「すごすぎて鳥肌たった」「エグい」“巧みなアニメ演出”に反響【推しの子】

舞台「東京ブレイド」の幕が上がった現在放送中のTVアニメ『【推しの子】』第2期は、有馬かなと黒川あかねから目が離せない展開が繰り広げられている。あかねは天才子役だった有馬に憧れて演劇を始めた。しかし、今ではバチバチと火花を散らすライバルとなった2人。第18話では、あかねの回想によって有馬との出会いと決裂の理由が明らかになった。

重すぎる？有馬に対するあかねの想い

子役時代、あかねは有馬も参加するオーディションを受けていた。だが、有馬が選ばれると決まっている出来レースのオーディションだと偶然知ってしまう。あかねはなにかの間違いだと信じていなかったが、仕事がもらえればそれでいいと答える有馬。彼女の仕事は減っていた。

「演技なんてどうでもいいの！」という有馬の言葉は、本心ではなく身をもって痛感した芸能界の厳しさからくるものだろう。有馬は本来演劇をなにより愛し、こだわりを持っているからだ。しかし、そんな複雑な感情を幼いあかねは理解できなかった。有馬の胸中を知るために、あかねは心理学の本を読み漁る。

回想を通して、実はあかねのプロファイリング能力は有馬のことを知りたくて勉強した結果身についたものだと分かる。演劇を始めたのも探偵顔負けのプロファイリング能力も、きっかけは有馬だったのだ。あかねにとって有馬は憧れだけではなく、自らを構成するとても重要な存在になっていることがうかがえる。

あかねは周りに合わせた演技をする今の有馬が大嫌いだった。憧れていたときのように、有馬にはもっと身勝手で周りを全員食べてしまうような演技をしてほしかったのだ。

その姿を“太陽”と例えるあかね。このワードはとても印象的で、『【推しの子】』でたびたび使われる星の演出にかさなる。実は転生ものだった本作の天文学的なスケールの広さを感じられるようだ。

有馬とあかねの関係性についてSNSでは「激重感情たまらん」「あかねの推しの子は有馬だったのか」「出会い方が違ってたら2人は親友になれたのでは？」と大きな反響が寄せられた。

また、昔と変わってしまった有馬を「そんなのダメだよ」とあかねが否定するシーンに対して「すごすぎて鳥肌たった」「エグい」との声が。一瞬無音になるアニメならではの演出で視聴者をぐっとひきつけた。

加えて、あかねの回想には芸能界にかかった暗喩表現と思われるものがいくつもある。帽子を見てあかねを有馬だと勘違いした大人は、有馬についてその程度の認識しか持っていなかったのだろう。自販機と図書館で背が足りないあかねは、芸能界での立ち位置や知名度が足りないという意味がかかっているように受け取れる。

大人が押した自販機のボタンが売り切れになったのも、オーディションの結果を表しているかのよう。登場人物のさまざまな事情や背景を私たちに伝える『【推しの子】』の暗喩表現が秀逸だ。

暗い過去にとらわれ続ける有馬

自らの想いを演技でぶつけるあかねに対し、有馬は「東京ブレイド」の舞台でもあくまで黒子に徹しようとする。生き生きとした演技をするあかねと、周りを考えていい作品を目指す有馬が対照的に描かれるのだ。有馬が自分らしい演技ができないのは、仕事を失った苦い過去の影響だろう。

星野アクアが星野アイのトラウマに苦しんで感情演技が上手くできないように、有馬も暗い過去にとらわれ続けている。登場人物たちが心に抱える“闇”を克服できるのかという点も、本作の見どころだ。そして、舞台「東京ブレイド」は鳴嶋メルトが成長を見せたように、アクアや有馬も壁を乗り越える大きなチャンスになるように思う。

第18話についてSNSでは「登場人物の過去と葛藤を描くの上手すぎ」「幼少期のかなちゃんとあかねちゃん可愛い」「ほんとに舞台を観てるみたいに集中した」「続きが楽しみすぎる」との声が続出した。

「本気のかなちゃんに勝ちたいの」「だったら前に引きずり出すぞ。俺たちで」と決意するあかねとアクアは、次回有馬になにかけしかける様子だ。この舞台を通して有馬は変われるのだろうか。

【推しの子】
ABEMAでは『【推しの子】』第2期を毎週水曜夜11時より地上波同時・無料最速で配信。
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
［番組URL］https://abema.tv/video/title/25-240?s=25-240_s2&eg=25-240_eg0
【(C)赤坂アカ×横槍メンゴ／集英社・【推しの子】製作委員会】

---

ライター：まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。X：@kaku_magari