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キャサリン皇太子妃が牽引?今シーズン、「乗馬ファッション」が流行っている理由とは

  • 2024.7.3
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乗馬ファッションは、もはや乗馬クラブだけのものではない。いまでは街中でも着られ、TikTokでその魅力が称賛されている。このスタイリッシュなファッション現象を分析しよう。

セイヤーズ・クロフト・フォレスト・スクールを訪問した際、エレガントな乗馬ファッションに身を包んだキャサリン皇太子妃。photography: Max Mumby/Indigo / Getty Images

バッキンガム宮殿では、"乗馬ファッション"が長く流行している。2018年10月2日、イギリスのユーハーストを訪れた際のキャサリン皇太子妃が思い出される。キャサリン皇太子妃は馬に乗らない。実は皇太子妃は動物アレルギーなのだ。それでも、その日は「厩舎から出てきたような」ルックで登場した。レザーの乗馬ブーツ、ブラウンのレギンス、カーキ色のジャケットを身に着けていた。『Sociologie de la mode(原題)』(2010年)の著者である社会学者のフレデリック・ゴダールは、「一般的に、服は価格だけでなくそのスタイルによっても社会的なマーカーとなります。ハイキングや乗馬などのアウトドアスポーツを連想させる服は現在人気です。これはスポーツウェアがスタイルの基準として確立し、現代のステータスの表現となっているという潮流の表れです」と説明する。

キャサリン皇太子妃と同様に、多くの人々が日常生活でこのスタイルを取り入れている。27歳のマリンは、昨年冬に購入したジョナックの乗馬ブーツを手放せない。銀行のアドバイザーとして働く彼女はこれらを「最もシックな靴」と称し、どんなルックにも簡単に合わせられると語る。「私が最も好きなのは、短いドレスと合わせても脚がきちんと見えることです。だから都会やオフィス向きに最適です。古典的でありながらも洗練されています。」同様に、35歳のアンヌも、エルメスの乗馬ブーツに常に憧れており、高校時代にはそう感じ始めていた。「乗馬自体は好きではないけれど、思春期からファッションに興味を持ち始めた時から、乗馬ブーツの美しさに惹かれています。私を魅了するのは、その靴のエレガンスさです。」

最近では、乗馬に関連付いた衣類やアクセサリーが乗馬場に限らずに広く受け入れられている。しかし、洗練と乗馬の関連性は古くから存在する。パリ装飾芸術美術館で2023年9月20日から2024年4月7日まで開催された展覧会「Mode et sport, d'un podium à l'autre(ファッションとスポーツ、ひとつのランウェイからもうひとつのランウェイへ)」のキュレーターであるソフィー・ルマイユーは次のように説明している。「19世紀には、乗馬を生活必需ではなく娯楽として楽しむことは、上流階級の一員であることを意味していました。」専門家は、何世紀にもわたり乗馬が進化してきたことを指摘し、そのスタイルも同様に変化してきたと語る。「最初はエレガントな衣服でした。時間の経過とともに、それらはスポーツしやすいように進化し、さらに後には快適さのために日常生活にも取り入れられるようになりました。」

乗馬をしない人のワードローブにも

TikTokでは、多くの若い女性がプロの騎手が着る衣装にインスピレーションを受けたファッションをカメラの前で再現している。これには5歳から週4回クラブで乗馬をしているという30歳のアマンディーヌも思わず笑ってしまった。映像を見た彼女が気づいたのは、「彼女たちが着ているのは競技用の制服」ということ。彼女によれば、その理由はただひとつ。「乗馬をしないのに日常生活でこのような服を着る人は、厳格さと卓越性のイメージを真似して、周囲に特別な印象を与えたいのだと思います。ここでは、自分が几帳面で厳格だということを示したいのだと思います。つまり、このお金のかかる活動が暗に豊かな余暇を持てるということを示しています。忙しい社会において、自分のための時間を取ることができる人は少ないのです。」

ファッションの進化において重要な役割を果たす、いくつかのブランドについて考えてみよう。例えば、ポロ競技を象徴するロゴが刺繍されたラルフ ローレンの伝説的なポロシャツや、高級ブランドのエルメスが主催する「ソー・エルメス」のようなイベントに加えて、エルメスは馬と騎手のために特注製品を提供している。ソフィー・ルマイユーは、「一般的に、高級ブランドはスポーツ選手と提携することに関心を持っています。彼らは歌手や俳優と同様にアイコンであり、スポーツ選手をブランドの顔として選ぶことで、フェアプレー、チームスピリット、自己超越などのスポーツの価値観を取り入れることが可能になります。」

ファッションがもたらす効果

ファッションショーもこれを裏付けている。例えば、グッチの2021年秋冬コレクションでは、乗馬風シルエットがいくつも見られた。また、最近ではルイ・ヴィトンの2024年秋冬メンズコレクションも、アメリカ西部の文化とその馬に乗るカウボーイに敬意を表したものだった。フレデリック・ゴダールはこう指摘する。「屋外用のスポーツウェアは一般に独占的で手の届かないイメージを持っています。乗馬に関しては、高い費用と技術的な挑戦を考慮することも重要で、これがこのスポーツを特別なものにしています。」彼はまた、「結果として、ファッションとその流行は、乗馬を実際には行わない人々にも届き、そのような印象を与えることができます」と語る。

フレデリック・ゴダールは指摘する。「乗馬ファッションを身に着けることで、今日では混乱が生じることがあります。今や、乗馬服を着た人が乗馬クラブに行くだけでなく、買い物に行くこともあります。『服装が人を判断する要素とは限らない』という言葉の意味がここで完全に当てはまります。そして、ファッションの魔法の力がここにあります。それは容易には見破れない一種の錯覚なのです。」

ファレル・ウィリアムスによるルイ・ヴィトン2024年秋冬メンズコレクション。photography: Imaxtree

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