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開催まであとわずか! パリ五輪を巡る市民の心境。

  • 2024.7.1

5月17日、オリンピックのための交通規制第一弾が始まった。アレクサンドル3世橋とすぐ隣のコンコルド広場が閉鎖され、メトロ12番線もコンコルド駅に停車しなくなり、オリンピックはまだ先と油断していたパリジャンたちはおおいに慌てることになった。

中心地で多くの競技が行われるパリでは、市民生活への影響が不満の種だ。あちこちで工事が続き、夏のイベントやデモによる道路の封鎖も相次いで、市内は慢性的な交通渋滞に悩まされている。メトロは6月半ばから早くもコンコルド駅とチュイルリー駅が閉鎖され、大会中は切符が2倍近く値上がりする。セーヌ川沿いの広いエリアは、開会式の1週間前から住所証明のQRコードなしでは立ち入り禁止、犬の散歩もままならない。

郵便ポストや郵便局の車にはマスコットの"フリージュ"が。

パリの北アリーナの落成式でイダルゴ市長は「オリンピック中にパリを離れるなんて滑稽極まりない!」と発言したけれど、IPSOSの3月の調査では、パリジャンの47%が大会中にパリを離れると答えている。自宅を貸して高額収入を試みたパリジャンも多いが、供給が多すぎて家賃が値崩れ、というニュースもあながち笑えない状況だ。

とはいえ、特設会場があちこちで形をとり始めるにつれ、一大イベントの存在感は否が応でも増している。国会議事堂前には、サーフやテニスなどの競技を模した6体のミロのヴィーナス像が登場し、開会50日前を迎えた6月7日には、オリンピックの五輪がエッフェル塔に掲げられて話題になった。

スポーツするヴィーナス像はローラン・ペルボによるインスタレーション。

ルーヴルの『オランピズム』展、ガリエラ宮の『動きのあるモード』、マルモッタン・モネ美術館の『アーティストとスポーツ』など、スポーツにちなんだ展覧会も目白押しで、ラデュレやコンフィチュール・パリジェンヌなどのパリらしいブランドも限定アイテムを発表し始めた。IPSOSの調査では、パリ地方の住民の58%がオリンピックに興味を持ち、68%がセーヌでの開会式を評価しているという。

ところで、パリ・オリンピックを象徴するのはなんといってもセーヌ川。セーヌでのトライアスロンとマラソン水泳が実現できるかが注目の的だが、大雨の際に未処理水の流入を防ぐ巨大地下調整池が先頃完成したとはいえ、6月の雨続きで水質がまたもや悪化。市長は「6月23日にセーヌへの飛び込みを決行」と宣言し、大統領やIOC会長、大臣たちにも誘いをかけたのだが、延期をやむなくされている。地方紙「ニース・マタン」が「このまま水質改善がみられなければトライアスロンをニースで?」という記事を掲載するほど、セーヌ川での水泳は実現の可能性が疑問視されているところ。政治家たちのセーヌ飛び込みが実現したら、批判精神いっぱいのパリジャンたちも、さすがに我が街のオリンピックへ、期待を膨らませることができるかもしれないのだが。

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マルモッタン・モネ美術館の『ゲーム!アーティストとスポーツ(1870-1930)』展(~9/1)は、スポーツを題材とした印象派前後の作品展。シスレー『モーズリーのレガッタ』(1874年)。

Musée Marmottan Monet
2, rue Louis-Boilly 75016
www.marmottan.fr

ラズベリーとブルーベリー、甘さを抑えたスポーツジャム250g 14.90ユーロ

Confiture Parisienne
www.confiture-parisienne.com

公式パートナーのラデュレはマスコットが描かれたコフレとマンゴー&カルダモン、ライム&ジンジャーの特製マカロンなどを提案。

Ladurée
www.laduree.fr

メールトの特製箱入りゴーフル、12個入り31ユーロ

Méert
www.meert.fr

●1ユーロ=約172円(2024年7月現在)

*「フィガロジャポン」2024年8月号より抜粋

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