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ヴィヴィアン・ウエストウッドのドレスが600万円超えで落札。18世紀にインスパイアされた、ユニークな一着の魅力にクローズアップ

  • 2024.7.3
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Vivienne Westwood Tribute

つい先週、ヴィヴィアン財団と国境なき医師団を支援するため、クリスティーズのオークションにヴィヴィアン・ウエストウッドVIVIENNE WESTWOOD)の私物200点以上が出品された。熱心なコレクターたちは、そのラインナップに思わず目移りしただろう。そんななかで、とりわけ注目されたアイテムがある。それは、「Dressed to Scale」と題された1998-99年秋冬コレクションで発表された、トープ色のシルクタフタ製ガウンだ。

「この壮麗なドレスは、ヴィヴィアンのパーソナルなワードローブのなかで最も技術的に複雑なデザインでした」と話すのは、クリスティーズのプライベート&アイコニック・コレクション・ディレクター兼販売責任者であるエイドリアン・ヒューム=セイヤー。「歴史的なレファレンスと現代性を巧みに融合させる彼女の手腕が凝縮された逸品です。時代を感じさせるフォルムに、彼女の初期のボンデージデザインにインスパイアされたリボンが組み合わされており、絶大な存在感を放つルックとなっています」

1998-99年秋冬に発表されたシルクタフタ製ガウン。クリスティーズのオークションで約3万3000ポンド、日本円にして約670万円で落札された。
1998-99年秋冬に発表されたシルクタフタ製ガウン。クリスティーズのオークションで約3万3000ポンド、日本円にして約670万円で落札された。

パリ・ファッション・ウィークで発表された1998-99年秋冬コレクションは遊び心あふれるプロポーションで知られるが、その好例となるのが、このドレスのボリューミーなバブルペプラムスカートだ。ファッションジャーナリストで評論家のアレクサンダー・フューリーが2021年の著書『Vivienne Westwood Catwalk:The Complete Collections』で言及しているように、1770年代にヨーロッパ王室で流行した「ローブ・ア・ラ・ポロネーズ」を彷彿とさせる。

ペチュガ・ヴィンテージの創設者であり、ウエストウッドのコレクターでもあるジョニー・バレンシアは、その魅力をこう語る。「これはウエストウッドの信条のひとつに沿ったもので、過去のスタイルを取り入れ、現在のために再解釈し、未来まで長く使えるようデザインされています。その構造は面白いもので、コルセットがあるというのに締め付け感がまったくない。黒いストラップがウエストを包み込むようにフィットするんです。その結果、とてもエレガントでありながら、型にはまらない、ある意味反伝統的なドレスに仕上がっています」

このガウンは、ウエストウッド自身のお気に入りでもあった。その証拠に、1998年11月にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催されたガラに出席した際も、彼女はこの一着を着用している。このガラはデザイナーの功績を讃えたもので、ジェリー・ホール、ミック・ジャガー、レイン・スペンサー伯爵夫人、そしてデザイナーで夫のアンドレアス・クロンターラーら豪華ゲストも駆けつけた華々しい一夜として記憶されている。

1998年11月にヴィクトリア&アルバート博物館で開催されたガラにて、ジェリー・ホールとともに。胸もとにブローチをつけ、黒のレザーグローブとファシネーターをスタイリングしている。
Vivienne Westwood Tribute1998年11月にヴィクトリア&アルバート博物館で開催されたガラにて、ジェリー・ホールとともに。胸もとにブローチをつけ、黒のレザーグローブとファシネーターをスタイリングしている。

ウエストウッド自身が所有していたことを考えれば、クリスティーズでのオークションで入札合戦が巻き起こされたのも不思議ではない。このドレスは最終的に32,760ポンドで落札され、見積もり額の5,000ポンドから8,000ポンドをはるかに上回った。

誇り高き新オーナーはまだ名乗り出ていないが、いつかこの博物館級の一着がレッドカーペットで見られる日はやって来るのだろうか? そんなことを期待せずにはいられない。

Text: Emily Chan Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.CO.UK

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