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「父と母」になり、私たちはようやく強固な絆を持った本当のパートナーになれた

  • 2024.7.5
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私と夫は恋人の頃から出不精だった。というか私が出不精だ。恋人なら一度は訪れるだろうレジャー施設やスポッチャとかが苦手なのだ。アトラクションは酔うので乗れないし、運動は苦手。なので、いわゆる定番のデートというのをあまりした記憶がない。もっぱら適当にドライブしてごはんを食べるぐらい。時々映画。基本、ずっと車内でとりとめのない話をしているだけ。それでも週一で必ず会っていた。おかげで友人たちにデート内容を聞かれても困った覚えがある。恋人って何をするものなのだろう。

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今更だけど、当時の彼にとって私とのデートは大変だったと思う。行きたい所は特にない、定番スポットは行けない。お互い実家住みで家デートは難しい。本当にこんな状態でよく週一で会えたものだ。私と夫は中学生の頃からの知り合いで、家が近所。親も含めてお互いのことを知っているので、色々と取り繕う必要がなかった。

だから、なんとか関係を続けることが出来たのかもしれない。デート難民だった私たちは、数年の時を経て夫婦となった。私は夫と互いに胸を撫で下ろした。「ああ、これで無理して出かけなくて済むんだ」と。

夫婦になってから私たちは、互いのこだわりや生活習慣で衝突したり、心の奥底で妥協したりする日々を過ごしていた。そして気がついた。恋人の頃より圧倒的に出かけており、予定が埋まっていると。休みの日に買い出しをしたり、ちょっと遠くのショッピングモールまでドライブしたり。「ひえ〜恋人やん」の連続だった。今までの私たちって一体なんだったのだろう。さっさと結婚して一緒に住んだほうがお互いよかったのではないか。そう思わずにはいられない日々の連続であった。

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やがて子供が生まれ、私は母となり、夫は父となった。毎日慌ただしく、自分達の時間など到底取れそうもない。気がつけば、二人だけでどこかに出かけることなどなくなってしまった。寂しい気もするけれど、こんなもんなのかとも思う。目の前の出来事をいかに安全にスムーズに終えられるか。それをお互いに考えて生活する。正直しんどいことの方が多いけれど、それでも無事に一日を終えられると達成感がある。夫とはパートナーというより、戦友に近しい存在かもしれない。

付き合っている時からそうであったが、夫は辛抱強い。子供たちのミスや言うことを聞かない際、辛抱強く言い聞かせている。私ならもう怒鳴ってしまうかもと言う場面でさえ、ポジティブに言って聞かせることが出来る。そう言えばいいのかという発見があり、密かに学ばせてもらっている。子供たちも私と過ごしている時以上に夫と過ごす

ことを楽しんでいる。夫がいれば、「お父さんと一緒にお風呂に入って寝る」、「お父さんはあと何日お休み?」とまで言う。私の時はそんなこと言わんくせに。思わず嫉妬してしまいそうになる。それもこれも夫が子供たちに真摯に向き合った結果だと思う。そのおかげで、夫がいる日は私も余裕を持って家事育児が出来るのだ。

夫は父として“いかに家庭を上手く回せるか”を意識して生活してくれていると思う。子供が生まれて“父親”と言う存在になってから特に顕著だ。立ち会い出産をして、共に地獄のような新生児期を過ごしたからではないだろうか。私自身、恋人時代にはなかった夫に対して様々な感情を抱いた。たくさん泣いて、たくさん怒ってぶつかり合った。お互い、喧嘩の連続で別れたいと思ったりした。それでも、夫は父として“どうすればいいか”を常に一緒に考えてくれた。試行錯誤して、一番良いスタイルを一緒に見つけてくれた。その事実があるおかげで、どんなにしんどい日も二人で乗り越えられるのだ。恋人の頃より、夫婦の頃より、父と母という関係になって私たちはようやく強固な絆を持った本当のパートナーになれたのではないだろうか。

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私にとって夫は、なくてはならないパートナーから、共にたくさんの修羅場を乗り越えてきた戦友のような存在だ。いつか子育てが終わったら、また一緒にダラダラしたいものだ。その日まで、どうぞよろしくねお父さん。

■やまちなほのプロフィール
二児の母。子どもたちに隠れてチョコを食べるのが得意です。

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