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【お刺身のつま】食べたほうがいい?何のためにあるの?栄養士ライターが解説

  • 2024.7.3
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お刺身の“つま”添えられる目的は?

お刺身とつまのイメージ
お刺身とつまのイメージ

お刺身によく添えられている「つま」。小花が咲いた枝や濃い赤色の小さな芽、菊の花など。そもそも食べていいの? 名前はある?栄養はあるのかしら?と疑問に感じたことはありませんか。今回は見過ごされ、残されがちな「つま」にスポットをあて、その栄養について解説したいと思います。

「つま」には食中毒を防ぐ目的と微量ながら栄養もあります!

▲「穂じそ」「紅たで」「食用菊」は、高級感がアップする「つま」といえそう。
▲「穂じそ」「紅たで」「食用菊」は、高級感がアップする「つま」といえそう。

お刺身の「つま」は、いわゆる“付け合わせ”の総称で、「つまもの」「あしらい」とも呼ばれています。野菜をはじめ、海藻、季節の花などが添えられていますが、なかでも正体不明感のある3種類をクローズアップしたいと思います。

●穂じそ・花穂じそ

「しそ」の花や未熟な実がついた穂先。薄紫の小花は赤じその花、白い小花は青じその花。しその葉と同様に抗酸化作用があるβ(ベータ)カロテン、丈夫な骨を作る手伝いをするビタミンKが豊富で、防腐作用がある香り成分のペリルアルデヒドを含んでいます。お刺身に添えてあるのは彩りだけでなく、食中毒を防ぐ目的があるのです。しその葉と穂じその両方が添えられていれば、ダブルの抗菌作用がありそうです。

●紅たで(芽たで)

「たで食う虫も好き好き」のことわざでも知られる蓼(たで)の双葉(ふたば)。特有のピリッとした辛みがあり、薬味や口直しとして、また魚の生臭さを消す目的で添えられています。実はβ-カロテンを多く含む緑黄色野菜で、ビタミンKとビタミンC、体に必要な酵素を作る手助けをするマンガンや赤血球をつくる鉄などのミネラルが豊富です。また、紅たでと見た目が似ている紫芽(むらめ)が用いられることもあり、こちらは赤じその若い芽になります。

●小菊(食用菊)

カリウムや葉酸、ビタミンB1が比較的多く、ポリフェノールの一種で抗炎症作用があるルテオリンも含んでいます。食用菊の中でも黄菊は、味も香りも良いとされています。花を少量の酢と塩を加えた熱湯でゆでて水気をしぼり、酢の物や漬け物に和えたり、お吸い物に浮かべたりすると風流さも楽しめます。

▲大根のつまにも大切な役割があります!
▲大根のつまにも大切な役割があります!

お刺身の下に敷かれていることが多い大根の「つま」は、魚の水分や生臭さを吸収し、お刺身の鮮度を保つ目的があります。また、アワビやタコなど筋肉の緻密な魚介の付け合わせに用いると、大根に含まれる複数の酵素の働きで程よいやわらかさに。大根の辛み成分であるアリルイソチオシアネートには消化増進の働きや抗菌作用もあります。

食べて問題ないが魚の生臭さが移っている場合は避けて

以上のことから「つま」にも栄養があり、基本的には食べて問題ありません。こだわりのある飲食店では、食べ合わせを考えた「つま」に加え、凝った「けん(野菜を細く切って剣に見立てた形に盛り付けたもの)」が添えられていることも。お刺身と一緒にいただくと新たな味の発見があるかも知れません。自宅で食べるときは、穂じそは天ぷらに、紅たで、小菊、大根のつまはお味噌汁の具や酢の物などにリメイクすれば食品ロスを防げます。ただし、魚の生臭さやドリップ(赤い液体)が移った「つま」は、衛生面から食べるのを避けた方がよいでしょう。

※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、真木文絵著『ココロとカラダに効く ハーブ便利帳』NHK出版,2017

(野村ゆき)

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