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意外とカンタン?薬剤師が教える「漢方」の使い方

  • 2016.3.4
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薬のような化学合成品を使いたくないという理由で、漢方に興味を持つ方が増えてきています。しかし、漢方を使ってみたいけど漢方薬局に行くのはハードルが高いと感じる方も少なくないようです。また、「長く使わないと効果がないのでは?」と思い、なかなか手を出せないという方もいます。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、漢方を始めるきっかけにしてほしい“使い方のポイント”をご紹介します。

 

■東洋医学の2つの流派

●日本漢方(漢方医学)

中医学がもととなっている日本漢方ですが、現在では中医学とは異なる学問としてとらえられています。日本漢方の特徴は、症状に漢方を当てはめて処方すること。

例えば、寒気、首すじや肩のコリ、頭痛、汗が出ないという症状が出た時には“葛根湯”を使うといったような具合です。

病気の原因やメカニズムについては追及しないので、豊富な経験と感性が求められます。熟達すればとてもよく効きますが、熟練度合いや診たてる人によって処方がまったく異なることがあります。

●中医学(中国伝統医学)

中医学では、患者さんそれぞれの“証”という体質や病気の本質を見極めて治療します。日本漢方とは違い、病気の原因やメカニズムを明らかにすることを大切にしています。

“四診”という診断法によって得られた症状を分析し証を決定します。

<四診>

望診:相手の外見、姿を診る(姿勢や顔色、舌、腹など)

聞診:病気独特の声調(声の大きさ、息づかい、ため息)や臭いを診る

問診:症状と原因や体質に関与する事項を問診する

切診:脈を診る

同じ症状や病名だとしても、体質と病気の本質である証が異なれば人によって処方がまったく違うことがあります。とはいえ、中医学は理論体系がしっかりしているため、誰が診たてても治療の方向性はほぼ同じになります。

最近は、この2つの流派を融合させて診断するのが主流になっています。適切な診断をすることが、漢方の効果を最大限発揮するためにはとても重要なのです。

 

■名前からわかる!使い方のポイント2つ

漢方初心者の皆さんでもちょっとしたポイントを押さえるだけで、市販の漢方で十分効果を発揮させることができます。ただ、それにはちょっとしたポイントがあります。

それは名前を見ること。難しくて読めない漢字が多い漢方ですが、実は名前に使い方のヒントが隠されているのです。

(1)飲み方がわかる「○○湯」

“湯”はお湯で煮出して飲むという意味です。しかし、漢方薬局以外には、煎じて飲むものはほとんど置いてありません。最近は煮出したエキスを顆粒にして利便性と保存性を優先したエキス剤が主流になっています。

湯以外にも“方、飲、飲子、剤、煎、浸”の名前が含まれている漢方は、本来ならば白湯にエキス剤の顆粒を溶かして全部飲むのが正しい使い方です。

(2)症状に合わせられる「○○散」、「○○丸」

“散”は病を散らすという意味で急病の時に使い、“丸”は臓器が不調な時に使われます。この2つは、油分を含むため煎じてもなかなか成分が抽出できません。そのため、良質な油やハチミツと油で抽出したものを混ぜています。

本来は、散剤や丸剤が正式な剤形なのですが、これを顆粒にしたものには名前に“料”がつきます。これは、白湯で飲めるようにしましたという意味です。

 

いかがでしたか? 体を内側から温める作用が漢方の鍵となるため、白湯で飲むことは効果的です。また、効能効果を見て選ぶだけでなく、名前の漢字に注意してみると長く飲まないと効かないという漢方のイメージが変わるかもしれません。

もし本格的に使いたいなら、漢方薬局へ訪れることをオススメします。漢方薬局薬剤師が細かくカウンセリングしてくれますよ!

【著者略歴】

※ 宮本知明 ・・・ 薬剤師×植物療法士。病院薬剤師を経て「薬と共存しない生活」の念いからホリスティックな健康観と出逢う。現在は、統合医療の知識をもった「ホリスティックな健康観を持つ女性」を育成する活動をしている。

【画像】

※ marilyn barbone / shutterstock

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