選び抜かれた茶葉を美しく淹れる。京都に新開店した「POUYUENJI KYOTO」で知る、奥が深く豊かな茶の世界

京都・八坂、清水寺にほど近い場所にて、6月にソフトオープンという形でひっそりと開業したのが「POUYUENJI KYOTO」だ。多くの人が行き交う道から一歩足を踏み入れると、茶の香りと静寂に包まれた奥行きのある空間が出迎える。

2019年に設立した「POUYUENJI（ポウエンジ）」は、台湾を拠点とするブランド。「グローバルに茶の世界をキュレーション」と掲げ、味覚や嗅覚だけでなく五感さらには知性を呼び覚ますエクスクルーシブな体験を届けている。これまでは台北や台中でお茶を軸にしたレストランやホテルなどを展開してきたPOUYUENJIが、世界とつながる第一歩として京都に開店。京都の文化と融合そして共鳴しながら、奥が深く豊かな茶の世界を発信していく。

ファウンダーが60年にわたる茶のコレクターであることから、質にこだわった台湾の茶葉をはじめ、選び抜かれた希少なヴィンテージ茶葉も取り揃う。ほかではお目にかかることのできないような貴重な茶葉が、ここにはあることも。

入り口すぐから広がり、八坂通りから奥の庭までを結ぶこの縁側をめぐる棚には、シグネチャーの台湾烏龍茶や香り高いプーアール茶、岩茶などがずらりと並ぶ。さらに、オリジナルの青磁の茶器も輝きを放ち目が離せない。

そんな縁側を進むと、作庭家の北山安夫氏による緑豊かな庭が見えると同時に、ティーチャンバーと呼ばれる空間があらわれる。そこは雪見障子に囲われており、茶を淹れる手元のみを覗き見ることができるデザインに。なかでは茶葉の扱い方、そして淹れ方のプロフェッショナルであるティーマスターが、ゲストのための一杯を美しく丁寧な作法で用意する。

そんな茶の世界を堪能することができるティールームは、60分間の予約制。スペシャルなお茶と、京都の老舗和菓子店とコラボレーションした和菓子のペアリングでお茶体験を楽しむことができる。2階のライブラリーでは静かな空間で京都や台湾、茶にまつわる本のコレクションを眺めることも。

夏の爽やかな庭の水や虫の声に耳を澄ませながら、異世界に迷い込んだかのようなゆっくりとした贅沢な時間をぜひ味わってみては。

POUYUENJI KYOTO

場所／京都市東山区八坂通下河原東入八坂上町 374

営業時間／10:00〜18:00

・定休日：月曜日、火曜日

https://kyoto.pouyuenji.com

Text: Nanami Kobayashi