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【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い

  • 2024.7.1
【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い

Text by 高橋アオ

今月3日にパリ五輪に臨むU-23日本代表メンバー18人の発表がされる。これまでアジアの舞台で輝きを放ってきた大学生ストライカーは五輪メンバー入りを熱望している。

筑波大FW内野航太郎は昨年開催されたアジア大会5試合4得点の活躍でチームを大会準優勝に導く原動力となり、パリ五輪最終予選となるAFC U-23アジアカップでは準々決勝カタール戦でチーム4点目となるダメ押し弾を決めた。

大学生最強と称される身長185センチの大型ストライカー内野に、パリ五輪メンバー入りへの思い、筑波大蹴球部で得た成長、世代別代表の経験、キャリアの展望などを聞いた。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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世代屈指の長身ストライカーはプロの壁に当たる

――サッカーをいつから始めましたか。

藤が丘幼稚園の年中ですね。友達がサッカーを始めると言っていて、自分もそれならやろうかと始めました。

――中学から横浜F・マリノスのアカデミーに入団されましたけど、いかがでしたか。

「レベル高いな」と思いました。まずマリノスに入れることがうれしかったですし、そのときはめっちゃ興奮しましたね。

――アカデミー時代の印象的な思い出やエピソードがありましたら教えてください。

高校3年のときのプレミアリーグEASTで得点王(21得点)を取ったところが1番印象に残っています。

――高3でここまで得点を伸ばせた理由を教えてください。

1年間通して離脱しなかったところが1番大きいと思います。ユースの練習がものすごくきつくて毎日がしんどかったんですけど、それを乗り越えられたから出た結果だと思います。

――得点を重ね、世代別の代表にも選ばれていた中でトップチームへの昇格を逃しました。その際に思ったことや決意したことなどを教えてください。

マリノスのトップチームに参加したときに、(同じポジションの)アンデルソン・ロペス選手がライバルでした。実際に生でプレーを見て、「差があるな」と感じました。

1年目でロペス選手と戦って、(ポジション争いに)勝って試合に出られるかと言われたらそのときは「勝てないな」と思った。大学で自分を見つめ直して、もっと大きくなってプロに即戦力で入れるようにしたいという思いになりました。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――ロペス選手から感じた差を教えてください。

外国人選手が自分のポジションは多いと思うんですけど、身体の大きさや強さが違うし、ゴール前以外のところでの「できる仕事の量」が全然違うと感じました。

――この時期の世代別代表の活動を振り返って、刺激を受けていたりとそういった思い出はありましたか。

世代別代表に何回か呼んでいただいたときは、同世代でもうプロでやっている選手もいました。

そのときだったらセレッソの北野(颯太)選手がJで出ていたりしました。そういった選手からすごく刺激をもらいました。でも代表に入るだけじゃなくて、自分が代表を引っ張っていけるようにならないといけないと思っていました。

筑波大で出会った偉大な先輩、ライバルたちの刺激

高校時代は高円宮杯プレミアリーグEASTでは21得点を奪って得点王に輝くも、強力な前線を保有するトップチーム昇格は叶わなかった。内野は高校卒業後に大学サッカー屈指の名門である筑波大へ進学。筑波大ではルーキーながら関東学生1部13試合9得点で新人王を勝ち取る活躍を披露した。

先輩との出会いやプロの舞台で戦うライバルたちの刺激が自身の成長につながっている。

――蹴球部で1番伸びたと思う部分を教えてください。

サッカーに向き合う姿勢ですかね。そこが大学で1番伸びたかなと思います。

――具体的にいうと、高校時代と現在と比較してどういった違いがありますか。

高校時代も練習するときは向き合っていましたけど、それ以外のところはそんなサッカーのことをいまほど考えていませんでした。

例えば睡眠も何時間寝ればいいやという感じだったんですけど、筑波でシーズンに入ってからは全部サッカーに繋がるような行動をしようと考えています。パフォーマンス向上について“ピッチ外”のところでより深く考えるようになりました。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――仲間や先輩の姿勢を見てそういった考えに変化しましたか。

そうですね。仲間も意識高いです。色んな専門家の人と出会ってそういうことをやった選手が上に行くというのは強く感じていたので、やり始めました。

――横浜FMに2026年に内定している諏訪間幸成選手の存在は大きかったですか。

自分が筑波に入学したのは諏訪間くんの影響が大きかったです。FWとセンターバックなのでマッチアップする回数も多いですし、プロに内定している選手と日ごろからマッチアップできるところはすごくいい環境だと思います。

