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永瀬廉×出口夏希でNetflix映画化の『よめぼく』。「いつか死ぬかも」「恋してもいいのか」の葛藤に挟まれる2人の物語

  • 2024.7.4
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看護師として働いていたとき、何度か患者さんの余命宣告の場に立ち会ったことがある。誰もが表面上は淡々と受け入れているように見えても、きっと頭の中は真っ白になり何も考えられないはず。もし僕が余命宣告される側だったら、きっと同じように思考が停止するだろう。でも、人は強いことも、経験上知っている。多くの人が、残された時間をどう過ごすべきか考え始め、これまで以上に1日1日を大切に過ごし始める。本記事で紹介するNetflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』の主人公達のように。本作は、余命を宣告された男女の淡く切ない恋を描いたラブストーリーだ。

主人公は17歳の高校生・早坂秋人(永瀬廉)。彼には絵描きの才能があり、高校生ながら美術界の登竜門「二科展」受賞を目指せるほどの逸材だ。顧問にも二科展への準備を勧められ、制作に没頭する日々を送っていた。しかし、秋人の心臓にガンが見つかる。原発性の腫瘍で非常に稀なガンであることがわかり、余命1年と宣告されてしまう……。何の予兆もなく病気が見つかり、余命を宣告され、頭の中が何も描かれていないキャンバスのように真っ白になった秋人。二科展の準備はもちろん、日々の生活にも気概が持てず、ただ時間が過ぎていくだけの毎日が続いた。

そんなある日、彼は病院の屋上から女性を見つける。秋人と同じ17歳の桜井春奈(出口夏希)だ。彼女も秋人と同じく絵を描くのが好きで、2人は会って間もなく意気投合。そして秋人は、春奈も何十万人に1人しかかからない病気にかかっており、余命半年と宣告されたことを知る。

自分の病気のことも打ち明けよう。秋人は喉元まで言葉が何度も出かかるが、春奈に肝心なところで「あなたは長生きしてね」と言われ、遮られてしまう。自分も同じ境遇であることが言えずモヤモヤする秋人。しかし、次第に彼女に自分の病気のことを知らせずにいる方がお互い楽しい時間を過ごせることに気付き、春奈の闘病を応援するようになる。その関係が、あの日真っ白になった彼の人生のキャンバスに少しずつ色を加え、華やかにするとは知らずに。

本作の魅力は、死を身近に感じるようになった2人や家族、友人の心境の変化が、如実に描かれている点にあるだろう。2人が出会ってからエンディングに至るまでの表情や話し方の移ろい、秋人や春奈の家族が抱える思い、秋人と春奈の共通の友人・綾香の心情にはリアルさを感じずにはいられない。また2人の恋の行方にも注目してほしい。お互いに「いつか死ぬかもしれない」「恋なんかしてもいいのか」という葛藤を抱えてはいるものの、今まで以上に日々を大切に生きようとしているからこそなのだろう、2人の会話から溢れ出る恋心には、ギュッと胸を締め付けられる。

本作はNetflixで「King & Prince」の永瀬廉主演、出口夏希ヒロインのもと世界独占配信中だ。まだ原作と『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話 Ayaka’s story』を見ていない人は、それらを手に取ってみることをおすすめする。映像では描かれていない細かなシーンを、頭の中でつなぎ合わせながら観ることができれば、本作の世界により深く入り込めるはずだから。

文=トヤカン

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