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仕事で海外へ行くあこがれ『ミクロヒー~ヒコロヒーのミクロな未承認国家旅~』/テレビお久しぶり#107

  • 2024.7.5
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「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき

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長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『ミクロヒー~ヒコロヒーのミクロな未承認国家旅~』(日本テレビ系)をチョイス。

仕事で海外へ行くあこがれ『ミクロヒー~ヒコロヒーのミクロな未承認国家旅~』

ヒコロヒーと、きしたかの・髙野正成が、独立国家(=ミクロネーション)を訪れる番組、ミクロヒー。ふたりはラドニアという国を目指すのだが、私が今回鑑賞した第1話では、現地ガイドが急きょ来れなくなってしまったということで、経由地として訪れたコペンハーゲンにてオフを過ごすこととなり、事実上コペンハーゲンの旅番組となっている。番組内では、デンマークとスウェーデンを結ぶオーレスン橋も登場し、その橋の真ん中、両国の国境をまたいだ死体が発見されることで幕を開けるドラマ『THE BRIDGE』のファンであった私は、ひとまず画面越しの聖地巡礼を済ませたのであった。

さて、私には、仕事で海外へ行くあこがれというものがある。まず海外にあこがれがある。私は日本から外に出たことがない。知らない世界にあこがれを持つのは当然である。しかし、海外に行こうと思うと、莫大な費用と手間が必要になる。東京から地元・福岡への帰省も、飛行機代をケチって電車で済ませた私からすれば、数万円を払って飛行機に乗るというのは相当なハードルだ。パスポートも持っていない。パスポートを作るのにも金がかかると聞く。人間が、場所から場所へと移動するだけなのに、あらゆるしがらみが生まれる。端的に面倒くさいのである。

しかしあこがれは尽きない。じゃあどうすればいいのか。仕事で海外へ行けばいいのである。そうすれば、旅費は経費となるだろうし、仕事なのだから、「面倒くさいからやめよう」という選択肢も消える。収入も得られる。いいことづくめである。仕事で海外へ行く…。想像できない。金を払ってでも俺を海外へ行かせたい人間……俺が海外へ行くことで得をする人間……考えれば考えるほど、そんな人間いるはずがないと分かる。ということは、私に”海外へ行く仕事”が舞い込んでくることはないのだろう……。一度、仕事で外苑前に行く機会があった。その仕事自体は実らなかったのだが、交通費を貰えた。「仕事で外苑前に来ちゃったよ」と大変満足しながら帰った記憶がある。交通費を貰う、ということが重要なのである。外苑前でもここまで満足できるのだ。海外へ行って、交通費を貰ったら、私は一体どうなってしまうのだろうか。

私がここまであこがれている”仕事で海外へ行く”をやっているヒコロヒーと高野は、一体どのような気持ちなのだろう。ウキウキに楽しいのだろうか。「仕事だから」と割り切っているのだろうか。ふたりが泊まっているホテルも、キレイで良さそうなトコに見える。あれも番組の経費なのだろうか…。しかし、中盤にて、ラドニア入国のための装備を揃える買い物で、高野が日本円にして15万円の総額を自腹で支払わされていた。あれは本当に自腹なのだろうか?15万円以上のギャラが出るなら、それでもかまわない。仕事で海外に来ている、という、その特権的な立場への満足から、その労働の条件がいかなるものでも、俺はホイホイと認めてしまうだろう。ですから、どんな条件でもやりますよ。どなたか、私にロケ番組をやらせてみませんか?ギャラ2000円とかでもやります。メシ代は自分で出しますよ。宿もカラオケで結構です。よろしくお願いします。

■文/城戸

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