50代主婦。また働きたいけれどブランクが長く不安です。【浜田敬子さんが回答／老後の４Ｋ】

超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。

今回のお悩み／お金

専業主婦歴20年以上。家計や老後のために働いたほうがいい？

結婚後、子どもができたのをきっかけに28歳で仕事を辞め、それからずっと専業主婦をしています。下の子も大学生になったので、少しでも学費や老後資金の足しになればと、働きに出ようと思いはじめています。でもいざ動きだそうとすると、「20年もブランクがあるのにやっていけるかな」「何のキャリアもない私を雇ってくれるところがあるのかな」「年齢的に体力を使う仕事はきついな」と、あれこれ不安がわいて、最初の一歩が踏み出せません。節約しながら専業主婦を続けたほうがいいのかも？ と頭の中で堂々めぐりをしています。
（50歳・女性）

浜田敬子さんの回答

今は働く中高年にウェルカムな社会に。心身の健康のためにも、ぜひ働くことをおすすめします。

お悩み回答者

浜田敬子さん

何のスキルもないとおっしゃるけれど、主婦というのは、家事、育児、近所づきあい……と、マルチタスクをこなさなければ成り立たない仕事。PTA活動などを見ていても、場を仕切ったり、キビキビ動く専業主婦のかたがほんとに多いんです。調整能力やコミュニケーション能力もかなり高い。そういった主婦で培ったスキルこそ、仕事に生かせるのではないでしょうか。たとえば、接客業や介護・福祉の仕事などは、これまでの主婦経験があれば充分こなせると思いますよ。

しかも今は、中高年を積極的に採用する企業が増えています。マクドナルドのクルー（アルバイト）※1の最高齢は、なんと95歳！ なかには、元専業主婦で、子育て後にクルーから仕事を再開して店長になり、今ではフランチャイズ店を何軒も持つオーナーになった人も。イトーヨーカドーでも、パートの主戦力は50代以上の女性だそうです。パートでも昇給・昇格制度が設けられていたりと、ミドルエイジが働きやすい環境が整備されています。

何より、働くことのメリットは、お金を得られるだけでなく、新しいことを学ぶことで心身ともに元気にいられること。自分にはできないと思っていたことが、できるようになる。その達成感は何物にも代えがたい喜びになると思います。体力的な不安があるなら、まずは数時間のパートから始めてみても。最初の一歩が踏み出せなくても、とりあえず半歩、踏み出してみてはどうでしょう？

※1 日本マクドナルドのシニア雇用の取り組み
日本マクドナルドホールディングスでは、60歳以上のクルーを「プレミアムエイジクルー」と呼び、積極的に雇用している。社会経験を通じて得られた知見＝「プレミアム」な能力を持ったクルーは、現在全国約2900店舗に7500名以上在籍。今ではマクドナルドになくてはならない存在になっている。

浜田敬子さん
ジャーナリスト。1966年、山口県生まれ。89年、朝日新聞社に入社。『週刊朝日』編集部を経て、『AERA』編集長に就任。前「Business Insider Japan」統括編集長。「羽鳥慎一モーニングショー」（テレビ朝日系）、「news23」（TBS系）などでコメンテーターを務める。著書は『働く女子と罪悪感』（集英社）など。