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「実は4股しているの、ごめんね」主人公と様々なキャラクターが“入れ替わる”ことで展開される新感覚ラブコメ『クソ女に幸あれ』

  • 2024.7.2
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ダ・ヴィンチWeb
『クソ女に幸あれ』(岸川瑞樹/集英社)

「実は4股しているの、ごめんね」。初めての彼女にそう告げられたら、女性に対して不信感を持ってしまっても仕方がない。その女はきっと相当な「クソ女」なのだろう!

「少年ジャンプ+」の読み切りで印象的な作品を描いてきた岸川瑞樹先生が、満を持してスタートした連載作品が、次にくるマンガ大賞2024 Webマンガ部門にもノミネートされた『クソ女に幸あれ』(岸川瑞樹/集英社)だ。

中学時代、幼馴染であり初めてできた彼女に酷い振られ方をした秋吉直(あきよしすなお)は、その傷を抱えたまま大学生となった。もう誰かを好きになることはないのだろう。そう思っていたある日、忌まわしき元カノ・西川檸檬(にしかわれもん)と偶然再会を果たす。もう二度と関わりたくない相手だったはずなのに、再会した翌日、目が覚めると直と檸檬の身体が入れ替わっている!?

急速に距離が縮まる2人と、直が気になる小河原(こがはら)先輩や新しいキャラクターが加わり、入れ替わりラブコメが繰り広げられる。

漫画や映画でも多く取り入れられる男女の入れ替わりは、ありえない話だけどつい惹かれてしまう。SF要素やドキドキの展開がラブコメと相性がよいこともあり、多用されていることも否めない。しかし本作は男女の入れ替わりが1日おきであるがゆえの面倒くささやすれ違い、2人の距離が新鮮で魅力たっぷりに楽しむことができる。

2人の秘密が周りの人を巻き込むドタバタ展開は、ラブコメ要素も加わりテンポよく進んでいく。授業やデート、ミスコンなど、日常からイベントまで入れ替わりをこなすことで急速に距離を縮めていく直と檸檬。幼馴染で元カノである檸檬のことは何でも知っているように思っていたが、入れ替わることで見えてきた知らなかった面に驚いたり感心したりする直。「クソ女」であると思っていた檸檬の印象はどんどん変わっていく。

本作では入れ替わりというストーリー展開をとおして、登場人物たちの内面の変化を感じ取ることができる。表面的な言動だけでなく、その背景にある思いや葛藤を描くことで、キャラクターたちがより立体的に感じることができるのも魅力だ。

いい意味でタイトルを裏切る本作は、登場するキャラクターたちがみな愛おしい! 「クソ女」だと思っていた檸檬をはじめ、相手のことを思いやれて、優しくて可愛くて愛おしいキャラばかり。ラブコメらしく恋の矢印が飛び交うけれど、読み進めるほどに全員を応援したくなってしまうから困りものだ。どうにか全員が幸せになってくれ!と願わずにいられない。

男女入れ替わりのラブコメ展開と愛おしいキャラの大渋滞が魅力の本作だが、読み進めるほどに気になることがある。

どうすれば入れ替わりは終わるのか。なぜ檸檬は別れることを選んだのか。恋の矢印は誰と向き合うのか。タイトルはどう回収されるのか。気になるポイントが満載で、今後の展開が楽しみな注目の作品である。

文=ネゴト/ Ato Hiromi

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