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独占配信アニメ『ターミネーター0』はなぜ「つまらない」と感じる人がいるのか

  • 2024.10.2

8月29日からNetflixにて独占配信がスタートしたアニメ『ターミネーター0』。本作は『ターミネーター』シリーズ初のアニメーションであり、『攻殻機動隊』などで知られるProduction I.Gがアニメーション制作を担当しているため、期待していたファンも多かっただろう。だが、視聴者からは賛否両論が巻き起こっている。なぜ『ターミネーター0』は賛否を呼ぶ作品になったのだろうか。

賛否の理由は難解なストーリーと冗長さ?

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Netflixシリーズ『ターミネーター 0』独占配信中/(C)2024 Netflix, Inc.

まず、本作はタイムトラベルものであり、2022年の未来から1997年にやってきた戦士・エイコや人工知能「スカイネット」によって送り込まれたターミネーターがストーリーに大きく関わってくる。

物語の終盤で科学者・マルコムについての驚くべき事実が語られ、登場人物同士の知られざる関係性が明らかになる展開が面白い。この真相がストーリーに意外性を持たせているのだが、複雑な時間軸や出来事が起こった時代をしっかり整理しないと頭が追いつかず難解だ。

クライマックスである第7話、第8話にて次々に謎が明かされる展開からは、それまで繰り広げてきたターミネーターからの逃亡劇の冗長さが際立ってしまっているように思う。『ターミネーター0』はシリーズをまったく観たことがない人でも楽しめるが、この難解さと終盤の怒涛の展開を面白がれるか、置いてけぼりになってつまらないと感じるかによって評価がわかれるだろう。

また、キャラクターの掘り下げが十分ではなく、一人ひとりのキャラクターに対して魅力を感じにくいという点も。ターミネーターと懸命に戦うエイコとミサキの姿は頼もしく印象的だが、彼女たちのより深い心情や背景まで描き切れていなかったのが少し惜しい点だといえそうだ。

チャレンジングな作品となった『ターミネーター0』

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Netflixシリーズ『ターミネーター 0』独占配信中/(C)2024 Netflix, Inc.

全8話のなかで大部分を占めているターミネーターからの逃亡シーンは、ターミネーターが無敵のような存在だからこその恐怖があった。当たり前のように銃が効かず、川に落ちても生き延びて再び襲ってくる。腕には弓矢のようなものを仕込んでおり、警察官が束になってかかっても簡単にやられてしまう。

攻略法が見当たらずどう立ち向かえばいいかわからないという絶望感が、迫りくるターミネーターの恐怖を倍増させている。ターミネーターから逃げるシーンは冗長に感じるかもしれない一方で、感情のない表情やホラーな演出もあいまってハラハラしながら観られるのだ。

終盤に語られる真相の数々も、タイムトラベルが持つ性質の醍醐味を上手く利用したものになっている。そして、電磁パルスを作動させて街の電子機器やココロを壊すか、それとも電磁パルス発生装置の電源を切るかケンタが決断するシーンも大きな見どころだ。

すっきりするラストとはいえず、むしろまだ戦いの先があると匂わせるように幕を閉じた『ターミネーター0』からは、続編がある気配がする。もしシーズン2を観られるとしたら、よりキャラクターに感情移入できるようなエピソードに期待したい。

シリーズ初のアニメ化は賛否を呼ぶ結果となった『ターミネーター0』。しかし、名作『ターミネーター』の間口を広げたという点で非常にチャレンジングな意味を持つ作品となったのではないだろうか。

Netflixシリーズ『ターミネーター 0』
Netflixにて独占配信中
(C)2024 Netflix, Inc.


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、漫画のレビューを手がける。X:@kaku_magari