――昨年主将を務めた山内翔(かける)選手(現ヴィッセル神戸)は意識が高い選手ですよね。

そうですね。翔くんは去年すごく良くしてくれました。

いろんなところにご飯連れていってくれたり、いろんな話をしてくれましたね。自分としては去年1年間で翔くんがいてくれたことはすごく大きかったです。

あと去年自分の調子があまり良くなかった時期に、翔くんに喝を入れられたというか、翔くんが真剣に話をしてくれたときがありました。

自分が点を取れなくて、試合のときとかでも自分のゴールを取ることに気持ちが向きすぎていたりして…。自己中心的なプレーになっていました。

そのときに翔くんから「いまのお前はチームに必要じゃない」と言われました。自分としてもすごく苦しい時期だったので、その言葉がすごく刺さりました。もっと自分の力を伸ばさないといけないとすごく感じたときがありました。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――山内選手の人間力すごいですね。1年生と4年生の関係でそこまで真剣に向き合うってなかなかできないと思います。

そうですね。先輩がすごく優しいですし、温かいなと感じています。翔くんはすごく尊敬しています。

――昨季に関東リーグ1部新人王を受賞されました。この受賞についてご自身をどう評価されていますか。

新人王を目指していたわけではないんですけど、去年1年間筑波で出た試合で評価してもらえたことはうれしいです。自分のプレースタイルの特性上チームメイトがいなければこの賞を取れていなかったと思うので感謝したいです。

――得点王を逃したことについては悔しさがありましたか。

そうですね。去年は得点王を最初から目指していたので、そこが悔しかったですね。離脱してしまった(昨年11月のアメリカ遠征で左内側靭帯を負傷)ことが1番大きかったかなと思います。

――筑波大は昨年関東一部を制覇しましたが、インカレ、総理大臣杯と長らく全国大会優勝から遠ざかっています。久しぶりの日本一を取るためにどのような意気込みで今後の大学サッカーに挑みますか。

筑波はカップ戦だとあまり勝てないと言われているので、自分の力でなんとか筑波を勝たせられるように頑張りたいと思います。

U-23アジアカップでカップ戦のチームの作り方というか、チームの成長の仕方を間近で見たのでチームに少しでも還元できればいいと思っています。

――話変わって同学年の福田師王選手、1学年下の後藤啓介選手はすでにヨーロッパでプレーしています。彼らから刺激を受けていますか。

刺激は受けていますね。同じ世代、自分より下の世代の選手が海外でやっている中で、自分はプロでもない大学生なので。少し焦りというかそういうのもあるのかと思います。

――同い年で慶応大の塩貝健人選手が横浜FMに内定しました。刺激は受けましたか。

去年から一緒にプレーする回数もありましたし、去年の代表のフランス遠征のときや今年のデンソーカップも一緒にやりましたけど、刺激は受けています。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――ご自身も早く特別指定でゴールを決めたいといったイメージはありますか。

そうですね。塩貝だけじゃないですけど、同世代の選手がプロで試合に出場して、結果を残しているところを見て「自分も早くプロでやりたい」とは思います。プロとアマチュア、大学で違いますけど、プロの世界は常に日頃から想像しながら大学でもやりたいと思っています。

昨季覚醒した大学最強ストライカー

筑波大では多くの学びを得て自身の成長につなげてきた内野。大学1年次に当時蹴球部でコーチを務めていた元日本代表FW平山相太氏(現仙台大サッカー部監督)から指導を受けた。

大型ストライカーの先輩の指導、地道な努力により身長185センチの大型ストライカーは覚醒の兆しを見せ始めた。

――高校時代の内野選手をプレミアリーグなどで何度か見ましたけど、筑波大に入ってから足が速くなった印象を受けました。

速くしている途中でもあるんですけど、高校のときよりは体も大きくなっているし、体が大きくなっている上に動きもちょっとずつ速くなっていっている実感はありますね。

――どのようなトレーニングをしてスピードに結びつけていますか。

いろんなトレーニングをして、いまも試行錯誤している最中です。ベースとなる筋肉のところも大事ですし、筋肉をどうやって使うかというのと、どこから体を動かすのかというところがいま1番フォーカスしてやっているところです。

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――筑波大入学後は食生活も気を使われていますか。

最近はほぼ同じパターンなのでいまは気を使っていませんが、一人暮らしを始めるにあたっては、どういうメニューを食べようかというのは自分で作って考えてやっていました。

――筑波大の授業から得たエッセンスはありましたか。

元から自分で調べていたというのもありますけど、大学の授業やいろんな知識を持っている人に話を聞いて、自分の取り入れるところを取り入れています。

――具体的に役に立っている部分を教えてください。

いま1番意識していることは、まずいい体の使い方。「いい体の動かし方を体に反復させた上でサッカーに取り組む」ことを1番大事にしていると思います。

――ゴール前での動きに生きていますか。

ゴール前の動きもそうですけど、すべての動きですね。いい動かし方を体に覚えさせて、止まっている状態から加速するときに理想とする体の使い方をアップなどで確認して、その動きができる状態で練習に入る。無意識にできるように毎日反復させているという感じです。

