴォ和歌山の選手たちも交えてのPK対決、そしてファンとともに行う写真撮影会も実施され、地元サポーターとの交流を深めていた。
サンフレッチェ広島の印象が強い駒野友一さんであるが、実は和歌山県の海南市の生まれ。中学3年の時に広島県へと引っ越すまで過ごしていた、れっきとした「故郷」である。
福井、島根、滋賀、高知、三重とともに「まだJリーグのクラブがない県」として知られる和歌山。さらにJFLのクラブもないのは福井と島根、そしてこの和歌山の3県のみだ。
2007年に設立されたアルテリーヴォ和歌山は、Jリーグへの参入を目指しているチームの一つで、これまで関西サッカーリーグを4回制覇。しかしJFL昇格をかけた地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜くことはできず、地域リーグの1部で12年を過ごしている。
ただ、その一方で「Jリーグを目指すクラブがある」ことによって和歌山のサッカー環境は向上しており、現在新しいスタジアムを求める声も大きくなっている。
その和歌山の環境について、サッカー教室と写真撮影会を終えたばかりの駒野友一さんにお話を伺ってみた。
「地元に目立つクラブがあれば目標になる」
――暑い中、元気な子どもたちと素晴らしいイベントができましたね。和歌山で育った駒野さんは、子供のころにこのような教室を経験されたことは?
子供たちが笑いながらサッカーをしてくれていたので、そこが1番良かったと思います。
昔はなかったですね。有名な選手だったり、そのような方が来る機会が少なかったです。地域にあるチームがこのような企画をたくさん作ってくれて、自分も出身者として、故郷に戻ってサッカー教室が開けることをすごく嬉しく思います。
――もし駒野さんが子どものころにJリーグを目指すクラブが地域にあったら、意識や心持ちに違うところはありましたか?
そうですね、子どもの頃からそのような目立つ場所があれば目標になりますし、しかもJリーグを目指しているクラブですし。子どもたちも注目するチームになるんじゃないかなと思いますね。
――駒野さんはFC今治時代にJFLからJ3への昇格も経験していますが、その時の周囲の反応や雰囲気は?
昇格した瞬間は皆さんにすごく喜んでもらえましたね。やっぱりJFLとJリーグの違いというのもかなりありますし、そこは行ってみなければわからないところです。アルテリーヴォ和歌山にも昇格してほしいなと願っています。
――和歌山に新しいスタジアムを作ろうというポスターが貼られていて、広島のエディオンピースウイングの写真が参考例として使われていました。サンフレッチェ広島もかなり大きな変化があったのでは?
そうですね、やっぱり街中にできたことで広島県のサッカーのシンボルになりましたし、立地のことを考えてもとても行きやすくなりました。みなさんがサッカー中心の生活をしてくれるようになったようにも思います。
子どもたちにとっても、サッカー専用スタジアムになって距離感も近くなりましたし、とても身近に感じられるのではないかと感じます。
――今日は和歌山の子どもたちとたくさん触れ合うことができましたが、どんなことを大事にサッカーを続けていってほしいですか?
小さいころはやっぱりサッカーを楽しむことが大事だと思います。それから好きなことをやり続けてほしいですね。
そしてサッカーがうまくなるためにはボールを蹴り続けること、そして考えることがとても大事です。それをやりながら成長していってほしいなと思います。
――ありがとうございました!
このあとの試合でアルテリーヴォ和歌山は阪南大クラブを相手に4-1と勝利を収め、3ポイントを確保。アストエンジ関西サッカーリーグ全14節のうち8試合を終えた段階で2位に1ポイント差の首位に立っている。
地域リーグを優勝、あるいは10月に滋賀県で行われる全国社会人サッカー選手権大会で上位に入れば、JFL昇格をかけた地域サッカーチャンピオンズリーグへの出場権を獲得することができる。
アルテリーヴォ和歌山は今季こそ悲願のJFL昇格を成し遂げることができるのか。駒野友一さんも注目する「Jなし県の雄」の行方に注目だ。