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【50代からのマネー】年金の繰り上げ受給のメリット・デメリット

  • 2024.7.4

年金は原則として65歳から受給できますが、希望すれば60歳から受給が可能です。果たして年金の繰り上げ受給はお得なのか、メリット・デメリットを解説します。

年金の仕組み

私たちが老後に受け取れる年金の仕組みは次の通りです。

老後の保障として受け取れる老齢年金

日本の公的年金は、20歳から60歳未満のすべての国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」があります。公的年金制度の加入者は、老後の保障として老齢年金を受給できます。

老齢年金は国民年金の「老齢基礎年金」と、厚生年金の「老齢厚生年金」があります。老齢厚生年金は老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。

老齢年金は「繰り上げ受給」ができる

老齢年金は原則として65歳から受給できますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に受給できます。このことを「繰り上げ受給」といいます。

繰り上げ受給を希望する場合は、年金事務所または年金相談センターに請求書を提出します。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらかのみを繰り上げ受給することはできないため、同時に繰り上げ請求をする必要があります。繰り上げ請求をすると、請求日の翌月分から受け取りができます。

老齢年金は「繰り下げ受給」もできる

老齢年金は受給開始時期を66歳から75歳までの間に繰り下げることもできます。このことを「繰り下げ受給」といいます。つまり、老齢年金は希望すれば60~75歳の間の好きなタイミングで受給を開始できるということです。

老齢年金の繰り上げ受給のメリット

老齢年金を繰り上げ受給するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。

生活費を補える

生活費が不足している場合は、早い段階で老齢年金を受け取ることで生活費に充てることができます。特に、健康上の問題や家族の介護などで働くことが困難であり、かつ貯蓄も少ない場合、安定した収入を確保できるのはメリットといえるでしょう。

体力があるうちに老齢年金を受給できる

年齢的に若く、体力があるうちに老齢年金を受け取ることで、使えるお金が増えて充実した生活を過ごせるのもメリットです。65歳までに実現したいことがある、といった場合も、実現のための資金に充てることができます。

老齢年金の繰り上げ受給のデメリット

老齢年金の繰り上げ受給には少なからずデメリットもあるため、慎重な判断が必要です。

老齢年金が減額される

老齢年金を繰り上げ受給すると、生涯にわたり減額された老齢年金を受け取ることになります。減額率の計算は次の通りです。

減額率の計算 = 繰り上げ請求をした月から65歳到達月の前月までの月数 × 0.4%

繰り上げ受給の取り消しはできない

老齢年金の繰り上げ受給を請求した後は取り消すことができません。一度繰り上げ受給したら受給時期の変更はできないため、十分に検討してから決めましょう。

国民年金の任意加入ができなくなる

やむを得ない事情により、国民年金保険料を納められなかった期間があると、その期間に応じて老齢基礎年金の金額は少なくなります。これを防ぐために、60歳以上65歳未満の間に国民年金保険料を納めることで、老齢基礎年金を増やすことができるのが国民年金の任意加入制度です。

しかし、老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合は、国民年金に任意加入して国民年金保険料を追納することはできません。

寡婦年金がもらえなくなる

寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者の夫が死亡した場合、一定の要件を満たせばその妻が60歳から65歳になるまでの間受け取れます。しかし、妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合は受け取ることができません。
寡婦年金を受給中の人は、寡婦年金の権利がなくなるので注意が必要です。

障害基礎年金がもらえない可能性がある

障害基礎年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、国民年金に加入していた人が受け取れる年金です。しかし、老齢基礎年金を繰り上げ受給すると、一部のケースを除いて障害基礎年金を受給できなくなります。

(まとめ)
老齢年金を繰り上げ受給すると早い段階で老齢年金を受け取れますが、年金受給額が減額されるなど見逃せないデメリットもあります。納得できる選択をするためには、50代のうちからどのような老後を送りたいのか、ライフプランを思い描くことが大切です。自らのライフプランに合わせて制度を利用し、充実した人生を送りたいものですね。

構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事の監修者

ファイナンシャルプランナー 大久保美伽

大久保美伽

ファイナンシャルプランニング技能士1級、CFP、トータルライフコンサルタント、DCプランナー2級。大手外資系金融機関勤務に15年務めたのち、2021年にマネレボ株式会社設立。真に中立な立場で資産運用と保険、家計の見直しを行いお金と時間から自由になり自分らしく生きる女性を増やすべく、FPとして独立。「老後に3000万円差がつく投資講座」主宰。

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