夫のがんが再発「私は冷静でいなくちゃ」残酷な質問に即答した妻

不妊治療か、それとも夫のがん治療か、どちらかを選択しなければならないとき、あなたらならどちらを選びますか？著者である梅原こうめさんの読者の体験談を漫画したこの作品は、苦しみながらも自分たちなりに答えを見つけていく夫婦の姿が描かれています。主人公・シカさん夫婦は夫のがん治療のため不妊治療を一旦ストップすることに。がんの治療が終わり、夫は仕事に復帰。これからまた不妊治療を再開しようと思っていた矢先、夫のがんが再発。落ち込む夫を目の当たりにしたシカさんが思ったこととは…。

がんが再発し、ショックを隠せない夫

病院から帰宅した夫は明らかに落ち込んでいました。たった一言「がんが再発したって…」と言い、そのまま部屋に閉じこもってしまいます。手術や治療を終え、ようやく仕事に復帰したのに再発と聞き、夫は本当にショックだったでしょうね…。

そんな夫にかける言葉すら見つからなかったシカさん。しかし、夫のことを思い自分は冷静でいなければと強く思ったようです。病気を抱える家族ゆえの悩みもあるでしょうし、完治のない病気の場合は常に不安がつきまといますよね。病気の本人はもちろん苦しいですが、家族の苦しみもかなりのものなのだと思います。

「妊娠はほぼ不可能」わかっていたけれど…

医師から治療の話を聞いたシカさん夫婦。抗がん剤の影響で妊娠はほぼ不可能だということが説明され、医師から「お子さんを希望されますか？」と質問されます。シカさんは「いりません」と即答しますが、その心の内はとても複雑だったようです。

がんが再発して一番苦しいのは夫。これから治療を控える夫に自分のせいで妊娠ができなくなると思わせてはいけないとシカさんは強く思ったようです。とはいえ、再発がわかる前は不妊治療を再開できることを喜んでいましたから、顔や態度には出さずとも妊娠が望めなくなることはショックだったでしょうね…。

「もしも子どもが欲しくなったら」医師の言葉が頭をよぎる

シカさんが「子どもはいりません」と即答したことで夫も「俺もいりません」と言いますが、その表情はどこか困惑しているようにも見えますね。シカさんは夫に「即答だったね」と言われ一瞬考えながらも「だって…そうなんだもの」と返します。不妊治療までして妊娠を望んでいた2人ですから、そう簡単に妊娠を諦めきれない気持ちもあったのかもしれませんね。

それでもお互いのことを思い、子どもは諦めるという決断をした2人。その決断はとても勇気がいるものだったと思います。不妊治療というテーマの中で、夫婦間の信頼関係や思いやりについて考えさせられるお話です。

著者：ママリ編集部