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「無人運航船」って知っていますか?  ~内田雄基アナウンサー 取材・レポート

  • 2024.7.3

ニッポン放送アナウンサーの内田雄基です。私は学生時代、船や海の世界について学んでいました。全長数百メートルに及ぶ貨物船などから、実験で使用する10cmの模型の船まで、様々な船の設計や歴史を大学で学んできました。今回は船の世界の少し先の未来についてのお話させて頂きます。

自動運航システムの実験を行った、第二ほくれん丸(写真提供:日本財団)
自動運航システムの実験を行った、第二ほくれん丸(写真提供:日本財団)

今、身の回りでどんどんと「無人○○」増えていませんか? スーパーやコンビニでよく見かける「無人レジ」、AIの進歩によって「無人コールセンター」まで出てきました。少し前であれば驚いていた技術が日々進歩してこれまで人が担っていた役割を、機械やAIが代わりにこなしている社会に少しずつ変わってきています。

そして、船の世界にも「無人運航船」というものがあることをご紹介していきます。

無人運航船とは。字のごとく人が乗らなくても自動で海を渡ることが出来る船のことです。車の世界では、自動運転など機会に運転を任せる技術が高い注目を集めていますが、実は船の世界でも研究が進められていて、実はもうすぐ、私たちも無人運航船に乗ることが出来るのです。

「2024年問題」今年4月からトラックドライバーの時間外労働が年間上限960時間に制限されることによって、生じる様々な問題のことです。労働時間が短くなった結果、ドライバーが一人当たり輸送できる荷物の量が不足し、必要な時に必要な荷物が届かない、そもそも荷物を運んでもらえない、「モノが運べなくない」社会になる可能性が懸念されています。

同じ輸送を海上で担う、海運業界も同じように、人手不足で「モノが運べなくなる」可能性が出てきています。日本国内の港から港へ船でモノを運ぶ、内航海運は船員の半分以上が50歳以上であり、これから先、若い担い手不足が深刻となると考えられています。海運業界の人手不足は、海外からの輸出入の実に99.6%を海運が担っている日本にとっては大きな問題です。

海運業界の人手不足の問題の中で、今注目を集めているのが「無人運航船」なんです。

機械によって自動で船を運航することによって、より少ない人手でこれまでの物流の量を保って、生活を続けていくことが出来ると考えられています。

また、物流以外にも無人運航船には大きなメリットがあると考えられています。私たちの住む日本には約400の人が住む離島がありますが、こういった離島を結ぶフェリーにも人手不足の影響が今後及ぶことも考えられます。現状でも生活に必要な航路であるにも関わらず一日朝夕2便のみ運航という離島も少なくありません。離島航路も無人運航船によって、航路の維持、便数を増やすことも可能であると考えられています。

さらに、海での事故の原因の約7割から8割がヒューマンエラーといわれています。人は活動時間や視野に限界がありますが、機械にはそれがありません。安全に管理された船が増えれば、事故減少も可能であると考えられています。

緊急時に陸上から無人運航船を支援する陸上支援センター(写真提供:日本財団)
緊急時に陸上から無人運航船を支援する陸上支援センター(写真提供:日本財団)

そこで始まったプロジェクトが「MEGURI2040」です。このプログラムは、日本財団を中心に、まだ世界中で開発中の無人運航船を日本の高い技術を持った企業を集めて「オールジャパンチーム」で開発しようというものです。2040年までに内航船の50%を無人運航化することを目標としています。

おりんぴあどりーむせと(写真提供:日本財団)
おりんぴあどりーむせと(写真提供:日本財団)

2020年に始まったプロジェクトですが、来年2025年の7月に、小豆島を結ぶ離島航路で無人運航船の技術を搭載した船が、旅客を乗せて海を渡る予定になりました。「おりんぴあどりーむせと」というフェリーで全長は65m。この実証実験を足掛かりに多くの船に利用できるよう「MEGURI2040」のプロジェクトは動いています。

すぐそこまで沢山の無人運航船が、日本の海を渡る未来、来ているんです。

「無人運航船」初めて知ったという方もぜひ、今後注目してみてください。

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