――昨季は現仙台大の平山相太監督が指導されていました。同じ大型ストライカーとして貴重なアドバイスはいただきましたか。

去年は「お前はゴール前で好きにやってくれ」と言われていたんですけど、逆に「点以外のところでなにかチームに貢献できるものがないと、点を取れている時期はいいけど、点を取れなくなったときに何も残らない選手になるぞ」と言われていました。

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――その指摘を受けてどういった部分を新たに身につけようと努力されましたか。

ポストプレーのところであったり、チームが劣勢に立たされているときになんとか自分のところで時間を作って、こっちに「流れを持っていく」ところを去年は意識してやっていましたね。

――大学1年のときより今年に入ってからゴールパターンが増えた気がします。

いままではどう相手を動きで外して、いい状態でボールを受けて少ないタッチで決めるかみたいなところが自分の良さだと思っていました。

逆に相手にブロックを敷かれたり、マークが厳しくなったりしたときにどうしても試合から消える時間が長くて…。「どうしようかな」と自分なりに考えたときに、個ではがせる力を付けないと上ではやっていけないなとすごく思いました。

今年からそこにすごく取り組んでいるので、少しずつ芽が出てきたというか。だいぶ自分の中でも成長してきているのかなといういい感じがあります。

――世界には多くの大型ストライカーがいますけど、見本にしている選手はいますか。

ハーランド選手をずっと見てやっていましたけど、(いまは)色んな選手を見ていますね。

例えばいまだったらエムバペ選手も見ていますし、ドイツの(セール・)ギラシ選手。ちょっと前でしたら(ドゥシャン・)ヴラホヴィッチとかも見ていました。

いろんな選手を見てやっていましたね。あとフェイエノールトのFWサンティアゴ・ヒメネス(※上田綺世のライバル)ですね。

――すごくマイナーなところまで見ているんですね。研究熱心ですね。

あとはニューカッスルのアレクサンデル・イサクかな。いろんな選手を見ています(笑)。

――欧州でプレーする大型ストライカーを見て世界で活躍するためのイメージを作っていると思いますが、1番影響を受けているエッセンスはありますか。

ゴール前のところですかね。最後はシュートだと思うので、シュートまでの持っていき方とか体の使い方とかをよく見ています。

――鈴木優磨選手、大迫勇也選手など、Jリーグで影響を受けている日本人選手はいますか。日本代表選手も含めて大丈夫です。

大迫選手もそうですし、上田綺世選手、古橋亨梧選手、あとは興梠慎三選手の影響も受けていますね。

――どういった部分を参考にしたり、取り入れようとしていますか。

1番大事にしていることはゴールだと思います。ゴールの取り方、どこに走るか、どこにポジションを取るかというところを1番参考にしています。

――実際に身になったプレーはありましたか。

興梠選手の映像をよく見ていたときがあって、背はあまり大きくないけど、駆け引きで外してゴールを決めるところで、自分があの駆け引きをやれば興梠選手よりも体は恵まれていると思うので、「デカい選手があれもできるんだ。じゃあ止められないじゃん」となるのかなと思っています。

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――裏抜けが得意な古橋選手などを見ていますけど、目指すべき先は“万能型ストライカー”でしょうか。

ストライカーである以上はどんな試合でも点を取れることが大事だと自分は思っています。万能型かどうかは分からないですけど、「アイツはどんな形からでも怖いよな」という選手になりたいですね。

――将来的にはヨーロッパ行きも考えていると思います。今後成長する上で大型ストライカーとしての課題であったり改善点を教えてください。

チームが苦しいときになにができるかというのが大事だと思います。今シーズンは筑波で苦しい時間が多いというか、去年ほどチームとして完勝する試合が少ない。その分、自分がやれることの大きさがチームの勝利に直結すると思います。

去年は(山内)翔くんがいたから自分も他の選手も、翔くんに引っ張ってもらったというか。のびのびなにも考えずに出来ていた部分があった。

逆に今年は翔くんがいなくなって、引っ張るのを誰がやるのかっていうところで、自分が引っ張っていくくらいの強い意志を見せるところが今年は大事だと思っています。

2度のアジアの決戦で得た経験

筑波大でルーキーながら主力として結果を出してきたストライカーは、世代別代表でも別格のプレーを披露した。昨年9月から10月にかけて中国で開催されたアジア大会では、5試合4得点の活躍で大会準優勝の原動力となった。

