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奈緒さん、20代最後の年どう生きる? 「自分の好きなところも見つけられるようになってきた」

  • 2024.7.4

近年、社会問題や人間の生死を題材にした作品に数多く出演してきた俳優の奈緒さん。主演を務めた7月5日(金)公開の映画『先生の白い嘘』では、「男女の性の不条理」というセンシティブなテーマに挑みました。30代を目前に控えたいま、自身に向ける目線の変化や、これからの生き方について伺いました。

前に進むきっかけをくれた、あの人の言葉

――奈緒さんはこれまでも、厳しい現実や社会問題も含めたさまざまなテーマの作品を、次々と体当たりで演じられています。そういった作品に出演を決められる際や、演じるうえで大切にしているのはどんなことですか?

奈緒さん(以下、奈緒): 映画やドラマといった“エンターテインメント”は、言葉の響きとしては楽しさが感じられるものですが、作品が伝えることは、時代背景が反映されていたり、誰か一人に対してのメッセージが含まれていたりするなど、狭く深いものであっていいのではと思っています。

作品に込められたメッセージは、しっかり作り手の間で共有して、観てくださるみなさまに届けたい。でも、作品はあくまで、受け取ってもらって初めて完成するものでもあります。「どういう風に受け取ってもらえるか」という受け手への目線を忘れず、自分だけのものにならないように、という意識を持つようにしています。

朝日新聞telling,(テリング)

――『先生の白い嘘』では、奈緒さん演じる高校教師・美鈴にとって、教え子・新妻の存在が、前に進む力になりました。奈緒さん自身も、何か壁を越える時に、誰かの存在や言葉が励みになった経験はありますか?

奈緒: 昨年、夫婦のセックスレスを描いたドラマ『あなたがしてくれなくても』で主人公のみち役を演じた時、夫役の永山瑛太さんからの言葉を、いまでも覚えています。撮影に入る前に「僕は絶対に、何があっても奈緒ちゃんの味方だから」って言ってくれたんです。センシティブな内容にも触れる作品でしたが、それで現場に入ることが怖くなくなりました。人生には、大きな出会いを通じて自分の考え方や価値観が大きく変わる瞬間があるだけでなく、日々、誰かの言葉で前に進めることもあるのだと実感しました。

――視聴者の方からの反響も、とても多かったのではないでしょうか。

奈緒: どんな風にみなさまの元に届くのだろう……と、現場のスタッフも含めて、私たち作り手みんなが緊張感を持って撮影を進めていました。そんななか、放送後に反響があり、ファンのみなさまから多くの声をいただきました。SNSのメッセージを読むと、共感や感謝の言葉もたくさんあったんです。毎話ごとにいただいた声を受けながら、作品とともに「前に進もう」と思えたのは、ドラマならではの体験だったと思います。

「29歳問題」と絶賛向き合い中!

――2年ほど前のtelling,のインタビューで、30歳を前にした女性が結婚やキャリアに焦る「29歳問題」について伺いました。奈緒さん自身が、29歳になられたいま、年齢との向き合い方をどのように捉えていらっしゃいますか?

奈緒: あの取材をお受けした時に初めて「29歳問題」という言葉を知りました。あれから2年も経ったなんて驚きですね。もしかしたら、当時は、“問題”を、いまよりも深刻に捉えていたかもしれません。

でもいまは、「29歳問題」は、その言葉の響きが持つほど、後ろ向きではない、と感じています。やっぱり29歳は節目の年。周りの人からも「どんな30代にしたい?」と聞かれる機会が増えていて。そのたびに、20代最後の一年をどう生きようか、30代はどんな選択をしていこうか、考えることが増えたと身にしみて感じているところです。

そんなことをきっかけに、自分の年齢や生き方を考えられるのは、すごく良い機会だな、と思うんです。いま絶賛「29歳問題」と向き合っている最中ですが、とてもありがたい時間だと感じています。

朝日新聞telling,(テリング)

――当時は、「自分のことを心から愛せる人になりたい」というお話もされていました。自分自身に向ける目線に、何か変化はありますか?

奈緒: だいぶ自分のことが受け入れられるようになってきたし、自分の好きなところも見つけられるようになってきました。これからも自分を見つめて、好きな部分を増やしていきたいですし、反省点があっても、変えていけると信じたいです。あまり自分で自分を責めすぎずに、時間がかかっても少しずつ、前向きに変化していけたらと思っています。

――たとえば、自分のどんなところを好きだと感じますか?

奈緒: 行動に移すのが結構早いところですね。それで失敗しちゃうことも、多々あるんですけれど……。ただ、思い返すと、そうやってすぐに行動に移したことで、自分の道がパッと開けた経験もたくさんあって。

この間も、些細(ささい)なことなんですけど、自宅の床を張り替えようと思ってクッションフロアのシートを買ったんです。そして、仕事が終わって帰宅後、あまり時間がないなかで、届いたシートを床に貼る単純作業をしている自分のことを「結構好きだな」って。

でもクッションフロアのシートって、貼る前に一日広げて置いておかないと、巻いていた時の癖が取れなくて、床とシートの間に空気が入っちゃうんですよ。なので、私の行動の早さが仇(あだ)となって、いま、敷いたクッションフロアにものすごく空気が入ってしまって……。

思い立ったらすぐに行動に移すという、好きな部分もありつつ、ちゃんとリサーチしてから買わないと……。「改善点ありだな」とも思いました(笑)。

朝日新聞telling,(テリング)

結果を出すまでは、いくらでも悩んでいい

――奈緒さんにとっての「自分の幸せを保つための定義」があったら、教えてください。

奈緒: 私自身、まだ探している途中です。「これが私の幸せ!」と言葉で言えるものよりも、「ああ、いまなんか幸せだなあ」って感じる瞬間を集めている。そんな感覚に近いです。

そんな瞬間が自分のなかにどんどん増えていけば、幸せの定義って、いつか言葉で表せるようになるのかもしれないし、もしかしたら、表せないかもしれないですし。あまり決めることをせずに生きていきたいな、というのが、いまの正直な気持ちです。

――これから年齢を重ねていっても「ブレない自分らしさ」って、どんなところにあると思いますか?

奈緒: 「好きなことをやる」ということ。そして、そのなかで生じる大変さや苦しみも「楽しむ」ことでしょうか。たとえ、苦しいと思う時があっても、好きなことだったら乗り越えられると思うんです。自分を大切にするためにも、好きなことを続けていきたいですね。

朝日新聞telling,(テリング)

――「自分のやりたいことがわからない」「やりたいことがあっても前に踏み出せない」と悩んでいる、奈緒さんと同世代のtelling,読者に向けてメッセージをお願いします。

奈緒: 私は、やりたいことに「飛び込む」「飛び込まない」という2つの選択肢が目の前にあった時に、飛び込む選択をするほうが必ずしも良い結果を生むとは言い切れないな、と思っているんです。

でも、飛び込んでみて、たとえ思うような結果に繋がらなかったとしても、自分のなかでは絶対にプラスになることがある。みなさん自身がそう感じる時は、私も背中を押したいです。

私は、何かの選択や、結果を出すまでの時間は、いくらでも悩んでいいと思っているんです。マイナスではなく、「悩んでいる時間だって、すごく自分を大切にしている時間」ですから。

■北村有のプロフィール
ライター。映画、ドラマのレビュー記事を中心に、役者や監督インタビューなども手がける。休日は映画館かお笑いライブ鑑賞に費やす。

■大野洋介のプロフィール
1993年生まれ。大学卒業後、出版社写真部に所属した後、フリーランスとして活動中。

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