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2010年代で最も素晴らしい映画は? 10年に一本レベルの超名作(4)21世紀最高…! 怪物級の傑作とは?

  • 2024.7.4
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ポン・ジュノ【Getty Images】

2010年代に発表された数々の名作の中でも、賞レースを席巻し、観客から受け入れられ、批評家を唸らせ、かつ、今に至るまで作り手の創作意欲を刺激し続けている映画をセレクト。約130年に及ぶ映画の歴史においても、傑作と呼ばれる作品は数少ない。ここでは、そんな稀少な作品群の魅力を解説する。第4回。(文・編集部)

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『パラサイト 半地下の家族』(2019)
製作国:韓国
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
キャスト:ソン・ガンホ、ウシ、パク・ソダムチャン・ヘジン、チャン・ヘジン、イ・ソンギュン、イ・ジョンウン、パク・ミョンフン

【作品内容】

失業中の父親キム(ソン・ガンホ)とその一家は、ソウル市にある半地下の貧乏アパートに暮らしていた。そんなある日、大学受験に失敗し続けている長男のギウ(チェ・ウシク)のもとに家庭教師の話が舞い込む。それは高台の高級住宅に住むIT企業の社長パク家だった。キム一家は徐々にパク家に寄生(パラサイト)し始め、思わぬ事態に突入していく…。

【注目ポイント】

第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。さらに第92回アカデミー賞にて、非英語作品として初の作品賞を受賞するなど、賞レースを席巻。破格のスケールをもった傑作である。

韓国の階級格差をバックボーンにした本作では、労働者階級のキム一家が続々と富裕層であるパク家に侵入していく姿をコメディータッチで描きつつ、中盤以降、描写のトーンをサスペンス、あるいはホラーへと巧みに転調させることで、今まで味わったことのないような感情をもたらす。

『グエムル-漢江の怪物-』(2006)でアジア随一のヒットメーカーの座を不動のものにしたポン・ジュノ監督の巧みな演出も、本作の底知れぬ魅力を形成する要素の一つだろう。高低差を強調した人物配置、後半で描かれる大洪水シーンの視覚的迫力、衣装や小道具によってキャラクターの無意識を浮き彫りにする描写など、美点を挙げれば枚挙にいとまがない。

21世紀を代表する傑作として真っ先に名が挙がる本作。観ていなければ映画ファンを名乗る資格はない。といった扇動的な言葉がつい口をつくほどの圧倒的な完成度。「10年に一本レベル」の傑作と言っても過言ではないだろう。

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