その活躍もあってパリ五輪最終予選となるAFC U-23アジアカップに臨むメンバーにも選出され、準々決勝カタール戦で得点を挙げた。同大会では出場機会に苦しむも、少ない出場時間で結果を挙げる活躍で五輪入りに向けてアピールした。内野がアジアの激戦を振り返った。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――昨年のアジア大会では4ゴールを決めて、今年春に行われたU-23アジアカップも数試合に出場してパリ五輪出場権獲得に貢献しました。アジア大会は内野選手にとってどんな大会でしたか。

アジア大会はすごく大きかったと思っています。ちょっと言い方は大袈裟かもしれないですけど、自分の分岐点になったかなという印象があります。

――どういった分岐点になりましたか。

自分たちの代の代表がないというか、自分たち(2004年生まれ)はパリの1番下の世代です。自分たちが世代別に入るにはU-23の代表の代に入らないといけないというのがありました。

そこまではオリンピックにもちろん出たいと思っていましたけど、ちょっとさすがに厳しいな、可能性も低いなという思いがありました。

その中でアジア大会に呼んでいただけたときは「ここでなにかを残せば、もしかしたらワンチャンスあるのかな」という気持ちでした。

――アジア大会は山内翔選手とも一緒でしたけど、山内選手の存在は大きかったですか。

大きかったですね。自分はアジア大会も追加招集だったので、周りの選手もほぼ知らなかったです。同い年の選手もいなかったので、翔くんがそこでも良くしてくれて(選手の紹介、橋渡しなど)すごく助かりました。

――アジア大会、U-23アジアカップには多くのプロ選手が参加していました。大会でプロ選手と交流して見えた景色や感じたものがあれば教えてください。

プレースピードや判断の早さが全然違って戸惑うところもありましたけど、日が経つにつれて慣れていって少しずつ自分の良さも出せていけた。「早くプロでやりたいな」という思いはありました。

――チームメイトの意外な一面は見られましたか。

松木選手が良くしてくれたんですけど、松木選手はゲームしかしていなかったですね(笑)。

『荒野行動』をめちゃくちゃやっていましたし、一緒にやっていました(笑)。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――ゲームなどを通じて距離が近くなりましたか。

そうですね。何個かグループが分かれていたんですけど、それもあって良くしてくれたかなと思います(笑)。

――大会で4ゴールを取れた結果についてどう評価していますか。

FWにケガ人が多くて、追加招集で行ってすぐ「スタメンだぞ」という感じでした。

もちろん不安もありましたけど、失うものがなにもなかったので、思いっ切りやってやろうというところで初戦で点を取れたところが滅茶苦茶大きかったと思います。

――あとゴールパフォーマンスがめっちゃ楽しそうですね(笑)。

そうですね。『進撃の巨人』の“心臓を捧げるポーズ”をやっています(笑)。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――なんでそのポーズを採用したんですか。

結構くだらないんですけど、先輩が『進撃の巨人』をちょうど見ていて、なんか「進撃の巨人が面白いからお前も見ろよ」と言われて見始めてハマって(笑)。

その先輩が「次点を取ったらこれやろうぜ」みたいな軽い感じで言ってきました。その週に点を取ったので、その先輩と一緒にパフォーマンスをしてからはずっと定着しているのでやっています(笑)。

(アジア大会でも)やっていました。もう結構定着しましたね。

――決勝では韓国と対戦しました。PSGのイ・ガンインらと対戦して世界との差を体感しましたか。

めちゃめちゃ強いなと思いました。同世代のトップクラスの選手だと思うので、そういった選手とあそこでやれたことは自分の中の物差しを作るうえですごく良かったと思います。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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――大会から逆算して、その差を埋めるためにはどういった努力をすればいいと考えていますか。

個の技術や個の怖さが1番大事だと思います。

――ゴール前の部分ですか。

ゴールに持っていく過程もそうですし、ゴールの取り方や自分の良さのところも大事だと思うんですけど、独力ではがす力もすごく大事だと思います。

――例えばズラタン・イブラヒモヴィッチや、Jリーグでいうと大迫勇也選手みたいにちょっと下がってチャンスメークするプレーなどもアイディアにありますか。

そうですね。求められるところだと思うので、そこもやっていかないといけないと思っています。

――U-23アジアカップは出場時間が短くて個人的には悔しかったと思うんですけど、振り返っていかがでしたか。

まずメンバーに入れたときに驚きました。だけど選手を見ていても短い時間での使われ方をするのは想定内だったというか、出た時間でどう自分の良さを出すかが大切だったかなと思います。

