多くの博物館や美術館では、飲食を禁止にしています。なぜ飲食をしてはいけないのか、そこには重要な理由があるのです。
岡山県津山市にある「つやま自然のふしぎ館」さんの公式アカウント(@fushigikan_t)で、博物館や美術館での“飲食禁止の理由”について投稿されると、6.3万いいねが集まり(2024/8/19時点)、「知りませんでした」「もっと知らせたほうが良い」と話題になっています。
博物館や美術館では、なぜ飲食を禁止にしているのでしょうか。
こちらの投稿をご覧ください。
館内で飲まないでくださいねって入口で声をかけたにもかかわらず完飲してあまつさえそのゴミを置き去りにして帰るってゆう…
— つやま自然のふしぎ館 (@fushigikan_t) July 21, 2024
なぜ博物館や美術館の館内で飲食が禁止かというと、こぼれ落ちた食べ物に虫がわいたりカビが生えて、資料の破損につながる危険があるからです。
どうかご協力ください。 pic.twitter.com/pB2AffMAyl
理由は、「こぼれ落ちた食べ物に虫が湧いたりカビが生えたりして、資料の破損につながる危険がある」から。
博物館や美術館では、清掃や点検など、作品や資料を守るためのさまざまな対策を行っています。対策を行っていても、来館者に飲食禁止のルールを守ってもらわなければ、作品や資料が危険にさらされてしまうでしょう。
今回の投稿では、入口で飲まないように声がけをしたにもかかわらず、館内で飲んでしまった来館者がいた模様。さらにはゴミを置いて行ってしまったのだとか。
お菓子のカスや飲み物1滴が虫を呼ぶこともあります。博物館や美術館を利用する以上は、その場のルールに従うのが当然でしょう。
「ルールやマナーは、資料や利用者の安全を守るため」
こちらの投稿について、つやま自然のふしぎ館の館長さんに詳しくお伺いしました。
---許しがたい行為ですね。過去にも同様な事象が起こったことはありますか?
「『飲食禁止』については、入館前にお声がけをした場合は、ほとんどの利用者はルールを守ってくれます。しかし、ペットボトルや食品がかばんに入っていて見えない場合には、窓口で声かけをすることができません」
---声がけをしない場合は、飲食してしまう方が多いのでしょうか?
「退館時に、ペットボトルを手にぶらさげているのを目にしたり、館内の点検時に、じゅうたんが濡れていたりといったことがあります。また、赤ちゃん用のお菓子が転がっていたり、噛んだあとのガムが落ちていたり、お弁当のカラを見つけたりすることもあるので、そのような行為があったことがわかります」
---それはとても残念ですね。HPにも禁止事項について記載されていますが、改めて来館者へのお願いや注意事項を教えてください。
「博物館や美術館には、守るべき多くのルールやマナーがあります。これらは貴重な資料や、利用者の安全を守るために設けられているものです。博物館の資料はすべての人々の大切な財産です。大切な資料を展示公開しながら未来に守り伝えて行くためには、皆様一人ひとりのご協力が不可欠です。博物館でのルールやマナーは、入口やホームページなどで掲示されています。入館前に必ずご確認ください」
---必ず確認してから、入館するようにしなくてはなりませんね。
---つやま自然のふしぎ館さんでのオススメの展示などはありますか?
「当館は、1963年(昭和38年)に開館した、自然科学の総合博物館です。世界中から収集した約800体の動物の剥製を中心に、化石、貝類、昆虫類、岩石・鉱石、人体生理標本等が展示されています」
---800体とは多いですね!
「中国の珍獣キンシコウなどの珍しい動物が見られるほか、ホッキョクグマやミナミゾウアザラシなどの巨大な動物を間近に見て、その大きさを実感することができます」
---なかなか見られない剥製は、貴重ですね!ぜひルールを守って、展示を楽しんでほしいです。
飲食禁止の理由に驚きと納得の声
こちらの投稿には、さまざまなコメントが寄せられていました。
知りませんでした。その理由をもっと大にして知らせれば周りも注意するし自粛すると思います。
マナー悪いですね。
私は展示物を汚したりするリスクかと思ってましたが、虫やカビなんですね、勉強になりました。
「ルールは守ってほしい!」
ここは動物の剥製や昆虫の標本の展示が多いので、そういうのには特に気をつけないといけないところなのに。
維持をするって並大抵なことではないと思います。
約束ごとは守って欲しいですよね。ほんと迷惑だと思います。
学芸員の資格を取ろうと思っていた時期がありそのための講義を受けたことがあるけど、とにかく湿気は大敵だと言われたなぁ…(絵画の場合は光も)
こういうことしちゃう人、自分の家にある本とか雑誌がカビや虫食いでやられたらどんな気持ちになる?って考えてみてほしいな
ルールを守れない人たちに対し、怒りの声も寄せられていました。
博物館や美術館の資料、作品は、スタッフの方たちが日々大切に守ってきているものです。「少しくらい…」「自分だけなら」と思わずに、ルールを守って利用しましょう。
取材協力:つやま自然のふしぎ館(@fushigikan_t)さん