――あの大会を通じて得た成長などがあれば教えてください。

出場時間が短かったですけど、腐らずにやれたことは良かったと思います。緊張感がいままで経験してきた舞台と全然違ったので、そういった面でのメンタル面の成長が1番大きいかなと思います。

天皇杯でのラストアピール、五輪への思い

これまで世代別代表で結果を出してきた内野だが、五輪入りの最終アピールとなる4月に開催されたアメリカ遠征の帯同メンバーに選出されなかった。それでも腐らず、ひた向きにアピールの機会を伺っていた内野に最後のチャンスが訪れた。

先月開催された天皇杯2回戦FC町田ゼルビア戦で試合終了間際の後半46分に内野が値千金の同点弾を右足で決めた。試合はPK戦の末に勝利を挙げ、昨季J2優勝、今季J1首位チームを破る大番狂わせを見せた。このゴールで五輪入りのラストアピールを見せた内野は、今月3日に発表される五輪メンバー入りに自信を見せた。

――天皇杯2回戦の同点弾を振り返っていただけますか。

0-1で長く試合が進んでいて自分としてもアディショナルタイムだったと思うんですけど、最後までゴールに対する気持ちを切らすことがなかったことが、あのゴールの1番の要因だと思います。

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――J1首位を快走しているチームから得点を取れたことは自信になりましたか。

そうですね。J1相手にもまず勝てたというのがすごく自信になります。あの苦しい時間帯でチームを救うことができたことが1番の自信になりました。

――U-23日本代表のアメリカ遠征のメンバーに選ばれませんでした。アピールの舞台としてすごく大きかったと思うんですけど、それだけに天皇杯2回戦にかける思いは違いましたか。

そうですね。メンバーに入れなくて悔しかったですし、大学でいくら活躍しても(天皇杯の)舞台のほうが注目されます。

プロ相手にどれだけできるかというのが1個の指標になってくると思うので、あそこで1点取れたことが良かったと思います。

――7月3日の発表を前にラストチャンスだったと思うんですけど、アピールはできましたか。

最低限はできたかなと思います。自分は大舞台に強いと思っているので、そういった面でもそこをアピールできたことは良かったかなと思います。

――パリ五輪への思いを聞かせてください。

五輪に出たいです。

「メンバーになんとか入りたい」と思って今年スタートからやってきました。

最後になんとか入れればいいですけど、自分としては自分のできる場所で精一杯アピールして、あとは選ばれるか選ばれないかを待つだけかなと思っています。

――自信はありますか。

(力強い声で)自信はあります。「行ったらやれるぞ」という自信があります。

キャリアの展望

大学生ながら国際舞台、プロとの公式戦でも結果を挙げている内野は国内外から大きな注目を浴びている。ある欧州のプロクラブ関係者は内野を「サイズもあって、技術も優れている。彼がアマチュアでプレーしていることが信じられない。近い将来欧州でプレーしているだろうね。彼を見逃すチームは存在しないだろう」と太鼓判を押していた。

――ここからは将来のキャリアの話をお聞きします。マリノスのトップチームに内定したい思いはありますか。

正直なところ、「目指している」ということはないですね。

もちろん育ててもらったというか、中学校のころから面倒を見てもらったので感謝する気持ちがあります。

マリノスに入ってなかったらいまの自分はないと思うので感謝の気持ちはありますけど、いまはマリノスに戻りたいというかそういう強い気持ちがあるわけではないですね。

――オファーが来たときに考える形でしょうか。

自分が「元いたから」とかいう理由で決めたくはないですし、自分がどこでどう活躍していけるか。将来のビジョンから逆算して選びたいと思います。

――今後のキャリアの展望を教えてください。

最終的な目標は「プレミアリーグで活躍できる日本人センターフォワード」になりたいと思っています。そのためには、日本代表に入るレベルじゃないとプレミアには行けないと思うので、「プレミアでやる」というところから逆算してキャリアを考えたいと思います。

【インタビュー】注目の大学最強ストライカー筑波大FW内野航太郎が語るパリ五輪メンバー入りへの思い
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国内外からも動向を追われるようになった大学生最強ストライカー内野は刻々と迫る五輪メンバー発表を待っている。メンバー入りが決まれば花の都パリでどのようなプレーを見せてくれるのか。

いまや大学生最強のストライカーからアマチュア屈指の大物となった男のこれから始まる航海がどうなるか、目を離さずに見届けたい。

(取材・文 高橋アオ)

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